表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MAIN TRAFFIC  作者: 浜北の「ひかり」
Longest Journey Episode:14
721/779

721列車 登山鉄道

 2062年5月25日・木曜日(第79日目)天候:晴れのち曇り 西日本旅客鉄道(ジェイアールにしにほん)和歌山線(わかやません)和歌山(わかやま)駅。

 和歌山(わかやま)駅にホームに向かった。ホームからは制服を身につけた学生がひっきりなしに改札へと向かっていく。改札機の「ピッ」という音を横目に、僕たちは窓口からラチ内へと入る。

「フワァ・・・。眠い。」

「昨日は遅かったからなぁ・・・。」

「今日別に早くなくてもよかったんじゃない。」

「・・・そうだったかもなぁ・・・。それはそれで失敗だったかな・・・。」

 時刻表を見返すと8時19分の次は45分後の9時04分になら行きの普通列車が出ている。今日は奈良(なら)に行くだけだったし、1本遅らせてもよかったかも。しかし、僕たちはもうホテルも出てラチ内へと入ってしまっている。後戻りするという選択はないな・・・。

和歌山(わかやま)8時19分→橋本(はしもと)9時30分

 粉川(こかわ)から来る普通列車を入れ替わりに、僕たちの列車は出発する。大量の学生がホームを歩いているのを横目に多少なりとも通勤・通学時間帯から外れた列車は和歌山(わかやま)を離れた。

 しばらくすると車窓は山間の路線へと変貌する。227系はそんな中をのんびりと走る。この路線はそれが似合う。

 1時間くらい走るとあたりが開け、進行方向左側に大きなホームが現れる。ステンレスの車体が何両にも連なる列車の側面には「NANKAI」と書かれている。南海電鉄(なんかい)と大きさは変わらないホームに227系は入ったが、2両編成と6両編成では圧倒的に6両編成の方が力強い。

最長往復切符復路橋本(はしもと)駅で途中下車

 廃れたJRの橋本(はしもと)駅から(さかえ)える南海電鉄(なんかい)橋本(はしもと)駅に向かい、ICカードをタッチして南海電鉄(なんかい)に乗り換え。高野山(こうやさん)に向かうことにする。

橋本(はしもと)9時53分→南海電鉄(なんかい)高野線(こうやせん)極楽橋(ごくらくばし)10時32分

 南海電鉄(なんかい)高野線(こうやせん)橋本(はしもと)駅から一気にその性格が変わる。ここまでは大都市のベッドタウンとしての路線であったが、この先は登山鉄道へと変貌する。その変貌ぶりは日本中どこを探してもここぐらいしか無いだろう。

 列車は大きく進行方向を変え、駅に停車。紀伊清水(きいしみず)学文路(かむろ)九度山(くどやま)くらいまでは普通の鉄道のようだが、この先列車の行く手は鬱蒼とする。

 右へ、左へ線路はくねくねを曲がる。列車はスピードを出せない。床下からはモーターの「キィン」という音に混じって「シュー」と何かがすれる音がし続けている。

高野線(こうやせん)ってくると本当にすごいところ通ってるよなぁ・・・。」

「よくもまぁ、こんな所に鉄道通そうと思ったわねぇ・・・。」

「ここに最初に鉄道と襲うとした人は相当笑われただろうなぁ。」

「どうして。」

「いや、馬鹿げてるようにしか見えないから。」

「・・・馬鹿げてるかぁ・・・。」

時速30キロとゆっくりしたスピードで、着実に線路を掴み登る列車。辺りの景色は非文明的な場所へと移り変わっていった。

極楽橋(ごくらくばし)10時37分→南海電鉄(なんかい)鋼索線(こうさくせん)高野山(こうやさん)10時42分


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ