561列車 旧日豊本線経由
2062年3月12日・日曜日(第5日目)天候:曇りのち晴れ 九州旅客鉄道鹿児島本線鹿児島中央駅。
「えーっと。」
「何ニナサイマスカ。」
接客ドロイドが萌を急かすように聞く。
「ちょっと待ってて・・・。うーん。」
「申シ訳アリマセン。」
「・・・。」
ドロイドって何かズレているというか・・・。プログラムの段階からそういう風に接客しろとなっているというのは分かるのだけど、何か「すっごい謝ればいい」的な印象をこっちは受けるんだよなぁ・・・。萌は「ちょっと待って欲しい」と言っただけなのに、ドロイドは怒られたと受け取ったのだろうか・・・。時代の変化とは言え、人対人で接客されてきたのは普通だった身からするとなんとも言えない・・・。
「黒豚弁当ちょうだい。2つ。」
「了解シマシタ。2ツデ1576円デス。1576円丁度頂キマス。有難ウゴザイマシタ。」
萌はお弁当を貰って、僕の隣に来ると一言、
「慣れない。」
とつぶやいた。
鹿児島中央9時47分→隼人10時22分
列車は桜島を望みながら、隼人へ向けて走って行く。今日の桜島は穏やかだ。そびえる緑の山は見てて、どこかほっとする。大和見て安心感を覚えたりするのは日本人の山岳信仰という文化が根付いているという認識でいいだろう。
隼人では日豊本線から肥薩線に乗り換える。止まっているディーゼルカーは赤色3扉の付いたキハ220形。行き先表示はバスのように大きく「普通 ワンマン 都城(吉松経由)」と書かれている。
「見やすくていいよね。」
萌が言う。
「バスにについたLED表示器は見やすいなぁ。頭でっかちに見えちゃうのは玉に瑕だけど。」
「頭でっかちかぁ・・・。ナガシィは頭固い方だけどね。」
「そう。」
「馬鹿だし。」
「馬鹿だろうなぁ・・・。」
隼人10時35分→都城13時20分
列車の中は少し混んでいた。服装やもっているにも浸からして明らかに18切符ユーザーだと思える。その人たちのほとんどは吉松駅で「しんぺい」に乗り換えていった。彼らの乗った「しんぺい」に乗ると昨日「SL人吉」で降り立った人吉駅へ行くことが出来る。だが、僕たちはこのままこの列車を都城まで乗り通す必要がある。
吉松からの客層は多くの18切符ユーザーに変わった。彼らは皆、人吉の方から「いさぶろう」に乗ってきた人たちなのだろう。
キハ220形はピョンピョン跳ねるように走り続け、都城に到着する。
都城13時23分→南宮崎14時11分
都城からは少ない接続時間で宮崎行きの列車に乗り換える。この列車に南宮崎まで揺られ、また列車の乗り換えだ。




