573列車 良心的なキハ120
2062年3月17日・金曜日(第10日目)天候:晴れ 西日本旅客鉄道伯備線倉敷駅。
ホテルでの朝食を済ませて、すぐに僕たちはホテルを出る。倉敷駅からは伯備線に入る。伯備線は山陽と山陰を結ぶ路線の中では最重要路線である。特急「やくも号」は1時間に1本単位で走っている。今日も、僕たちは「やくも」のお世話になることとなった。
倉敷8時16分→「やくも3号」→新見9時10分
「特急「やくも3号」出雲市行き、発車いたします。」
「ティルーン、ティルーン。」
ドアが閉まると「やくも」は中国山地の中へと分け入っていった。その姿を見送ると僕たちは新見駅で途中下車する。
最長往復切符往路新見駅で途中下車
最長往復切符の旅では広島に行く前に一度新見駅に立ち寄っている。しかし、アレは切符としては立ち寄っていないことになっている。最長往復切符としては初めて新見駅に来たことになる。少々ややこしいが、最長往復切符の旅ではこういう所がさらに増えていくと思える。
「前にも降りたけど、新見駅のまわりって何にも無いよねぇ。特急が止まるのに。」
「ああ、僕も何かしらあると思ってたからなぁ・・・。これはさすがに予想碍子だった・・・。」
「もうホーム行く。」
「ホーム行ってもねぇ・・・。」
降りる前の段階で次に乗る姫新線の列車は来ていない。これから乗る姫新線の列車は9時53分発。これを逃すと13時39分発までない。あまり遠くにも行けないのが悩ましいところだが・・・。
「ホーム戻ってるか。逃すと大変なことになるし。」
「その方が良いわねぇ。」
最長往復切符開始以来最速で途中下車が終わった。
新見9時53分→津山11時30分
姫新線の列車もキハ120系だ。これが走るところは路線としてつまらないというのはいつものことなのだ。姫新線もその例に漏れず制限25キロの速度制限が行く手に現れる。しかし、姫新線はまだ良心的と言えるかもしれない。
「ブルルン、ギュイィィィィィインイィィ・・・。ギュイィィィィィィン。」
キハ120系で運行される割には運行本数の多い路線であるが故だろう。減速運転をしたかと思うとすぐに加速してくれる。キハ120系が主力で活躍するローカル線の中では最もまともと感じざるを得ない。
「キハ120系って結構走るのね。すっかり感覚が麻痺してるわ。」
「今まで乗ってきた路線がねぇ・・・。小さいから保線費用とか抑えられるのは当然なんだろうけど・・・。」
中国勝山からは地元の人たちの乗車があった。キハ120系が走る超閑散線区ではなかった地元の利用だ。
「キハ120が走るところで地元の利用は始めてみたわ。」
「それはさすがに言いすぎ・・・。」
乗客のほとんどは津山まで変わらなかった。津山駅の到着直前、車窓の右側には扇形車庫が見える。次に行くのはあの場所だ。
最長往復切符往路津山駅で途中下車




