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MAIN TRAFFIC  作者: 浜北の「ひかり」
Sasago Vocational College Episode:1
228/779

228列車 聞くな

 黒崎(くろさき)が旅行から帰ってきて、1日たった。

「・・・。」

今いるのは浜松駅の在来線の改札口前。4日前に出雲に行くためにここを通ったのだ。あのときはハードだったなぁと思いつつ、人を待った。

(・・・鳥峨家(とりがや)。いつ帰ってくるのかなぁ・・・。)

すると携帯が鳴った。

(今高塚(たかつか)出たところだから、もうすぐ着くね。そんなに近くに来てるなら別にメールしなくても・・・。)

とは思ったが、近くに来ているということで安心した。下手したら2時間とか待たされると思っていたのだ。ここに来たのは30分ぐらい前。まぁ、そんなに苦痛じゃないかぁ・・・。

鳥峨家(とりがや)と会うのはいいけど、そのあとどうするかなぁ・・・。そのまま家に帰っちゃうのかなぁ・・・。せっかく鳥峨家(とりがや)が早く帰ってくるんだし、どこか行きたいなぁ・・・。)

なぜかあった後のことを考えていた。それはそうだろう。そうなれば初めてのデートである。今まで頑張ってきたから、それぐらいのことしてもいいだろう。

 しばらくたつと改札に人盛りができた。列車が到着したのだろう。その中に鳥峨家(とりがや)の姿があるかしきりに探した。だけど、いる気配がない。どうやら今着いたのは別の列車だったようだ。

「はぁ・・・。」

ちょっとため息をついた。ため息をついてまた目を開けると改札がまた込み始める。今度こそと思って、鳥峨家(とりがや)の姿を探してみた。すると、今階段を下りてきているのを見た。帽子をかぶっているけど、あれは間違いないと思った。改札を抜け出てくるとその人は自分がそこにいるなんて気づかなかったみたいで、そのまま通り過ぎて行った。

(あれっ。違ったかなぁ・・・。)

空振りだったらしい。違うのなら声をかけるのも失礼かぁ。そう思って、柱にもたれて、来るのを待った。

黒崎(くろさき)。」

後ろから声がした。するとさっきの帽子をかぶった人がたっていた。やっぱり鳥峨家(とりがや)だった。

鳥峨家(とりがや)。なんでさっき。」

「いや、人がたくさんいるところで会うのもなんか恥ずかしくてさぁ。お前がいるのには気づいたんだけど、気づかないふりして、一度通り過ぎただけ。さっきよりは人がいないだろ。」

そういって鳥峨家(とりがや)はあたりを見回した。確かに、さっきよりは人の数は少ない。

「行こうか。」

鳥峨家(とりがや)がそう促して、ある程度人のあるコンコースから出ようとした。まぁ、ここで話しているのも恥ずかしいし、ここは鳥峨家(とりがや)に従って、出ることにしよう。鳥峨家(とりがや)が先に歩き、黒崎(くろさき)がその後ろに続いた。手は繋いでいないけど、恋人に見えるかなぁ・・・。黒崎(くろさき)はあたりがとても気になった。もし、これを薗田(そのだ)が見ていたら、最悪だ。・・・いや、知っている人には見られたくない・・・。歩いて、歩いて。新浜松(しんはままつ)までやってきた。ってこの場所は結局人が多いではないか。・・・近くにマックスがあったのを知っていたから、そこに行った。マックスは新浜松(しんはままつ)から歩いて10秒たらずのところにある。

「どうすんの。これから。このまま帰る。」

と聞いてみた。

「うーん・・・。どうしようかなぁ・・・。帰るのもいいけど、久しぶりに会ったんだし、どっかで遊んでから帰らないか。」

待っていた答えが鳥峨家(とりがや)から出てきた。うなずく。まぁ、きょうのことを話すっていう口実で、まずはここでおやつでも食べようということになった。

「お客様。店内でお召し上がりでよろしかったでしょうか。」

(お召し上がりでよろしかったでしょうか・・・。すごいなぁ・・・・。)

「100円になります。」

(ならねぇよ。)

まぁ、どこぞのファストフード店ではおなじみのやり取りだな。席に腰かけると、

黒崎(くろさき)。今の店員の言葉何か変に思わなかった。」

「えっ・・・。何か変なところ。何もなかったと思うけど。」

「あっ。じゃあ、黒崎(くろさき)がもしバイトとかしたら、100円になりますって言っちゃうのかなぁ。」

「どういう意味よ。」

「俺は黒崎(くろさき)には100円になってほしくないからさぁ。」

「はぁ・・・意味わかんない。」

「後でちゃんと言うから。」

「ところで、どこかで遊ぶのはいいけど、何して遊ぶの。正直今そんなにお金ないんだ。」

「あっ。いいよ。俺が全部払うから。」

「えっ。でもそれはなんか悪い気が・・・。」

「いいって。」

「・・・。」

なんか高校の卒業式の時と感じが違うと感じた。4か月間名古屋(なごや)に行った鳥峨家(とりがや)は結構変わっていた。女の子っぽい顔には男の子らしい頼もしさがまた一段と吹き込まれた気がした。同じ顔をしている永島(ながしま)君とはもう会ってもいないけど、なぜか永島(ながしま)君には幼さが残った顔・・・。なんだろう。同じ顔でもこの違いは・・・。

「どうした。俺の顔に何かついてる。」

「えっ。別に。何も・・・。」

「・・・。」

「・・・。」

メールのほうが話しやすい気が・・・。

「・・・なぁ、黒崎(くろさき)。カラオケでもいいか。」

何も言わずにうなずいた。やっぱりどこか恥ずかしいと思っている。

 それからカラオケボックスに行ったけど・・・。

「・・・。」

あんまり会話がないのは変わらない・・・。

鳥峨家(とりがや)。さっき100円になります。って言うこと話してくれたじゃん・・・。あれってどういう意味。あとで教えるって言っておいてまだ聞いてないんだけど。」

「ああ。あれ。100円になるんだろ。店員いつ100円になるんだろうな。」

「えっ・・・。」

「分かりやすく言ったらそういうこと。」

「なるほど。」

納得した。それならさっき鳥峨家(とりがや)が100円になってほしくないといったのはそういうことからかぁ・・・。確かに。あたしだって100円になんかなりたくない。自分にお金の価値をつけているなんて・・・。ということは、バイトをしている高校生のほとんどは自分に価値をつけているということか・・・。そうなれば、もしおつりが1円で「1円になります」と言ってしまったら、自分は1円の価値しかないのか・・・。何とも嫌な価値のつけ方である。

「次の歌。黒崎(くろさき)だろ。」

「う・・・うん。」

人前で歌うのは別に恥ずかしくないのだけど・・・。鳥峨家(とりがや)の前は緊張する・・・。

 結局カラオケは恥ずかしいという気持ちのほうが強すぎてそんなに楽しめなかった気が・・・。鳥峨家(とりがや)もちょっと疲れたらしい。遊んだのはカラオケぐらいで電車に乗り込んだ。

「あれ。(あずさ)じゃん。」

電車に乗り込むと同時に誰かに話しかけられた。その方向を見てみるといやな奴が乗っていた。

「あさひ。」

「あっ。早瀬(はやせ)・・・。久しぶり。」

そんな平然と話さないで・・・。鳥峨家(とりがや)の顔をふと見てみると、鳥峨家(とりがや)もあせった表情になっている。見られたくなかったのはあたしだけじゃなかったのか・・・。そういう意味でほっとした。

「へぇ。二人でラブラブのデートかぁ。どこ行ってたのよ。」

「ラブラブってなぁ・・・。」

鳥峨家(とりがや)が反論しようとした。いや、そこで反論されるのも・・・。ラブラブなのは間違ってないと思うし・・・。

「でも、否定できないでしょ。」

「・・・。」

早瀬(はやせ)のその一言で鳥峨家(とりがや)も黙ってしまった。間違ってないという裏づけか・・・。

黒崎(くろさき)。あとでまた落ち合うかぁ。」

小さい声でそう言ってから、鳥峨家(とりがや)はどこかに逃げて行った。それあたしがしたいよ。

「ああ。ひどい奴。恋人おいてくなんて。」

「あのねぇ・・・。」

なんか逃げれなくなってしまった。でも、逃げれなくなったのは鳥峨家(とりがや)も同じだった。どこかへ行こうとは思ったらしいけど、結局戻ってきた。

「で。二人ともどこまで進んだわけ。安希(あき)から鳥峨家(とりがや)君が(あずさ)に告ったっていうのは聞いてるんだけど。」

薗田(そのだ)の奴。そういうこと言いふらしてるのかぁ・・・。いい迷惑。」

「で、どこまで進んだの。」

「別に・・・。それ以上は特に・・・なぁ。」

「う・・・うん。」

「えー。キスしてないの。面白くないな。」

早瀬(はやせ)はわざと周りに聞こえるように話している気がしてしょうがない。

「別に。黒崎(くろさき)にキスしようがしまいが俺の自由だろ。」

「ダメだって。好きな女の子にはキスしなきゃ。法律で決まってるよ。」

「そんな法律あるか。」

「法律っていうか・・・。恋人同士の暗黙の了解でしょ。」

「こういうときにそれ行使するな。」

「・・・。」

暗黙の了解かぁ・・・。確かに、鳥峨家(とりがや)とは1度だけでもいいからキスはしたい。でも、なんでだろう。鳥峨家(とりがや)といるとそんな気持ちは全く起きない。なぜが心の奥底にしまわれてしまう。そばにいるだけでも幸せを感じるって・・・。少し違うと思うけど、こういうこと言うのだろうか。

「うーん。じゃあキスがだめなら、鳥峨家(とりがや)君ちょっと耳貸して。」

早瀬(はやせ)にそう言われて、鳥峨家(とりがや)が耳を近づける。

(あずさ)の・・・。」

「・・・ちょっと待て・・・。お前いくらなんでもそれは話していいことじゃない。」

「それも暗黙の了解でしょ。」

「あのなぁ・・・。」

鳥峨家(とりがや)は顔真っ赤で否定した。説得力がないけど、早瀬(はやせ)はいったい鳥峨家(とりがや)に何を言ったのだろう。

(あずさ)。耳貸して。」

今度はあたしが早瀬(はやせ)に耳を近づけた。

鳥峨家(とりがや)に・・・。」

「バッ。あるわけないじゃん。」

おそらくこんなこと言われたのだろう。それを聞かれたら・・・。よくわかった気がする。

「やっぱ二人ともつまんないなぁ・・・。」

「つまんないじゃねぇよ。ろくでもないこと聞くな。」

電車の中は終始早瀬(はやせ)のペース。いろんなことを聞かれたけど、そのほとんどは鳥峨家(とりがや)の言ったろくでもないものだった。

 電車から降りると、早瀬(はやせ)とはすぐに分かれ、また二人だけになった。

早瀬(はやせ)ってなんでああいうこと聞くのかなぁ・・・。あるわけないじゃん。」

「・・・。」

「どうした。黒崎(くろさき)。お前もやましいこと聞かれたんだろ。あいつに。」

「・・・。鳥峨家(とりがや)あたしって変かなぁ。」

「えっ。どういう意味だよ。」

鳥峨家(とりがや)ってあたしとキスしたいって思う。」

何を聞いているかなんて考えられなくなっている。

「まぁ、それはしたいけど・・・。」

「けど。」

「いや、ただ恥ずかしいってだけだよ。」

そこは自分も同じだと心の中で思った。別にこれといて進展したことは今日もなかった。


今回からの登場人物

早瀬(はやせ)あさひ 誕生日 1993年11月15日 血液型 O型 身長 164cm


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