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MAIN TRAFFIC  作者: 浜北の「ひかり」
Hikari Episode:1
364/779

364列車 萌の話

「ただいま。」

そう声を上げた。

「ふぅ・・・。疲れた。」

僕はそう言って買い物袋を玄関に置いた。

「ナガシィ、お疲れ様。今日はありがとう。」

「別にいいよ。暇だったし。」

あれから何年も経つと自分の家ってものを持つようになった。2階建てで、とても大きいとは言えないのだが、よく黒崎(くろさき)さんや二ノ橋(にのはし)さんは「この大きさで小さいっていう神経はよく分からない。」と言われる。いや、そんなに言うほど大きくないと思うのだ。新築で最近よく見る2階建ての車庫付の家2つ分の用地程度の広さしかないのだ。断じて広くはない。

「ナガシィ、買ってきたもの冷蔵庫にしまうの手伝ってくれない。」

「・・・今回だけだからね。」

とか言いつつ、毎回手伝っているけどね。

 今日は最初から(もえ)の買い物に付き合ったわけじゃない。(もえ)はその前に黒崎(くろさき)さんたちと一緒に高槻(たかつき)の家に行ったのだ。なんか話でもあったのだろう。その内容までは突っ込まないけど。それが済んだから、僕を呼び出して買い物に付き合せたってわけだ。

「そう言えば、(もえ)高槻(たかつき)とは話せたの。」

「うん、久しぶりにね。」

「よかったねぇ。」

「ナガシィだって、高槻(たかつき)君と話そうと思えば話せるじゃない。近くは無いけど。」

「・・・。」

ああ、確かに。近くは無い。前は千里中央(せんりちゅうおう)近辺に住んでいたけど、服部(はっとり)さんと結婚してからは高槻(たかつき)の方にこしたらしい。紛らわしいなぁ・・・。

「あっ、高槻(たかつき)君と久しぶりにどんな話したかっていうとね。」

(もえ)から話の内容を言い始めた。

「前に高槻(たかつき)君の親戚の子供に家出癖があるって言ってたじゃない。」

「・・・あっ、そんなこと言ってたねぇ。」

ふと思い出した。確かにそんなことを言っていた。

「そう言えば、その子の家出癖は直ったの。今のご時世だから、そう言うのは親としては心配だよね。」

最近は物騒な子供を巻き込む事件が多いような気がする。寝屋川の事件とか、埼玉の失踪事件とか。

 高槻(たかつき)の親戚の子っていうのは有名企業のお嬢様らしい。しかも、歳は(ひかり)智萌(ともえ)と同じ。現在は小学校6年生だ。もし、犯罪を犯そうとしている人がいるとしたら、これほどの格好な獲物は無いであろう。

「うん。でも、家出癖は直ってないみたいなの。」

「直ってないって・・・。結局どこにいるか分かんないんでしょ。」

僕はそう言ったが、(もえ)は首を横に振った。

「いや、それがどこにいるかは分かったんだって。だから、もう捜索に協力してくれなくてもいいってなったのよ。」

「・・・変な話だねぇ。見つかってないのに、見つかったって。」

「どうも、高槻(たかつき)君の家に流れてきた話じゃ、その人のおばさんのところにいるんだって。それに、今まで学校に通ってなかったって言うのは嘘で、実は別の学校に転校して、そっちの学校に通ってるんだって。」

別の学校に転校してまで学校に通うって。どれほど勉強が好きなのだろうか。そして、それなら別に転校する必要がないと思えてならないのは、親の都合ともいうべきだろうか。

「執念ってものかなぁ・・・。」

(もえ)はそう言いながら、僕にキャベツを渡してきた。

「・・・外野が聞いてるだけじゃ、その子が何をしたいのは全然わからないね。」

僕はそれを冷蔵庫の中にしまう。

「あっ、ナガシィそこにいれたら、他のものが入らなくなっちゃうよ。」

「えっ。何度もだけどさぁ、(もえ)がこっちやってよ。僕じゃ分かんないから。」


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