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MAIN TRAFFIC  作者: 浜北の「ひかり」
Summer Vacation Episode
521/779

9521列車 スーパーロングラン特急列車

 8月1日。行程7日目。

「ふぅ・・・。これでようやっと洗濯が出来る・・・。」

コインランドリーにある椅子に腰掛けると本音が漏れた。7日間も連続で旅行をしていたから、前に一度来たものの着回しが目立ってきたところだった。ようやっと洗濯が出来る。日々の当り前からしばらく離れていたことがよく分かる。

「シンクン。いつも旅行の時どうしてるの。」

「ファブリーズを装備してってるよ。」

「それじゃあ、洗濯してないって事。」

「ああ。まぁ、」

「汚いわねぇ・・・。」

「・・・今日はちゃんと洗濯してるでしょ。」

「「今日も」にしてよ。」

「はい・・・。」

 洗濯が終了してから、電車で出発するというわけじゃない。今日は17時ぐらいまで宮崎(みやざき)から離れないというのだ。せっかく時間が出来たのだから、観光地でも行ってみよう。(かがやき)を連れてあたりを散策して、歩き疲れたら宮崎(みやざき)駅に戻った。

 17時を過ぎてからホームへとあがる。

「この特急に乗るよ。」

(かがやき)はそう言いながら、電光掲示を指さす。「特急にちりんシーガイア24号」博多(はかた)行き・・・。宮崎(みやざき)から博多(はかた)へ行く特急列車・・・。

「長っ。」

「長いよ。日本一長距離の昼行特急列車だよ。宮崎空港(みやざきくうこう)から博多(はかた)まで411.5キロを走るよ。僕らが乗るのは全体の82.6%だけだけど東京(とうきょう)から三河安城(みかわあんじょう)まで東海道本線で移動するのと変わらない距離を移動することになるよ。」

東京(とうきょう)から三河安城(みかわあんじょう)・・・。三河って事は愛知県か。東京(とうきょう)都から愛知県まで移動する距離を乗るのかぁ・・・。そんな長い時間乗ってたら色々と・・・。

「ここおいで。」

言われるがまま、私は(かがやき)の隣に立つ。

「えっ、グリーン車・・・。」

「そうだよ。」

「お金無いんじゃないの。」

「こ・・・これは最初から組み込んでいたものだから大丈夫。」

「正直に言いなよ。怒んないし。」

「正直に言ってるよ。」

 しばらくすると黒色の電車が入ってきた。どことなくロボットみたいな印象を受ける顔をしている。ドアが開くと私達はグリーン車に乗り込んだ。(かがやき)はドアから入ってすぐのあたりで部屋の中に入った。

「えっ、電車の中に部屋があるの・・・。」

「そこの扉しめて。」

「えっ、あっ、これ。」

部屋の扉を閉めると完全な部屋になった。

「電車の中に部屋があるって初めて見た。」

「ビックリした。」

「ビックリするに決まってるでしょ。電車の中に部屋があるなんてみたことないし。」

「ビックリしてくれて良かった。でないとここ取った意味ないからなぁ・・・。」

私のことビックリさせるためにこういう所取ったのか。今まで乗った電車もビックリする要素はあったのに・・・。あれ、どっかで電車の中にある部屋はみたことあるような・・・。

「あっ、電車の中の部屋はこれで2回目か。「サンライズエクスプレス」でもこう言うのだったよね。」

そうつぶやくと、

「印象・・・。」

(かがやき)は何か言っていたみたいだけど、なんて言ってたんだろう。

 個室での旅はいいなぁ・・・。これ一人で使ったら他の客に配慮する必要はどこにも無いわけだからなぁ。そう思えると普段乗っているときには出来ないことをしたくなってくるものだ。私はソファーに寝てみた。

「快適。」

「最高・・・。電車の中で寝れるって言うのは「サンライズエクスプレス」くらいじゃないと無理だと思った・・・。こう言うのって普段のじゃ出来ないもんね。」

「出来ないね・・・。」

(かがやき)はそういい目を反らす。えっ、まさか見えてる・・・。

「僕、C寝台ってものしたことあるんだけどなぁ・・・。」

見えてるわけじゃなさそう。

「C寝台って。」

「えっ、ああ。一言で言ったら行儀の悪いことだよ。」

「電車で行儀の悪いことしちゃダメでしょ。」

「もちろんだけど、乗客が少ないところでしかやってないよ。」

「やっちゃダメでしょ。行儀が悪いことなんだから。」

「いや、絶対やりたくなるときがくるって。」

「どういうときよ。それは。」

 大きい声で話しても大丈夫って言うのがいいなぁ・・・。話したり、寝たりしながら、小倉(こくら)でこの電車を降りた。旅行の中で一番楽な一日だった。


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