359列車 北海道新幹線
「北海道なぁ・・・。」
僕の言うことに沙留はそう答えた。
「北海道新幹線にでも乗るのか。」
と聞いてきた。2016年3月26日のダイヤ改正で北海道新幹線の新青森~新函館北斗間が開業したのは記憶に新しい。路線延長は現在約149キロ。青函トンネルを含む新中小国信号所~木古内間約82キロは津軽海峡線と線路を共用するため、当面は時速140キロ運転となる見通しだ。今のところ定期列車は「はやぶさ」・「はやて」合わせて13往復。そのうち下り「はやぶさ5号」、「はやぶさ11号」、上り「はやぶさ34号」が4時間2分で東京~新函館北斗間を結ぶ最速達列車である。
「北海道新幹線に乗ることは乗るけど、木古内から新函館北斗の間だけだって、今治が言ってたけどね。」
「そこだけかぁ。」
「うん、そこだけ。まぁ、北海道新幹線にはまた別で4時間2分で行ってくるさ。」
僕はそう言った。
「あれ、いくらだっけ。東京から新函館北斗。」
「うーんと、2万2千超えてたから片道2万3千円あれば行けるね。ここはどうしても青函トンネル分高くなるからなぁ・・・。」
「高いなぁ・・・。同じ距離を東海道・山陽新幹線で行くよりは高いよなぁ・・・。」
東京~新函館北斗間全区間通しで乗った862.5キロの運賃と指定席特急料金は2万2690円。
それに対して、東京~広島間894.2キロの運賃と指定席特急料金は1万9080円。距離にして、東京~広島の方が31.7キロ長いが、運賃と特急料金の合計は東北・北海道新幹線の方が、東海道・山陽新幹線の約1.189倍程度高いなど、距離の割に高いのは一目瞭然であろう。
また国土交通省の試算では運賃と指定席特急料金は1万8600円だったため、これからは約1.220倍高い計算になる。
「まぁ、仕方ないんじゃない。青函トンネル開通してからもう四半世紀は経ってるんだし。」
「で、今治と行ってきたりするのか。」
「いや、今治と行くのは道の駅の方だよ。」
「ああ、そういや去年もやってたっけ。」
「うん、あれ。今回は道南に行って「はやぶさ13号」にさっき言ったところに乗るんだってさ。」
「・・・乗るんだなぁ・・・。ああ、俺も行きたいなぁ。青函トンネルって1回ぐらいしか通ったことないから。」
「僕だってそんなに多くないよ。全部で3回だよ。」
「3回も通ったことあるんだな。」
「うん、1回は「北斗星」で通って、その次は「スーパー白鳥」と「白鳥」で往復したから。それで、もし北海道新幹線に乗ることが有ったら、往復で5回になる。」
「つっても、速度は140キロのままでしょ。「スーパー白鳥」とか乗ったなら、大して変わらないじゃん。」
「速度的にはね。」
そのあとに僕はこう続けた。
「でも、どうせ乗るんなら、一駅区間じゃなくて、停車駅の多いパターンの「はやぶさ」でもなくて、最速がいいでしょ。」
「・・・。」
それに沙留はちょっと考えてから、「ああ、それはそうかなぁ。」と言った。
「ただね、4時間2分で行くのは少ないんだよ。下りだったら2本だけで、上りだったら最終に近い1本だけだよ。しかも、上りに乗ると京都まで帰ってこれない。名古屋まではかえって来れるけどね。」
繁忙期に「ムーンライトながら」でも走れば、翌日の朝にはなるが、帰ってはこれる。いろいろとヤバいことにはなるが・・・。
「その最速に乗ろうとすると「のぞみ104号」に乗らないと間に合わないんだよね。」
「のぞみ104号」は京都を7時06分発で東京に9時23分着。接続する「はやぶさ11号」は9時36分発だ。下りの最速はこれを逃すとない。その前の「はやぶさ7号」と後続の「はやぶさ13号」はどちらもE6系「こまち」を連結するため、盛岡での切り離しが発生するほか、「はやぶさ7号」は「11号」の停車駅(大宮、仙台、盛岡、新青森)+上野、八戸、木古内に停車、「13号」は「7号」の停車駅+奥津軽いまべつに停車するためどちらも最速から15分遅い4時間17分で走破している。そして、「13号」に至っては北海道新幹線内の各駅に停車している。これだとちょっと乗るのは考えるなぁ。そして、分かるように拘らなければ、どれでもいいのだ。
仮に行くだけならば、夜勤が終わってからでもいい。だが、それでは最速には自動的に乗れないことになるのだ。
「それでないと間に合わないのか。「5号」には間に合わないの。」
「「5号」はねぇ、8時20分発だからねぇ。「のぞみ200号」で行っても間に合わない。」
「ああ、始発で間に合わないなら仕方ないかぁ。」
沙留はそう言った。
連勤が終わった数日後、守山駅でおいてある時刻表を使って調べてみた。僕の計画では北海道新幹線に乗った後は「北斗」に乗り継ぎ札幌まで行くつもりでいる。「のぞみ104号」は岡山から来る列車。新大阪で乗客が集中するため、指定席でもない限り座れるかどうかは分からない。まぁ、これはその前の列車で行くことになると思うから別にいいか・・・。さて、最速パターンの「はやぶさ11号」は9時36分に東京を出発し、13時38分新函館北斗着。新函館北斗から接続する「北斗」は14時11分発の「北斗13号」。札幌到着は17時41分だ。
「・・・帰りは・・・。」
「はやぶさ」の中でも比較的停車駅の少ない基準で考える。北海道新幹線内各駅は「22号」、「26号」。木古内のみ停車は「30号」。北海道新幹線内ノンストップは「18号」、「24号」、「28号」、「34号」。最後の内、新青森~盛岡が各駅になるのは「24号」、「28号」。
「うーん、「はやぶさ18号」に接続する「北斗」は・・・。」
ページをめくり「北斗」・「スーパー北斗」の載っているページを開く。新函館北斗10時49分発に間に合わせるためには札幌6時52分発の「スーパー北斗4号」か、それよりも早い「スーパー北斗2号」だけだ。これでは朝が早すぎる。
となったら「はやぶさ30号」の方だろう。新函館北斗16時17分発のこれに接続するのは札幌12時15分発の「北斗12号」。
「帰りはこれかな・・・。」
連休でも出来たら、このパターンで行ってみようか。




