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MAIN TRAFFIC  作者: 浜北の「ひかり」
Wakasa-Obama→Uresino-Onsen Episode
551/779

551列車 「火の山」阿蘇

 2062年3月7日・火曜日(第0日目)天候:曇り 九州旅客鉄道(ジェイアールきゅうしゅう)日豊本線(にっぽうほんせん)別府(べっぷ)駅。

 一日のお休みを挟んで今日から旅行を再開する。今日は博多(はかた)まで向かう必要があり、例のものを受け取らなければならない。だが、それらは全てここから出発する豊肥本線(ほうひほんせん)にはいる列車に乗らなければ始まらないのだ。別府(べっぷ)駅のホームにはステンレス車体のディーゼルカーが止まっている。車体の番号を見てみると九州旅客鉄道(ジェイアールきゅうしゅう)特有の表記でYC80-1と書かれている。この列車は豊肥本線(ほうひほんせん)へ直通する「九州横断特急(きゅうしゅうおうだんとっきゅう)」だ。

別府(べっぷ)9時16分→「九州横断特急(きゅうしゅうおうだんとっきゅう)2号」→阿蘇(あそ)11時27分

 大分(おおいた)を過ぎると豊肥本線(ほうひほんせん)へと入る。豊肥本線(ほうひほんせん)熊本(くまもと)地震の影響で長らく不通となっていたが、復旧作業により現在では大分(おおいた)から熊本(くまもと)まで行くことが出来る鉄道線として復活している。

 発電機でモーターを回すYC81系の真価はここから発揮させると言っても過言じゃないだろう。ディーゼルエンジンをうならせ、YC81系は大分(おおいた)を発つ。

 豊肥本線(ほうひほんせん)に入ってから、僕は鞄から亜美(あみ)ちゃんから渡されたものを取り出した。その髪には見やすい文字で最長往復切符の経由地が手書きされている。

「確認の為に渡されたんだよね。」

「ああ、プロの作ったものだし、これを書いた人は元プロだし、間違ってないと思うけどね。」

「覚えれる。」

「好きこそものの上手なれってね。大丈夫、このくらい簡単だよ。」

僕は(もえ)にそう言った。

若狭小浜(わかさおばま)嬉野温泉(うれしのおんせん)の乗車券阿蘇(あそ)駅で途中下車

 「九州横断特急(きゅうしゅうおうだんとっきゅう)」を阿蘇(あそ)駅で降りる。特急列車から降りルと、運転士が切符の回収にやってきた。「九州横断特急(きゅうしゅうおうだんとっきゅう)」はワンマン運転の特急列車だ。信じられないが、こういうのを実体験すると九州旅客鉄道(ジェイアールきゅうしゅう)の現状を垣間見れる。

 12時10分のバスを待ってから阿蘇山(あそさん)へと行ってみる。約30分バスに揺られ、ロープウェイで火口西駅に登る。ロープウェイから降りると、少しだけ、空気に違和感を覚える。

「これって、ガスのにおい・・・。」

(もえ)が言う。風に乗って流れてきているのかな・・・。

 ガスのにおいに逆らって、中岳の火口に向かった。案内に従って歩いて行くと、行く手には白い煙が上がっている。中岳の火口は今でも活動を続ける活火山と言うことだ。あの煙は気が向けば、僕たちを殺すことが出来るという警告とも取れるだろう。だが、僕たちは故意にその警告を無視することにする。

 展望デッキからはよくネットで見る風景が広がっていた。したにはエメラルドの水が張り、そこからもくもくと煙が上がる。今日はあんまりそれに勢いはなさそうだ。

「・・・。」

火口にはゴツゴツとした岩肌がむき出しとなっている。あの場所には生物の住める環境ではないのだな。

「写真撮ろう。」

(もえ)は自撮り棒を取り出して、写真を撮る。急に引っ張ったので、僕の写真写りは悪いなぁ・・・。もう一度取り直して貰うつもりもないけど・・・。


九州旅客鉄道(ジェイアールきゅうしゅう)YC81系気動車

九州旅客鉄道(ジェイアールきゅうしゅう)が開発した蓄電池搭載の特急型気動車。キハ185系の老朽置き換え用車両で、九州旅客鉄道(ジェイアールきゅうしゅう)の合理化の一環で投入されている。YC1系を始祖とする、気動車初めての特急型車両であり、「あそぼーい」、「九州横断特急(きゅうしゅうおうだんとっきゅう)」、「A列車で行こう」などなど、九州旅客鉄道(ジェイアールきゅうしゅう)館内で運行する気動車特急をこれに統一している。台車の上に乗っているものは全く違うものであるが、番台区分で同型式としている為、現代では最も個性のある形式である。


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