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MAIN TRAFFIC  作者: 浜北の「ひかり」
Hikari Episode:1
382/779

382列車 よく会うね

 島本(しまもと)駅。鉄道を主に撮影する人なら有名な場所であろう。東海道本線(とうかいどうほんせん)でJR京都線(きょうとせん)と呼ばれる路線にあるこの駅は線路と線路の間にホームが設置されている。外側の線路には1時間に8本の新快速と関空特急「はるか」、新幹線連絡特急「サンダーバード」が。内側の線路には車体更新が始まった321系やリニューアルされ15年経った今なお現役で走る207系、そして225系などを用いた高槻(たかつき)から(まで)快速の普通列車が走ってくる。

 軽快な音とともに、225系の新快速が外側線を通過していく。LEDの行先表示は新快速が行く西端である播州赤穂(ばんしゅうあこう)になっている。

「どう、うまく行った。」

キラが聞いてきた。

「うん、うまく行ったかな。」

「そう。俺も結構うまく行ったと思うんだよ。今度写真でも送ってみる。」

「やめとく。ウチは別にそういう所に投稿するためにとってるわけじゃないから。」

「そうだったな。」

そう言うと次に来る列車の為にカメラをまたかまえる。複々線を思う存分に生かしたダイヤは次々とここに列車を送り込んでくる。そして、言っている間に遠方にはヘッドライトが見えてきた。新快速が山崎(やまざき)の手前でごぼう抜きした223系の高槻(たかつき)から快速の普通だ。

「あれは撮る。」

「撮らない・・・。223系はまだ現役しそうだから。」

「そんなこと言ってたら、撮り逃すぞ。」

ホームにアナウンスが流れた。

「まもなく、1番乗り場に11時27分発、高槻(たかつき)から、快速、神戸(こうべ)方面網干(あぼし)行きが8両でまいります。黄色い点字ブロックまで下がってお待ちください。1番乗り場に列車がまいります。ご注意ください。」

接近チャイムが鳴り響く。その列車はスピードを落としながら、島本(しまもと)のホームに近づいてくる。

「VVか・・・。」

パンタグラフの数は4つある。4両編成を2編成連結した状態のようだ。レンズ越しに編成番号を確認して、1枚切り取った。

 VVVFインバーターの独特の音を響かせ、223系は島本(しまもと)のホームへと入った。

「反対側にでも行くか。」

キラはそう聞いてきたので、ウチはそれに「ああ。」と答えた。

 山崎(やまざき)側から高槻(たかつき)側へ撮影位置を変えるために歩く。

「んっ・・・。先客がいるな。」

キラはそう言った。ウチの目にも人がいることは分かる。

「でも、二人入るスペースはあるね。」

「ああ、隣に行こう。」

そう言うとちょっと二人とも早足になった。撮影ポイントを取りたい気持ちの表れだろうか。

 ただ、近づいて行くと先客が女の子であることに驚いた。こういう人はなかなかいない。鉄道ファンって男の子が多いからなぁ・・・。女の子の鉄道ファンがいて悪いわけじゃないが、珍しい目で見てしまうのは仕方がないと言わざるを得ない。

(ひかり)ちゃん。」

「えっ・・・。」

「あっ・・・。」

そう言われふと顔を上げた。そこに立っていたのは亜美(あみ)だった。

亜美(あみ)・・・。なんでここに。」

「居ちゃ悪いか。」

「悪くないけど。」

キラはちょっと話についていけてないようだ。ウチと亜美(あみ)の顔を交互に見ながら、「えっ、えっ」と声を上げる。

「ちょっと待って、このかわいい子誰。(ひかり)の知り合い。」

「ああ、知らないのも無理ないわね。ていうか何でこうも(ひかり)ちゃんの知り合いと会うことが多いわね。最近。」

「・・・それはウチのせいじゃないと思うんだけど。」

「まぁいいわ。この人もいい人でしょ。」

(・・・なんだその前提・・・。)

「ていうか、何で亜美(あみ)がここに。」

「居ちゃダメかしら。」

「いや、ダメじゃないけど。」

「なら、私が鉄道に興味あっても問題ないでしょ。」

「・・・。」

そう言えば、亜美(あみ)がJRに入りたいっていうのは知ってたけど、こういうことは知らなかったなぁ・・・。だから、亜美(あみ)ってJR行きたいってなったのかな・・・。

「・・・(ひかり)ちゃんの思ってることで私は鉄道好きになったわけじゃないから。反骨とでも言おうかしら。」

「えっ。」

「もしもーし。二人とも・・・。」

「・・・ああ、そう言うことね。」

「そ、そ。そういうこと。」


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