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MAIN TRAFFIC  作者: 浜北の「ひかり」
Office Episode
312/779

312列車 仕事おーわり

 一連の仕事が終わるころにはあたりは暗くなっている。

「お疲れ。」

長良隊長がそう言う頃には朝に引き継いだ場所まで戻ってきた。行きしなで鍵を引っ張っていったのと同じように帰りしなでも鍵を引っ張りながら帰ってきた。どこもかしこもちゃんとかかっていたようで異常はない。

「何もなくても疲れるでしょ。」

そう続けた。

「はい。」

「他の車にはいろんな配慮しなくちゃならないしな。本当に疲れる・・・。」

今日学んだことと言えば、鍵を引っ張るってことよりも周りに配慮しろっていうことの方が大きかった。他の車はこっちが仕事をしている、してないは関係ない。全て自分の都合で物事をやってくるのである。仕事の為に遅く走っていれば、後ろから「早く行け」と言わんばかりの走り方をしてきたりね。

 今日の教訓は「他のドライバーは信用するな」以上。

 しばらくその場所で待っていると、後ろの方が明るくなった。黄色がかったヘッドライトを4つつけて走ってくる車がいる。

「来たな。」

長良隊長はそういうと車を降りた。独特の雰囲気でもあるのだろうか。そう疑問に思うよりも先に、その車は僕たちの後ろにつけた。車の中からは止まってちょっとしてから、僕たちと同じ制服を着た人たちが2人降りてくる。引き継ぐ人たちのようだ。

「お疲れ様です。」

そう声をかけて、朝見た加賀さんっていう人が下りてくる。助手席から降りてきた人は見たことない顔だ。

「新人君と一緒ですか。」

その人はそう言った。

「そうだよ。例の電車に詳しい男の方だ。」

「へぇ。僕は電車のことは分からないからね。そういう知識があるといろいろと助かるよ。」

「まぁ、最初に乗るのがドサだったら、何を引き込むかわからんしなぁ。」

加賀さんが笑いながら土佐という人に言う。すると土佐さんは、

「別に好きに引き込んでるわけじゃないですよ。向こうから勝手にやってくる事象に対応するこっちの身にもなってほしいもんですよ。いい加減にしてほしいぐらいです。」

と言った。

「まぁ、新人君と最初から何かあったわけじゃないなら、別にいいですけどね。」

土佐さんは助手席側後ろのドアを開けて、自分の荷物を抛りこんだ。

「じゃあ、永島。帰ろうか。」

「はい。お疲れ様です、お願いします。」

僕は二人にそう言うと長良隊長とともに、加賀さんが運転してきた車に近づいた。

「おう。お疲れ。」

「あっ、ちょっと永島君。」

加賀さんは僕を呼び止めた。

「この人と乗ることになったらいろんな事象引き込んでくれるから、いろいろと成長するよ。くじ運の強さは隊で一番だから。悪い方のだけどね。」

「加賀・・・。」

「は・・・はぁ・・・。」

「まぁ、お疲れ。明日も頑張ってね。二人で待ってるから。」

加賀さんはそういい車の中に荷物を抛りこんだ。そして、僕は長良隊長が乗り込んだ車に乗り換える。車に乗り、タコグラフをセットしたら、長良隊長はすぐに車を発進させた。

 帰り道は道が混んでいないということもありすいすいと走る。詰め所の近くにある駐車場に到着したころにはまた別の二人組とあった。

「お疲れ。」

「お疲れ様です。」

「あっ、隊長。お疲れ様です。」

「えっ、何か帰り早くないですか。」

「道が空いてたんですよ。」

そう二人の女性は話す。

「そっちは少し遅くないか。」

「ああ。ちょっと書類の準備と化してたら、出発時間忘れちゃってて。ハハハ。」

ハハハって・・・。

「櫻ちゃんバックするなら早くしてくださいよ。暑いんですから。」

「少しは嬉々ちゃんについた脂肪が減っていいと思うんだけどなぁ・・・。でも、分かったわ。」

櫻と言われた人は車に乗り込むとしばらく書類の整理とかをやってから、車をバックさせた。バックし終えると嬉々さんという人が助手席に乗り込む。少し前進させると櫻さんが窓を開けて、

「それでは、尾張警務士他1名。○○の巡回警備に行ってまいります。」

そう言ってから、窓を閉めた。窓の閉まった警備車両は道に出ると朝と同じようにすぐに右に曲がって、走り去っていった。

 さて、此方は仕事の終了まではまだまだ時間がたっぷりある。その間に詰所にあるいろんなものを見てみた。警備に関連するものから、隊に関係することまで。まぁ、一度に覚えられるわけでもなければ、何が書いてあるのかも先ず理解出来ないことの方が多い。その中に1枚名簿を見つけた。

(へぇ、結構たくさん人がいるんだなぁ・・・。)

パッと見た感想はそれである。一番上に長良隊長の名前。その隣には携帯電話の電話番号がある。その下には朝あった古鷹さんの名前。それに続いていろんな人の名前があるし、中には数人女性の名前もある。先程あった尾張という人と、それに乗っていった人の名前もある。今日あった人の名字は「フルタカ」、「カガ」、「トサ」、「オワリ」、そして最後は「キキ」。感じを確認してみると結構思ったものであることが多い。というか、何なのだろうか。この隊のある意味な統一感は・・・。

 自分がそういうふうに返還してしまうのが問題なのだろうか・・・。

 なんてことを思っている間に夜露副長と萌も詰所に戻ってきた。

 仕事の終了する時間になると僕たちはすぐに詰所を出た。早いところ帰らないといろいろと大変なのである。

「正規の勤務1日目終了。」

「だねぇ・・・。」

「どうそっちは疲れた。」

萌に聞いてみた。

「珍しいね。仕事のこと聞くなんて。疲れましたよ。」

「だよねぇ・・・。」

それには賛同した。何度も言っているが配慮しなければならないことが多すぎる。警備員は警察官とは違い矯正性が認められていない。そうである以上全てにおいて配慮というものが必要になってくる。車の運転しかりなのだ。

「ていうか、車運転してる人ってはたから見たら、それ有っていう人が多すぎるんだよね。ウィンカー出さずに曲がったりする人もいるしさぁ。自動車学校で本当に車の運転習ってきてるのかな。」

こういう萌も珍しい気がする。

「ああ。それはきっとあれだよ。ウィンカーは飾なんだよ。出し方は知ってるけど、車についてるのが飾りだから出せないんだよ。」

「ウィンカーなんてただの飾りです。偉い人にはそれが分からんのです。って。」

「うん。そんな感じじゃないかな・・・。」

まぁ、そういう感じではいけないのだが・・・。そのあとに萌から聞いたことであるが、今日に何回交通法規を無視するドライバーを見たことか。というのである。黄色で交差点の中に進入しようとするならまだしも、完全に開かになってから交差点に進入する車も見たという。他に夜露副長から聞いたことらしいが、国道を走る夜のトラックはスピードをかなり出していることがあるので、赤信号で止まれないことがあるらしい。だから、平然と信号無視をするようである。

 青信号でも安心できない夜の国道の交差点。恐ろしい・・・。

 まぁ、その話は置いといて。

「ナガシィ。どう、やれそう。」

「やれるかなぁ・・・。」

と言った後、少しため息をついた。

「誰が想像したかな。運転してるの車だよ。」

「・・・。」

「これからずっと運転してくのかな・・・。まそうだろうね。行く当てがほかになさそうだから。」

「・・・私もいるし、頼っていいんだよ。」

「うん。」

 そんな後姿を詰所から目を凝らしてみている人がいた。

「やめろよ。大の大人が。」

長良隊長はそう言って苦言を呈す。

「いや、二人のこと気になるじゃん。特に萌ちゃん。」

「えっ・・・。」

「あの二人もしかしたら将来できるかもよ。」

「・・・。」

「だって同じ学校でしょ。言葉話す時も二人ともなんか雰囲気が似てるじゃない。それに萌ちゃんが永島君のことをいうとき、何か言い辛そうにしてるんだよね。」

「言い辛そうにしてるんなら、将来できるっていうことにはならないと思うけど。」

「そうじゃないって。言い辛そうにしてるっていうか、厳密には言いかえてるが正しいのよ。多分、普段は渾名か何かで呼んでるから、永島君のこと苗字で呼べないんじゃないかなと思って。」

長良隊長はそれにあきれ気味だ。

「永島君の方は何かなかった。萌ちゃんのことを呼ぶときに何か言いかえたりとか少し間があったりとか。」

「・・・聞いてた限りじゃなかったと思ったけどなぁ・・・。」

「はぁ、男って本当にそういうところに鈍い奴多いよねぇ・・・。」

そう言ってから、夜露副長は下がっているカーテンに指をかけた。パキッという音を立てたカーテンに目を付けて、覗き込む。

「ここはリア充が来るところじゃないぞ。」

「既婚者が何を言ってるんだよ。」


Patrol隊の人々

長良一史(ながらひとし)

夜露侑香(よつゆゆうか)

古鷹泰仁(ふるたかやすひと)

天城(あまぎ)(さき)

加賀彩都(かがさいと)

()()(りょう)()

山雲星名(やまぐもほしな)

尾張(おわり)(さくら)

赤城(あかぎ)嬉々(きき)

浜名聖悟(はまなしょうご)


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