552列車 ついに受け取ってしまう
2062年3月7日・火曜日(第0日目)天候:雨 九州旅客鉄道豊肥本線阿蘇駅。
山の天気は変わりやすいものだ。雨が降ってきた。僕らは傘を差して、足早に阿蘇山から下りてきた。阿蘇駅に戻ってきたのは15時30分だった。
「ああ。雨降って来ちゃったね。」
「まぁ、これからは列車に乗ってるだけだから、大丈夫でしょ。」
阿蘇16時37分→「九州横断特急4号」→熊本17時50分
YC81系「九州横断特急」に乗車し、熊本駅まで向かう。道中では最長往復切符の経由地を反復で覚えていく。
「まもなく立野、立野です。」
立野駅では列車は一旦ホームを通り過ぎ、ホームのないところに停車する。
「さっきホーム通り過ぎちゃったけど。」
「スイッチバックの駅だね。これからさっき通り過ぎたホームに入るんだよ。」
僕はそう言ってから、
「萌ってこういう駅は見たことない。」
「ありません。ナガシィだけよ。」
「あっ・・・そうだっけ。」
萌がこれで嘘つく必要はないからな。多分そうなんだろう。
若狭小浜→嬉野温泉の乗車券熊本駅で途中下車
熊本に到着すると僕は緑の券売機に走り、ぱぱっと乗車券が買った。新鳥栖→博多の往復券だ。僕たちの持っている乗車券は新鳥栖までは有効だが、新鳥栖から先は有効区間の範囲外にでる。もちろん、博多駅の窓口で精算すれば当然問題ないが、あらかじめ買っておかないとどうも不正乗車している気がしてならない。
熊本18時03分→「さくら568号」→博多18時41分
若狭小浜→嬉野温泉の乗車券新鳥栖駅まで使用
新鳥栖→博多(ゆき)(九州新幹線経由)を使用開始および終了博多駅で下車
博多駅に到着すると僕らは一旦改札口をでて、窓口へと行った。亜美ちゃんから貰っている紙切れを頼りに、亜美ちゃんが最長往復切符を頼んだ窓口へと向かう。その窓口を見つけて、行列を最後に並ぶ。
「すいません。えーっと、永島亜美の名前で切符の制作を依頼していたものなのですけれども。」
自分の順番が来たので、僕はそう窓口の女性に告げた。
「はい、少々お待ちください。」
女性はそう言うと、一旦窓口から離れた。少し立つと切符を持って、また窓口に現れる。手にはぺらぺらの紙を持っている。アレが最長往復切符か。
「制作依頼が永島亜美様。受け取りが永島智暉様、永島萌様でお間違いないでしょうか。」
「はい、間違いありません。」
僕がそう言うと、切符が僕の前に置かれた。券面にはこの切符の効力が全て手書きで書き込まれている。嬉野温泉→稚内までの往復券。経由地別紙参照(※経由地記載)となっており、その髪は切符の後ろにホチキスで留められている。
「経由地のご確認をお願いします。」
「はい。」
僕は眼鏡を外した。顔を紙に近づけて、文字を確認する。さすがに経由地は手書きでは出来ないな。パソコンの文字が並んでいる。嬉野温泉の場所に右人差し指を置き、経由地を確認し始める。
「宗谷本線、名寄、北海道開発、稚内・・・。」
ここまでくるのに何分かかっただろうか。そんなことはもう分からない。だが、これで2枚の切符の経由地に狂いがないことが分かった。
「お間違いないでしょうか。」
窓口の女性が聞く。
「はい、間違いないです。ありがとうございます。」
僕はそう言って、2枚の最長往復切符のお金を払い切符を受け取った。
切符を受け取ってから、僕たちはエレベーターで博多駅の屋上へ上がった。ここには鉄道神社というものがある。ここに参拝しておこうと思ったのだ。雨が降っており、切符を持ったまま参拝とは行かないみたいだ。鞄の中に最長往復切符をしまい、鉄道神社に行く。
(明日から110日間。無事に旅行が終えられますように。)
2拍手は雨音にかき消された。
※
嬉野温泉→稚内(往復券)
経由:嬉野温泉・「九州新幹線長崎ルート」・諫早・「大村線」・早岐・「佐世保線」・肥前山口・「長崎本線」・新鳥栖・「九州新幹線」・博多・「鹿児島本線」・原田・「筑豊本線」・桂川・「篠栗線」・吉塚・「鹿児島本線」・折尾・「筑豊本線」・新飯塚・「後藤寺線」・田川後藤寺・「日田彦山線」・夜明・「久大本線」・久留米・「鹿児島本線」・新八代・「九州新幹線」・川内・「鹿児島本線」・鹿児島・「日豊本線」・隼人・「肥薩線」・吉松・「吉都線」・都城・「日豊本線」・小倉・「山陽本線」・幡生・「山陰本線」・長門市・「美祢線」・厚狭・「山陽本線」・小野田・「小野田線」・居能・「宇部線」・新山口・「山口線」・益田・「山陰本線」・伯耆大山・「伯備線」・備中神代・「芸備線」・広島・「山陽本線」・倉敷・「伯備線」・新見・「姫新線」・津山・「津山線」・岡山・「山陽本線」・姫路・「姫新線」・東津山・「因美線」・鳥取・「山陰本線」・福知山・「福知山線」・尼崎・「東海道本線」・神戸・「山陽本線」・西明石・「山陽新幹線」・新大阪・「東海道本線」・京都・「山陰本線」・綾部・「舞鶴線」・東舞鶴・「小浜線」・若狭小浜・「北陸新幹線」・富山・「高山本線」・岐阜・「東海道本線」・米原・「北陸本線」・近江塩津・「湖西線」・山科・「東海道本線」・草津・「草津線」・柘植・「関西本線」・木津・「片町線」・京橋・「大阪環状線(大阪経由)」・新今宮・「関西本線」・奈良・「桜井線」・高田・「和歌山線」・和歌山・「紀勢本線」・亀山・「関西本線」・名古屋・「中央本線(岡谷経由)」・辰野・「飯田線」・豊橋・「東海道本線」・静岡・「東海道新幹線」・三島・「東海道本線」・小田原・「東海道新幹線」・新横浜・「横浜線」・八王子・「中央本線」・甲府・「身延線」・富士・「東海道本線」・沼津・「御殿場線」・国府津・「東海道本線」・大船・「根岸線」・横浜・「東海道本線」・鶴見・「鶴見線」・浜川崎・「南武線(尻手経由)」・川崎・「東海道本線」・品川・「東海道本線」・武蔵小杉・「南武線」・立川・「青梅線」・拝島・「八高線」・倉賀野・「高崎線」・大宮・「埼京線」・武蔵浦和・「武蔵野線」・西国分寺・「中央本線」・東京・「京葉線」・蘇我・「内房線」・安房鴨川・「外房線」・大網・「東金線」・成東・「総武本線」・松岸・「成田線」・佐倉・「総武本線」・錦糸町・「総武緩行線」・秋葉原・「東北本線(京浜東北線経由)」・田端・「山手線」・池袋・「赤羽線」・赤羽・「東北本線(京浜東北線経由)」南浦和・「武蔵野線」・新松戸・「常磐線」・水戸・「水郡線」・安積永盛・「東北本線」・小山・「両毛線」・新前橋・「上越線」・越後湯沢・「上越新幹線」・高崎・「北陸新幹線」・長野・「篠ノ井線」・松本・「大糸線」・糸魚川・「北陸新幹線」・飯山・「飯山線」・越後川口・「上越線」・宮内・「信越本線」・柏崎・「越後線」・新潟・「上越新幹線」・長岡・「信越本線」・新津・「磐越西線」・郡山・「磐越東線」・いわき・「常磐線」・岩沼・「東北本線」・福島・「東北新幹線」・仙台・「仙石線」・石巻・「石巻線」・小牛田・「陸羽東線」・古川・「東北新幹線」・一ノ関・「東北本線」・北上・「北上線」・横手・「奥羽本線」・米沢・「米坂線」・坂町・「羽越本線」・秋田・「奥羽本線」・東能代・「五能線」・川辺・「奥羽本線」・大館・「花輪線」・好摩・「IGRいわて銀河鉄道線」・盛岡・「東北新幹線」・新青森・「北海道新幹線」・長万部・「室蘭本線」・沼ノ端・「千歳線」・白石・「函館本線」・岩見沢・「室蘭本線」・追分・「石勝線」・新得・「根室本線」・東釧路・「釧網本線」・網走・「石北本線」・新旭川・「宗谷本線」・名寄・「北海道開発高速鉄道線」・稚内




