541列車 HIGH RAIL Koumi Line
2062年3月2日・木曜日(第-5日目)天候:晴れ 東日本旅客鉄道小海線清里駅。
清里駅を通り過ぎると次の駅は日本最高地点にある駅野辺山駅である。また清里~野辺山間に鉄道の通る日本最高地点もある。野辺山駅は1345メートル。清里~野辺山間の日本最高地点は1375メートルだ。
あたりは雪がまだ積もったままでレールとレールの間に人が歩いた後だけがある。誰がここを歩くのかと最初は思ったが、保線作業員が歩いた後だろうと思い直した。前面展望を見ている限り、人が住んでいるような生活感はあまり感じられない。夜になったら自然の中に取り残されるような感覚になるのだろうか。
モーターの音を響かせ、坂を駆け上がり、日本最高地点という木の立て看板がある踏切を通り過ぎ、今度は坂を駆け下りていく。カーブを曲がって視界が開けると野辺山駅に到着する。
「到着・・・。」
「空気がおいしい・・・。」
そういう感想を持った。
「ナガシィ。日本最高地点の駅野辺山。標高1345.67メートルだって。」
「ああ。標高は2を抜いたどうこうって言うのは駅のことだったか。」
僕も勘違いしていたことがあったなぁ・・・。
「ナガシィ。せっかくなんだし、さっきの踏切の所行ってみようよ。」
「そうだな。せっかくここまで来たんだしな。」
そういう話になり、僕らは駅前に出てタクシーを拾おうと思った。
「永島智暉様、永島萌様。オ待チシテオリマシタ。」
ロボットが頭を下げた。
「えっ、そうだけど。」
「亜美オ嬢様ヨリ観光ノ補助ヲ担当シテ下サイトノゴ命令ヲ受ケマシテ、オ伺イシタ次第デアリマス。」
なんと・・・。僕たちは旅行の為に亜美ちゃん達に旅程を送っている。僕らの日程に合わせて同行出来るというのはよく分かるのだけど・・・。まさかこんなものがやってくるとは思ってもみない。このロボットは自立型ドライバードロイド。その名の通り自分で車を運転出来るロボットだ。乗り付けている車は黒塗りの高級車ではないが、上等な車であるとは思える。
「ええ。いいの。送ってもらっちゃって。」
「ハイ。亜美オ嬢様ノゴ命令トナレバ断レマセン。」
「じゃあ、頼もうかな。」
「因ミニドチラヘ向カワレマスカ。」
「鉄道の日本最高地点って分かるかな。」
「少々オ待チ下サイ。ビッグデータヲ参照シマス。鉄道ノ日本最高地点ヲ特定シマシタ。ソレデハソチラヘ向カイマス。」
車を走らせて、さっき通った踏切の所へやってきた。
木の立て看板には「JR鉄道最高地点」と書かれており、ここが鉄道の日本最高地点なんだという実感がわく。
「おお・・・。」
「私ガ写真ヲ撮リマショウカ。」
「ごめん、じゃあ。お願い。」
立て看板をバックに写真を撮って貰う。
「撮レマシタ。」
「ありがとう。ナガシィ・・・。」
萌は僕にもその写真を見せる。
「よく撮れてるね。」
「ナガシィ。今度はちゃんと「HIGH RAIL」に乗れるようにしようね。」
「そうだな。」
日本最高地点を通過する小海線の列車を見てから野辺山駅に戻った。
野辺山13時47分→小淵沢14時20分
小淵沢14時39分→「あずさ20号」→甲府15時05分




