723列車 うねうね、畝傍
2062年5月25日・木曜日(第79日目)天候:晴れのち曇り 西日本旅客鉄道和歌山線橋本駅。
橋本駅からは再び和歌山線の列車に乗り、奈良を目指す。この列車は和歌山線をそのまま進んで王寺駅に行ってしまう為、途中の高田駅で桜井線の列車に乗り換えなければならない。1回の乗り換えを挟む必要はあるが、それでも乗り換え回数は少ない方だし、ありがたいか・・・。
橋本15時08分→高田16時08分
最長往復切符復路橋本駅から使用再開
高野山で歩き回った疲れが来たのか、乗っている間を寝て過ごす。ふと目を覚ますと高田駅の手前であり、そそくさと列車から降りて桜井線の列車に乗り換える。
高田16時13分→畝傍16時20分
最長往復切符復路畝傍駅で途中下車
畝傍駅は木造の駅舎の付いた無人駅である。ただ、ホームの規模や駅舎を見る限り昔は有人駅だったところであろう。
「・・・。」
「・・・。」
「思った以上に普通の駅ね。」
「いや、どんな駅だと思ったのさ。」
「播州さんの最長往復切符で取り上げられた時はもうちょっと特別な駅だと思ってたんだけどなぁ・・・。」
「特別ねぇ・・・。」
畝傍駅というのは1893年5月23日に開業した駅である。当初は私鉄として開業し、1907年に国有化され現在に至る。1940年には文化財にも登録されている由緒正しい駅である。それを考えるとこの駅がどこにでもある普通の駅と考えるのは行けないだろうなぁ・・・。
駅舎側に通じる通路は2つある。しかし、使える入り口は1つだけだ。片方は白い板で完全にふさがれてしまっている。
「ほう。これがねぇ。」
「ここが天皇陛下だけが入れるお部屋のある場所ね。」
畝傍駅が普通の駅でない点はここだ。この板の向こうには皇室専用の部屋が隠されている。ただ、見る限り使えるようにはなっていないのだが・・・。本当に今でも使えるようになっているのだろうか。
「今は天皇陛下近畿日本鉄道使うのよね。」
「あー、そうだなぁ・・・。名古屋までリニア使って後は近畿日本鉄道かな。」
「やっぱり、そっちの方が奈良に来るには早いのかな。ていうか奈良までリニアじゃないんだ。」
「・・・お召し列車は最優先列車だからなぁ・・・。お召し列車の上を別の列車がとお茶行けないとか色んな制約があるからじゃない。」
「・・・何か面倒くさいわねぇ。」
「それぐらいいいと思うよ。天皇陛下は日本の象徴なんだし。寧ろ、天皇陛下が乗っている列車を追い抜いたりする方が問題じゃない。」
「・・・ああ。それはなんとなく分かる気がする。」
「まぁ、それはどうであれこの中どうなってるか気にならない。」
「・・・言っとくけど、板の隙間から中をのぞき込むとかしないでよ。やりそうだから言っとくけど。やりそうだから言っとくけど。」
「2回も言わなくてもいいじゃん。」
30分ほど経つと奈良行きの列車が入線する。その列車に乗って僕たちは奈良駅に行った。
畝傍16時51分→奈良17時30分
最長往復切符復路奈良駅で途中下車




