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MAIN TRAFFIC  作者: 浜北の「ひかり」
Sasago Vocational College Episode:1
227/779

227列車 高松で囁いて

 今。高松(たかまつ)に来ている。去年来ることのできなかった四国だ。部活のジンクスとしては行った先で必ず何かが起こるということ。つまり、熊本(くまもと)に行ったときは人身事故。東北に行ったときは結構期間が開いたが、地震。そして、富山(とやま)に行ったときは新潟豪雨と土砂崩れ。さんざんすぎる。もしこのまま行ってしまったら高松(たかまつ)でも何かが起こるのだろうか。それはないことを祈りたい。

「結局高松(たかまつ)に来たなぁ・・・。」

「先輩たちって去年は富山(とやま)に行ったんですよねぇ。」

大湊(おおなみ)が聞いてきた。

「そうだよ。」

「先輩たちっていいですよねぇ。いろんなところに行けて。僕は鉄道は好きですけど、今まで18切符で旅したことがないんです。だから、いろんなところに行けて楽しいんですけど。」

「へぇ。今まで18切符使ったことないのかよ。」

朝熊(あさま)

「兄貴がよく使っていたんですけど、兄貴はどこにも連れて行ってもらえなかったんで。」

「ひどい兄貴だなぁ・・・。」

(つばさ)

「そういうお兄ちゃんだってケチなところあるじゃん。」

「こまち・・・。少し黙れ。」

「アハハ・・・。」

今は5000系「マリンライナー」の中。岡山(おかやま)地区で乗れる快速列車だ。この列車は瀬戸大橋(せとおおはし)が開通して以来、岡山(おかやま)高松(たかまつ)を結んでいる。列車版の宇高連絡船(うこうれんらくせん)だ。

柊木(ひいらぎ)先輩。ヒマになったからあれしましょうよ。例の決着。」

3年生は全員吹いた。

「なぁ。己斐(こい)それまだ引きずってたのか。」

永島(ながしま)先輩たちは卒業してしまいましたけど、今まで決着ついたためしがないじゃないですか。」

「まぁ、そうだけど・・・。」

「なんですか。決着って。何かしていたんですか。」

「ああ。」

大湊(おおなみ)のその問いには北石(きたいし)が答えた。

「鉄道のいろんなこと使ってしりとりしてたんだけど、今まで終わったことがないんだよねぇ。」

「駅だったら「る」を言えば終わりじゃないですか。」

「そうだけどさぁ・・・。」

北石(きたいし)は頭の中でそれが留萌(るもい)留辺蘂(るべしべ)であることを思い浮かべた。るから始まる駅はこれ以外過去に留産(るさん)という駅が存在するだけである。しかし、しりとりをする場合において留産(るさん)が使えないというのは誰でもわかることだとは思う。というかものの見事に始まる感じは皆同じなんだな・・・。

「でも、駅だけにとどめてると絶対にすぐに終わって面白くないんだよなぁ。「る」から始まる駅は少ないから。」

「だから、幅を広げるわけだよ。駅名だけにとらわれず、列車名とかいろいろ手を出すから結局終わらないんだよなぁ・・・。」

「確かに。いきなり、真鶴(まなづる)とか出して、すぐにパスが連続するようじゃ面白くありませんからね。だからって列車名に幅を広げることも・・・。」

「じゃあ、どうしろっていうんだよ。」

「廃線にも足広げるのか。北母子里(きたもしり)とか白樺(しらかば)とか広尾(ひろお)とか沙留(さるる)とか。読みずらいののオンパレードだぞ。」

北石(きたいし)。それ全部北海道だろ。」

潮ノ谷(しおのや)が突っ込んだ。もちろんその通りだ。今あげた駅名はすべて北海道にある。線路を言うと北母子里(きたもしり)白樺(しらかば)深川(ふかがわ)から名寄(なよろ)間を幌加内(ほろかない)朱鞠内(しゅまりない)経由で結んでいた深名線(ふかなせん)広尾(ひろお)帯広(おびひろ)から広尾(ひろお)間を中札内(なかさつない)経由で結んでいた広尾線(ひろおせん)。このいい方以外にこの線路は愛国(あいこく)幸福(こうふく)行きの記念切符で有名である。最後の沙留(さるる)名寄(なよろ)から遠軽(えんがる)間を興部(おこっぺ)紋別(もんべつ)中湧別(なかゆうべつ)経由で結んでいた名寄本線(なよろほんせん)という路線の駅である。すべて廃線で、またすべて特定地方交通線(とくていちほうこうつうせん)に選定された路線であり1990年代には今あげた路線はすべて廃線となった。

「そういう方面に足を広げるからじゃないんですか。終わらない理由。」

「でも、楽しいっていうのは認めるよな。」

「楽しいのは認めるけど、だんだん面倒になってくるんだよなぁ。」

「あっ。それには激しく同意。」

「マリンライナー」はたった今、児島(こじま)を発車したばかりである。ここから管轄はJR四国へと移る。児島(こじま)はJRの境界駅となっている駅である。その境界とはもちろんJR西日本とのものである。

 児島(こじま)を発車すればほどなくしてトンネルに入る。そして、このトンネルを出た瞬間、瀬戸大橋(せとおおはし)に躍り出るのだ。今は昼。瀬戸内海の絶景を楽しむことができる。列車は快調にスピードを上げて瀬戸大橋(せとおおはし)に躍り出た。

「うわぁ。感動です。はじめて瀬戸大橋(せとおおはし)わたりました。」

大湊(おおなみ)は声を上げた。確かに。はじめて通る人にとってはすごく感動的な出来事だろう。瀬戸大橋(せとおおはし)は知っての通り上を高速道路。下を鉄道が通っている吊り橋である。このような吊り橋は世界にも類を見ないほど珍しいもの。実際瀬戸大橋(せとおおはし)は新幹線が通るという将来の目標の上で作られたものであり、新幹線が通れるほどの建設基準となっているはずである。しかし、その夢はもはや虫の息である。現在はフリーゲージトレインということで新しい新在直通新幹線計画が浮上している。

 下を見ると青い瀬戸内海が広がっている。その真ん中に点々と存在する緑の島。昔はこんな高い位置から瀬戸内海を見ることなどできなかったのだなぁ・・・。

 瀬戸大橋(せとおおはし)を渡りきるといよいよ四国上陸である。四国に入ると線路は二手に分かれる。一つはこのまま直進し宇多津(うたづ)に乗り入れ、松山(まつやま)高知(こうち)方面に向かう線路。もう一つ左に分かれていく線路は坂出(さかいで)に乗り入れ、高松(たかまつ)方面に向かう線路である。ここの線形は結構複雑だが、こうせざるを得なかった状況に変わりはないと思う。「快速マリンライナー」は高松(たかまつ)行き。進路を左にとって坂出(さかいで)のほうへ抜けていく。

 高松(たかまつ)に到着すればきょう一日の行動は終了である。この後ホテルに向かって歩き、あとは自由行動となる。

「なぁ、北石(きたいし)。お前大学どこ行くんだ。」

(つばさ)は気になってそう聞いてみた。

「えっ。大学。大学かぁ・・・。まぁ、考えてはいるんだけど、俺は専門学校にでも行こうかなぁって思ってる。」

「えっ。専門学校。」

「ああ。東京に帝都観光っていうのがあるのは知ってるだろ。そこに行こうと思ってる。」

「お前ぐらいの頭があるんだったら俺は大学行くと思ってたのになぁ。」

「大学行ったって入れても意味がほとんどないんだって。大学から会社に行ったやつらはほとんど上層部のほうへ回されるわけだろ。俺は上層部には興味がないから。」

「・・・。」

「上層部には縁があったら行く程度かなぁ・・・。柊木(ひいらぎ)はどう考えてるんだよ。」

「俺・・・。俺も専門とは思ってるんだけどなぁ。」

「やっぱり観光系か。」

「そうだろ。それ以外どこに行くんだよ。そういえばナガシィ先輩たちが進んだ笹子だけど・・・。夏のオープンキャンパスにでも行ってみようかなぁって思ってるんだ。」

「先輩たちの顔見にか。」

「ちょっとそれもある。」

「絶対突っ返されるぞ。永島(ながしま)先輩あんまり後輩と会いたくないみたいな感じするからなぁ・・・。」

それは(つばさ)もよくわかっている。永島(ながしま)先輩と北石(きたいし)が最初にあった時、先輩ですよねと話を持ちかけた時の永島(ながしま)先輩は顔が少しゆがんだことを今でも覚えている。

「まぁ、それは冗談だけどなぁ。まぁ、たぶん会えないと思うし。」

「ここから大阪行かなくてもいいんじゃないか。」

「そういうお前だったここから東京行かなくてもいいんじゃないか。」

「・・・。」

しばらくお互いを見つめあった。少し経ってから北石(きたいし)は席を外した。入れ替わりに(はやぶさ)がやってきた。

(つばさ)。どうしたの一人で。」

「えっ。ミッシィ先輩の苦労がわかる気がしてさぁ。」

「何言ってるの。」

(はやぶさ)。お前はどこに進学しようって考えてる。」

「笹子に行こうと思ってる。」

「お前は大阪(おおさか)行くのか。」

「えっ。そうだけど。でも、まぁ、お父さんの母校だったていうこともあるし、向こうに行ったらほら、ナガシィ先輩たちもいるじゃん。だから、少しくらいは勉強教えてくれるかなぁと思って。さくら先輩や、榛名(はるな)先輩もいるんだし。」

「・・・。」

(つばさ)は。」

「いや、頭の中にあるのは笹子(ささご)。それと名古屋(なごや)中京観光(ちゅうきょう)かなぁ・・・。」

「・・・。」

「・・・意外だった。」

「ううん。まぁ、(つばさ)の頭じゃ専門学校がちょうどいいんじゃない。」

「人をバカ呼ばわりするな。」

「あっ。ごめん。・・・なんかこうして一緒に旅するのも最後だろうなって思っちゃうとなんかさびしいね。」

「えっ。」

「だってそうじゃん。高校卒業したらみんな別の道行っちゃうんでしょ。もし、入った会社が偶然同じだったっていうことももうないんだろうし。」

「だからなんだよ。」

「えっ。最後ぐらいみんなでパーッと盛り上がることしたいなぁと思って。」

(盛り上がることかぁ・・・。)

しばらくその場で固まった。

(つばさ)は誰か好きな女の子でもいる。」

「はっ。」

(つばさ)の顔が赤くなった。

「いや。いるかいないかだけでいいから。」

「・・・。ああ、いるよ。」

と言ってから(つばさ)は声を小さくして、

「目の前に・・・。」

それからまた声を大きくして、

「ていうかなんでそんなこと聞くんだよ。なんでそんなこと言わせるんだよ。」

そういって席を立ってどこかに行ってしまった。まぁ、ここから立ち去るときに廊下に出るところで壁に肩をぶつけていたけど・・・。

「あーあ。聞いちゃった。・・・。」

(はやぶさ)はそう言うと目の前の机に突っ伏した。顔を隠してから、

(ふっ・・・。ちゃんと聞いちゃったもんね。(つばさ)は聞こえないつもりで言ったんだろうけど・・・。)

「目の前に・・・。」

自分の頬が赤いのは夕日のせいかな・・・。


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