9524列車 時間のかかる大阪行き
8月5日。行程11日目。
今日は久しぶりに早起きだった。乗る列車が6時00分発の為だ。
「この列車で大阪まで戻って、一旦自分たちの家に帰ろうか。」
それは前から聞かされていた。私の為に考えてくれたのかな。そう思ったけど、後半戦まで多少時間があるらしい。だからって6時00分発の特急列車で帰らなくても・・・。止まっているシルバーの車両はとてもうるさい。片方は6時00分発でもう片方は6時08分発。どちらも大阪へ向かう特急列車らしい。私達が乗るのは窓の所に赤いラインが入っている方か。
「これ乗りたかったんだよね。」
輝が言う。
「・・・。」
何で乗りたいのだろう。
「早く乗ろう。」
輝にせかされ車内に入る。朝早いと言うこともあってか空いていた。
身震いをしてから進み始める。
「本日も西日本旅客鉄道をご利用いただきまして、ありがとうございます。」
アナウンスが流れ始める。
「どういたしまして。」
これももう慣れた・・・。
「この列車は特急「はまかぜ2号」大阪行きです。途中の停車駅は岩美、浜坂、香住、竹野、城崎温泉、豊岡、江原、八鹿、和田山・・・。」
自動放送は淡々と大阪駅までの停車駅を告げていった。その自動放送が終了すると今度は車掌の肉声による放送が入った。
「皆様、おはようございます。特急「はまかぜ2号」大阪行きです。途中停車駅と停車予定時刻をご案内いたします。次の岩美には6時16分。浜坂6時30分。香住6時49分。竹野7時04分。城崎温泉7時12分です。なお、城崎温泉より先の停車駅の停車予定時刻は浜坂を出発した後ご案内いたします。お客様にお願いいたします。この列車はデッキ、トイレを含めまして、全て禁煙となっております。お煙草、電子煙草の喫煙はご遠慮ください。又車内への危険物の持ち込みは禁止されております。不審なものを発券されました際はお近くの乗務員までお申し出ください。携帯電話はマナーモードに設定の上通話はデッキでお願いします。それでは「はまかぜ号」の快適なひとときをお楽しみください。」
「・・・大阪に何時に着くの。」
アナウンスが終わったのでそう聞いてみた。
「10時01分だよ。」
「えっ、10時・・・。」
6時出発だから4時間か・・・。鳥取から大阪へ行くのに時間かかりすぎじゃない。
「時間かかりすぎじゃ・・・。」
「そうだよ。だって大阪へ行くだけならまずこれには乗らないからね。」
と言った。ああ、つまりこの「はまかぜ」って言う特急列車は頭のおかしい人たちが大阪へ行くときに使うのか・・・。輝の話ではさっき鳥取駅で見た6時08分発の特急列車のほうが大阪に42分早く着くことが出来るらしい。だが、私達は切符の関係でこの速い特急列車には乗れないのだ。
「42分も早く着くならそっちに乗りたかったなぁ。」
「ハハハ・・・。諦めなよ。僕と一緒に旅行してるときは特にね。」
「・・・鉄道ファンって人とは違う事したいタイプの人が多いの。」
「多くは無いと思うよ。まぁ、一般人とは違う事するタイプが多いだけ。」




