402列車 俺勉強中
俺はシャープペンを走らせた。しかし、難しい問題だなぁ・・・。こんなの将来何の役に立つというのだろうか・・・。そう思ってくると勉強のモチベーションは一気に下がってしまう。いや、そんなことを考えてたら、俺は光や崇城さんに簡単においていかれるか。
そう思いシャープペンをまた手に取る。
「どう。勉強の調子は。」
小声で中百舌鳥さんが聞いてくる。
「ああ、ボチボチだよ。中百舌鳥さんは終わったの。」
「私は今日のノルマは達成したわ。」
総統:おっ・・・以下略ってことか。
「あっ、迷惑じゃなかったら、ここちょっと教えてくれない。」
「えっ。どれどれ。」
中百舌鳥さんは問題を見ると丁寧に教え始めた。俺の左腕には中百舌鳥さんの胸が時々あたる。中百舌鳥さんの胸って結構あるんだなぁ・・・。そんなことを考えていると、
「おーい。聞いてる。」
「へっ。」
「もう、せっかく教えてるのに。ちゃんと聞いてないならもう帰るわよ。」
「ごめん。」
でも、さっきまであたっていた胸がどうしても気になる。
「どこ見てるの。」
「分かるもの。」
「よくね。目の動きって結構いろいろ分かるものよ。」
そうなんだ・・・。って、そんなことはどうでもいいじゃねぇか。今は胸よりも・・・。
「だから、今は私じゃなくて問題。」
二度も同じことをした。そうだ。言うとおり問題に集中、集中。
「いい。邪な気は消えた。」
「あっ、うん。」
「じゃあ、続けるわね。といっても、最初から説明した方がいい。」
「本当にごめん。お願いします。」
なんていいやつ・・・。普通なら、邪な感情見抜かれたら、何の気もない人はさっさと帰るだろうからなぁ・・・。まぁ、中百舌鳥さんの場合は人がいいからだろうなぁ。
「ここがね・・・。」
説明を始める。俺はただ「へぇ」とか言いながら、中百舌鳥さんの頭の良さに感心するばかりだ。説明が終わる頃には分からなかったところはすっきり解決しているのだ。
「どう。分かった。やり方はこの問い全部同じよ。じゃ、後は頑張ってね。」
「えっ、帰っちゃうの。」
「あのねぇ・・・。ここは勉強する人がたくさんいるのよ。勉強が終わったらその人たちの迷惑にならないように帰る。ねっ。」
「あっ、おう。」
「それと、胸はじろじろ見ない。」
「ごめんなさい。」
本当によく分かってるんだなぁ・・・。
「分かればヨシッ。」
そう言うと、中百舌鳥さんは勉強道具を全部鞄の中に入れて、席を立った。後ろ姿を図書館出るまで見送った。
「さて、やるかぁ・・・。」
気合いを入れて、問題に向き合った。やり方はさっき教えてもらった。よぉし。
問題集の今開いているページにある問題を全部片付けると体を伸ばし、荷物を鞄にまとめた。さて帰ろう。
(あっ、帰るんだ・・・。僕ももう少し頑張って帰ろう。)




