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MAIN TRAFFIC  作者: 浜北の「ひかり」
Longest Journey Episode:4
595/779

595列車 走る鉄道博物館

 2062年3月27日・月曜日(第20日目)天候:曇り時々晴れ 東海旅客鉄道(ジェイアールとうかい)東海道本線(とうかいどうほんせん)浜松(はままつ)駅。

芝本(しばもと)遠州鉄道(えんてつ)新浜松(しんはままつ)

(じゅん)兄ちゃんも呆れてたね。」

萌が言った。

 昨日は(じゅん)兄ちゃんの家に泊めて貰ったからなぁ・・・。まぁ、なんていう事情で止まるのかとかそういうことは事前に言ってあったけど。最初の一言が「お前ら、本当に変な旅やってるとは思わなかった。」には笑ったなぁ・・・。

 変な旅をやってる旅人が言うのも何だが、動かなくなった車を維持している(じゅん)兄ちゃんも十分変人だと思うけど・・・。

 浜松(はままつ)駅にやってくると東海道本線(とうかいどうほんせん)に乗り換えである。

浜松(はままつ)9時10分→金谷(かなや)9時50分

 9時10分発の普通列車興津(おきつ)行きは3両編成だ。「興津(おきつ)」という読みは知らなければ読むことが出来ないが、同じ「おきつ」でも「伊勢奥津(いせおきつ)(名松線)」の方が初見殺しだと思う。

 315系2500番台には結構人が乗っている。席を選ばなければちゃんと座れるか。席に座ると列車は発車する。

 天竜川(てんりゅうがわ)駅に停まってから天竜川橋梁を通過する。磐田(いわた)駅、袋井(ふくろい)駅と止まり、新幹線が右側から近づいてくると愛野(あいの)駅に到着する。ここの愛野(あいの)駅は跨線橋が新幹線をまたぐように作られている。僕が小さいときはよくこの愛野(あいの)駅で新幹線を眺めていたものだ。500系を初めて見たのもここだったなぁ・・・。

 新幹線と併走して、掛川(かけがわ)駅に到着。3両編成の電車は適度に混み、掛川(かけがわ)駅を発車。

 新幹線から離れ、山の中を走り、菊川(きくがわ)に到着。菊川(きくがわ)を発車して、車掌が次の停車駅を「金谷(かなや)」と告げた。

最長往復切符往路金谷(かなや)駅で途中下車

「ここで降りる人っているんだなぁ・・・。」

かなり失礼だとは思う。だが、回りには大きい建物がない。新函館北斗と同じようにこの金谷(かなや)駅も鉄道から降りたらそそくさと逃げるための駅なのだろうか・・・。

 僕たちは駅から降りて、すぐ隣にある鉄道線乗り場に行った。金谷(かなや)駅には東海旅客鉄道(ジェイアールとうかい)以外に大井川鐵道(おおいがわてつどう)という鉄道線が通っている。この鐵道は走る鉄道博物館と呼ばれるほど古い車両が走っている。首都圏ではもうお目にかかれない車両もここに来れば見ることが出来る。

 昔は旧近鉄特急16000系や南海電鉄(なんかい)ズームカー、京阪電鉄(けいはん)テレビカーなど走っていたが、それらは経年劣化によって置き換えられている。今は南海電鉄(なんかい)7100系が2両ワンマン運転対応車となり、東急電鉄(とうきゅう)の車両も走っている。まぁ、首都圏からしてみれば骨董品ぶりは変わっていない。

金谷(かなや)10時18分→大井川鐵道(おおいがわてつどう)新金谷(しんかなや)10時21分

 金谷(かなや)駅から一駅離れると大井川鐵道(おおいがわてつどう)の拠点駅新金谷(しんかなや)駅に到着する。僕たちはここで一旦列車を降り、次の列車に乗り換える。

 その次の列車はホームで「シュッ、シュッ」と蒸気をはいて待ち構えていた。

 大井川鐵道(おおいがわてつどう)の目玉であるSL急行だ。僕自身大井川鐵道(おおいがわてつどう)に乗ったことはあるのだが、SL急行に乗った記憶が無い。南海電鉄(なんかい)ズームカーで運行した電車急行列車には乗ったことがあるんだけどなぁ・・・。

 先頭に立つのは8620形やC57形と違い小さいC10形8号機。この蒸気機関車は小さいがこれだけで動き回ることが出来る優秀なタンク機関車だ。

「ナガシィは良いよねぇ。大井川鐵道(おおいがわてつどう)にも乗りに来たことがあって。」

「いや、乗りに来たって言うか、ただ寸又峡温泉(すんまたきょうおんせん)大井川鐵道(おおいがわてつどう)で言ってただけなんだけど・・・。」

新金谷(しんかなや)10時38分→「SL急行かわね路13号」→千頭(せんず)11時53分

「ボォォォォォォォォォォッ。」

汽笛一声「SL急行」は新金谷(しんかなや)駅を出発する。ガコンと客車がきしむような音を立て、ゆっくりとホームを離れ始める。

 大井川鐵道(おおいがわてつどう)は終始大井川に沿って北上する。川の脇を白い煙を吐き、客車を牽引して走る。この光景は昔の日本ならごくありふれた光景であるが、今は珍しいものだ。沿線にはSLを一目見たいという人がたくさんいる。時に、そこには行って良いのかという場所にいるひともめに入るのだが・・・。

 SL急行は家山(いえやま)駅に停車。すぐにドアを閉めて家山(いえやま)駅を発つ。

「・・・。」

「どうかした。」

「んっ。寸又峡温泉(すんまたきょうおんせん)に行ったとき、この駅の近くの鯛焼き屋さんに寄ったことがあってね。そこの鯛焼き美味しかったんだけど、今はやってるのかなぁって。」

「何年前の話なの。ナガシィが寸又峡温泉(すんまたきょうおんせん)行ったのって小学校の時でしょ。」

「まぁ、そうだけど・・・。」

「そんなにナガシィがおいしいって言うなら、私も途中で降りて食べに行きたかったかなぁ・・・。」

「ボォォォォォォォォォォッ。

下を見下ろすと大井川だ。ガタン、ゴトンと線路の継ぎ目をたたく音がいつになくうるさく聞こえた。


一口メモ

鉄道省C10形蒸気機関車8号機

現在大井川鐵道(おおいがわてつどう)が所有する動態保存蒸機の1機。1930年製造された都市近郊向けタンク式蒸気機関車で1962年と1986年に2回廃車されている。2度目の廃車後、岩手県宮古周辺でSL列車の運行に従事していたが、その列車もあえなく休止。その後、大井川鐵道(おおいがわてつどう)に譲渡され現在に至る。旧型機と言うこともあり、牽引力が不足気味であるらしい。


日本国有鉄道(こくてつ)12系客車「かわね路号」専用客車

西日本旅客鉄道(ジェイアールにしにほん)で運行していた「SLやまぐち号」で運用されていた12系客車を運用終了後に貰い受けた。状態は必ずしも良いとは言えないが、今でも走っている12系客車となっている。なお、日本国内において走行できる12系客車は大井川鐵道(おおいがわてつどう)東日本旅客鉄道(ジェイアールひがしにほん)「SLばんえつ物語号」だけである。


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