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MAIN TRAFFIC  作者: 浜北の「ひかり」
Hikari Episode:3
452/779

452列車 絶対行きなさい

「ただいま。」

僕はそう言って、家の玄関を開けた。

「お帰りなさい、お父さん。」

そう言いながら、玄関まで迎えに来てくれたのは智萌(ともえ)だ。

「あれ、お母さんは。」

いつもなら(もえ)が迎えに来てくれるんだけど・・・。どうかしたのかな。どうかしたとしたら僕はどうすれば良いのかな・・・。

「お母さんはひかりと一緒に東京(とうきょう)行ったよ。あれ、・・・なんだっけあっ、高校の説明会に行くんだって。」

「ああ、岩槻のね。あれって今日だったの。」

「そうみたい。」

「・・・お昼はどこか食べ行く。」

「お母さんから外食はしないで練って言われてるんだけど・・・。」

なるほど。家計が厳しいって事ね・・・。僕の財布の中も結構寒いんだけど・・・。でも安いところで済ませるなら、払えるだけのお金は入っているか。

「いいよ。気にせず食べ行こう。」

「えっ、お母さんに怒られるよ。お父さん。」

「大丈夫。僕のお金で外食するなとはお母さん言ってないんでしょ。」

「ヨッシャー。じゃあ、ステー・・・。」

「牛丼にしようか。」

「えーっ。牛丼なんか食べてたら太るじゃない。」

ステーキ食べてもそればっかなら太るだろ・・・。結局は今自分が食べたいもの食べたいって言ってるだけって事か。まぁ、まだ中学生だからそう言うわがままも効くだろうけどね。

「中学生がそんなこと気にするな。牛丼にプラスサラダ食べとけばバランス取れて大丈夫だから。今は太ることじゃなくて、しっかりした体作ること。」

食生活乱れまくりの自分が何言ってるんだか・・・。

 久しぶりに東京(とうきょう)にやってきたが、その理由は光が入学しようと考える学校岩槻高校の学校説明会を聞くためだ。元々鉄道高校だったこともあって、鉄道シミュレーターとかもあり、鉄道に特化した教育を受けることができるというのは今回改めてよく分かったことだ。

「光、すごい高校に行く気なのね。」

私は後ろのそびえる高校を見ながら言った。

「すごい高校かぁ・・・。お母さんたちの高校ってどんなところだったの。」

「光がいつも見てる中学校みたいな高校よ。浜松(はままつ)に10階建ての高校なんて無いからね。」

「・・・。」

「まぁ、それだけ東京(とうきょう)がすごい所って事よ。新幹線乗って帰ろう、(ひかり)智萌(ともえ)が待ってるわよ。」

そう言いながら、上野(うえの)駅の方へと歩いて行こうとしているが、時間は16時になろうとしているところ。乗る新幹線は18時03分発の「ひかり525号」。まだ2時間ぐらい時間がある。

「ちょっとMV見てくるわね。」

そう言うとお母さんは券売機に行った。券売機で何をするんだろう。お母さんが操作する券売機の画面を覗くように見ていたが、お母さんは別に切符を買ったりすることもせず、座席がたくさん出てくる画面まで来たところで、取り消しを押した。

「ちょっとみどりの窓口行ってくるわね。」

そう言うと、今度はみどりの窓口に行った。行列の後ろに並び、しばらくして戻ってきた。

「ごめんね。じゃあ行こうか。」

「えっ、でも新幹線2時間後じゃ。」

「さっき、30分後の「ひかり521号」にして貰ったの。切符で一度だけ変更が利くのよ。覚えときなさい。」

お母さんはそう言うとウチに東京(とうきょう)都区内から守山(もりやま)までの切符を渡してきた。ていうか、それは知らなかったなぁ。お母さんも電車詳しいからなぁ、それぐらい知ってて当然かな。

「次に出発するのは・・・上野(うえの)東京(とうきょう)ラインにちょうど良いのがあるわね。7番線。」

そう言うとすたすたとそのホームまで歩いて行く。16時20分に出発する上野(うえの)東京(とうきょう)ライン東海道線(とうかいどうせん)直通普通沼津(ぬまづ)行き・・・。結構なロングランだな。

 この列車の東京(とうきょう)到着は16時26分。「ひかり521号」の出発時刻は16時33分。乗り換え時間はわずか7分だが、7分あれば十分乗り換えできる。

 東京(とうきょう)に着くと乗り換え改札を通り、新幹線ホームに上がる。使用車両はN700S(エヌナナエス)

「へぇ、N700S(エヌナナエス)か。」

N700S(エヌナナエス)って良いよね。」

「私は1000番台(ラージエー)の方が良かったなぁ・・・。もうすぐ引退だけど。さ、乗ろう。」

お母さんはさっさと車内に入る。ウチも指定席券に書かれた座席番号を確認して、列車に乗り込んだ。席に座ると「ひかり」はゆっくりと東京(とうきょう)のホームを離れ始めていた。

 ウチは外を見ながら、流れていく東京(とうきょう)のビル群を眺めていた時、

(ひかり)、岩槻。絶対行きなさい。」


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