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MAIN TRAFFIC  作者: 浜北の「ひかり」
Longest Journey Episode:3
589/779

589列車 本州最南端

 2062年3月25日・土曜日(第18日目)天候:晴れ 西日本旅客鉄道(ジェイアールにしにほん)紀勢本線(きせいほんせん)白浜(しらはま)駅。

 昨日はアドベンチャーワールドでパンダを見て過ごした。たまに動物を見るって言うのは良かったなぁ・・・。ちょっと気になるのはあの小さいおっさん達は何を思ってああいうサービス精神旺盛なことが出来るのかどうかだな・・・。

 白浜(しらはま)駅のホームには227系1000番台2両編成が止まっている。緑色のラインが引かれた車両はここにいるには似つかわしくない。

白浜(しらはま)8時06分→新宮(しんぐう)10時40分

「コフォホホホホ・・・。」

ドア横の緑色に光っていたランプが消え、ブレーキが解除される。列車はゆっくりと白浜(しらはま)駅のホームを離れ始める。

 乗降用扉の近くには非常用のはしごが備え付けている。そのうえにはデフォルメされたパンダがはしごを使って列車から避難する様子とはしごを使わないで列車から避難する方法が描かれている。まるまるとしたパンダは昨日見たパンダとはまた別のかわいさを持っている。

 串本(くしもと)へ向かう道のりは海岸線を走ることがある。その時ぱっと開けて見える太平洋に目を奪われる。

 1時間20分走って、列車は本州最南端の駅串本(くしもと)に到着する。和歌山線(わかやません)の時と言い、紀勢本線(きせいほんせん)の普通列車と言い、乗車時間が長い上にロングシートである。ロングシートで長時間過ごすというのは地獄でもある。

「どうする。」

僕は萌に聞いてみた。

「どうするって、何を。途中下車。」

「察しが良いね。」

「飽きてきた。」

「ロングシートはねぇ・・・。」

「えっと、この後の予定どうなるんだっけ。」

「あっ・・・。」

「コフォホホホホ・・・。」

そうこう言っているウチにドアが閉まってしまった。

 時刻表で調べてみると、次の停車駅紀伊姫(きいひめ)駅に今乗っている列車は9時32分に到着。今、途中下車しようと思った串本(くしもと)駅に電車で折り返すことが出来る列車は紀伊姫(きいひめ)10時22分発の紀伊田辺(きいたなべ)行き。串本(くしもと)到着は10時26分だ。

 10時26分以降で新宮(しんぐう)方面に向かう紀勢本線(きせいほんせん)の列車は11時03分発の「くろしお1号」新宮(しんぐう)行き。新宮(しんぐう)からは12時41分発の「南紀(なんき)6号」名古屋(なごや)行きかぁ・・・。

 時刻表で追ってみても、今日の目的地までは行けるようだ。「南紀(なんき)6号」が()駅で接続する普通列車亀山(かめやま)行きに乗ることが出来れば、それで予定通りに戻る。

「どうするかなぁ・・・。」

串本(くしもと)で何見るつもりだったの。」

萌が聞いてくる。

「ああ、串本(くしもと)ってエルトゥールル号が座礁事故起こしたところでしょ。」

僕はそう言った。この事故というのは悪天候の中トルコの船エルトゥールル号が遭難してしまった事件。漂着した乗組員は串本(くしもと)町民に良くして貰い、その恩義を胸に帰国したというお話だ。後日談も含めて、日本人が知っておいた方が良い話だろう。

「・・・そのために串本(くしもと)に戻るの。」

「だめ・・・。」

「いや、ダメじゃないけど・・・。」

「ダメじゃないなら戻って良いじゃん。」

「ああ、うん。」

「コフォホホホホ・・・。」

「あっ・・・。」

僕と萌は声を揃えて、今起こったことを悔やんだ。

白浜(しらはま)8時06分→古座(こざ)9時37分

最長往復切符往路古座(こざ)駅で途中下車


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