557列車 廃れたる黒ダイヤ
2062年3月9日・木曜日(第2日目)天候:晴れ 九州旅客鉄道鹿児島本線吉塚駅。
お昼ご飯を食べ終わってから、僕たちは小倉方面に向かう鹿児島本線の列車に乗った。ようやっと博多駅の近くから離れることになる。
吉塚14時48分→「快速」→折尾15時33分
快速列車に乗って、博多方面行きの列車を見るとかなりの頻度で列車が走っていることが分かる。快速、普通に混じって特急列車も走る。その多くは大分からやってきた「ソニック」だ。
「結構な頻度で走るよね。この路線。」
「そうだな。名古屋圏の東海道本線と同じかな。」
「・・・ラッシュとかになったら貨物列車どうしてるのかな。」
貨物列車の入る隙間もなさそうだ。
折尾16時00分→直方16時20分
折尾駅で筑豊本線の列車に乗り換える。筑豊本線のホームは地上に有り、高価にある鹿児島本線のホームから降りてきたのだ。止まっている列車は九州旅客鉄道のローカル線で活躍している817系だった。
直方16時24分→「快速」→新飯塚16時39分
直方で列車を乗り換え、隣駅の新飯塚駅に向かう。新飯塚駅では再び乗り換えだ。ここからはディーゼルカーに乗り換えだ。原田→桂川の間で乗って以来だ。先頭にはバスに搭載されている大きなLED表示器に「ワンマン 普通 田川後藤寺」と大きい文字で書かれている。こういう表示は年寄りにはありがたい。
新飯塚16時45分→田川後藤寺17時07分
田川後藤寺に着いたらまた乗り換えである。さっきから列車をかなりこまめに乗り換えている。老体にはこういう乗り換えもキツいものだ。普段なら、何も乗り換えを考えずに一気に優等列車で抜けて行ってしまいたいところだが、それが出来ないのが最長往復切符の難点と言える。これはこの先でも耳にタコができるほど言うことであろう。
「・・・。」
田川後藤寺駅にいるキハ220形はとても寂しいものだ。1両でとなるにはもったいないくらい長い、長いホーム。その一部に屋根が付いていて、今乗ってきた列車はその屋根の範囲にすっぽりと収まっている。
「昔は石炭で栄えてたのよね。」
萌が言う。このあたりは萌が言うとおり、石炭で栄えていたところである。大きい駅に1両だけの旅客列車がやってくるというのはそれが衰退したことに他ならないのだ。
「そうだな。でも、今はこんな銚子か・・・。昔はD51とか、いっぱいいたんだろうけどね。」
「D51かぁ・・・。いっぱいいるのはいい眺めだったかもね。」
「今蒸気機関車がいっぱいいるのは京都の鉄博ぐらいしか無いもんなぁ・・・。」
「そうねぇ・・・。」
「さ、日田彦山線のホームに行こう。今日は日田で終わりだし。」
田川後藤寺17時19分→日田18時32分
僕たちは日田行きのディーゼルカーに乗り込む。ディーゼルエンジンをうならせながら、ピョンピョンと跳ねるように走り、夜明駅に到着する。夜明駅ではこれから乗る久大本線が合流する駅だが、今日は久留米方面には行かない。今乗っているディーゼルカーを終点まで乗り通し、日田駅で降りた。
「すいません。夜明からここまでの運賃、精算します。二人分で。」
最長往復切符往路夜明駅まで使用
久大本線夜明→日田間、日田駅で運賃精算の上乗車
一口メモ
九州旅客鉄道823系
鹿児島本線の博多周辺に投入した通勤形電車。811系の老朽置き換え用。顔は817系からのデザインを採用しており、鉄道ファンの間では九州と言えばこれと言われるまでにイメージが定着している。




