426列車 新大阪に来た「アレ」
「みずほ612号」で新大阪まで戻ってきた。新大阪からはついに新大阪まで足を伸ばしてきた北陸新幹線に乗車する。乗る列車は「はくたか572号」東京行きだ。
「お父さん、お母さん、光早く。」
博多とは違い、今度は智萌が先に歩いている。結局「みずほ」の中でも寝てたからなぁ・・・。それじゃあグリーン車に乗って寝てましたとしか自慢話できないぞ・・・。
「そこまで急がなくてもいいのに・・・。」
智萌を見て、お父さんからもそんな声が聞こえてくる。だが、次の「はくたか572号」まであまり時間が無いのも事実である。新幹線と在来線の乗り換えのように、山陽新幹線から北陸新幹線への乗り換えはすぐには出来ない。お父さんとお母さんの足も智萌につられるようにだんだんと早くなる。
(・・・結局急ぐのかぁ・・・。)
おいて行かれないように北陸新幹線ホームへと急いだ。
歩いて行くと北陸新幹線への乗り換え改札口が見えてきた。そこの改札機に切符を通し、北陸新幹線の方に入る。
「本日も北陸新幹線をご利用くださいましてありがとうございます。こちらは北陸新幹線ホームです。東海道・山陽新幹線ホームではございません。東京方面お急ぎのお客様・・・。」
駅員のそういうアナウンスが流れる。遠くでは改札機のエラー音と一緒に「この切符では乗車できません」の機械音声が聞こえる。確かに、よく分からない人からすれば、新幹線=東京に早く着くだろうからなぁ・・・。こういうアナウンスをしているのにかかわらず、北陸新幹線に間違って乗ってしまう東京行き旅客でもいるのだろうか・・・。と、他人の誤乗の心配はこのぐらいにして・・・。
北陸新幹線のホームには発車を待っている「はくたか572号」の姿があった。形式を確認するとE726-418の番号を確認した。今ホームにいるのはJR東日本が保有するE7系F18編成。E7系の中では金沢延伸開業時投入車のラストナンバーだ。
北陸新幹線は今回の新大阪までの延伸開業に合わせ新型車両E12系・W12系を投入している。現在はE7系・W7系ではまかないきれない分だけのE12系・W12系が投入され、運用についている。もちろん、製造からまもなく20年を経過するE7系・W7系はゆくゆくE12系・W12系で置き換えるようである。今回は乗れないが、E12系・W12系も「グランクラス」が連結されているほか、編成定員などは共通運用を組むE7系・W7系と統一されている。
さて、まずはフルカラーLEDの方向幕・・・方向ディスプレイをパシャリ。列車種別は青地に白の文字で表示している。行き先は白。指定席の表示は緑。
「・・・。」
「光。乗るよ。」
隣にいるE7系にかき消されるぐらいだったが、その声はウチの耳に届いた。ふと顔をそちらに向けるとお父さんたちの姿は小さく映る。もうすでに11号車の近くに行ってしまっている。
「ここから乗る。」
と言うのと同時にE7系を指さし乗るという動作をした。お母さんたちから分かったって言うジェスチャーが帰ってくるのを待って、ウチはE7系の車内へと入った。
「ご乗車ありがとうございます。この列車は「はくたか572号」東京行きです。途中、京田辺松井山手、京都、小浜、敦賀、武生南越、福井、芦原温泉、加賀温泉、小松、金沢、新高岡、富山、黒部宇奈月温泉、糸魚川、上越妙高、飯山、長野、上田、佐久平、軽井沢、高崎、大宮、上野の順に止まって参ります。本日、この列車の指定席はすべて満席となっております。今空いているお席も途中からお客様がご利用になります。トラブル防止のため今一度、お手持ちの特急券をよくご確認の上ご利用ください。」
車掌のアナウンスを聞いているだけでも「はくたか」の停車駅の多さが分かる。「はくたか」は東京方面からの旅客流動に特化したダイヤ編制をしていると言えるだろう。さっき車掌が言っていたが、指定席は満席・・・。新大阪からこの列車に乗り込んだ人は荷物棚に荷物をあげているか、通路を通って自分の席へ向かっているかのどちらかだ。通路でかち合う人にはできうる限り進路を譲りつつ、11号車のグリーン車を目指した。
10号車の東京側デッキまで来ると扉が「ドアが閉まります」の声とともに閉まる。「はくたか572号」新大阪発車だ。まだ発車直後で落ち着かない10号車を通り抜け、11号車の前に来た。普段は車内の見通せないグリーンマークの付いた引き戸が開く。
「光遅い。」
の声が近くでした。智萌だ。
「ごめん。」
と言うか、入ってすぐのところ取ってたんだ・・・座席番号から分かるけどさぁ・・・。
「後は上越妙高で降りること忘れなければいいわね。」
お母さんはそう言った。
「忘れないでしょ。もし心配なら目覚ましかけとけば。」
おい、それは迷惑きわまりないよ・・・。
「大丈夫よ。ねっ。」
お母さんはお父さんにそう言う。何が大丈夫なのかなぁ・・・。
E7系はトンネルの中を走る。




