9518列車 可愛いもの
黒色の特急列車「リレーかもめ」に乗って、武雄温泉へ向かう。武雄温泉では特急列車の反対側に新幹線が止まっており、私達はそれに乗り込んだ。
駅を出発すると壮大そうなチャイムが流れる。
「今日も新幹線をご利用いただきまして、ありがとうございます。この列車は「かもめ号」長崎行きです。」
「「かもめ」って言う新幹線があるんだ。」
「「かもめ」って言うのは長崎行きの特急の名前だったんだよ。新幹線の開業で新幹線に昇格したんだな。」
そう輝は言った。
私もこの旅で数多くの新幹線を目にした。「つるぎ」、「はくたか」、「はつかり」、「つばさ」そして今日の「かもめ」。どれも一度も聞いたことがなかったり、少しぐらいしかなじみが無かったりするものばかりだった。輝からすればどれもなじみのある名前の新幹線達なのだろう。
「次の諫早って言うところで降りるからね。」
「諫早かぁ・・・。」
感じをみると練習の「練」に似ている。いや、よく見ると違う。部首は言偏になっているし、つくりも「東」ではない。読めないなぁ・・・。
乗車時間も短く、すぐに諫早に到着。諫早からは大村線って言うディーゼルカーに乗って、早岐経由で武雄温泉に戻る。これで坂田以来使っていた切符は無効となった。
1時間30分の間に温泉いつかって、武雄温泉駅に戻る。武雄温泉からも普通電車を乗り継ぎ、昼ぐらいに通過した鳥栖駅まで戻る。鳥栖駅からは久留米駅の方へ電車に乗り、そこからはさすがに新幹線で移動することとなった。
「ああ。今日は疲れた。」
「お疲れ様。」
「移動したわねぇ・・・。だって今日の朝は岡山にいたのよね。」
「そうだな。」
「シンクンからしてみれば、こういう移動は可愛いもの。」
「うん。可愛いもんだよ。だって、特急使ってるし。」
「あっ、そういうかわいさね・・・。」




