225列車 従姉弟集合
帰ってきて数日が経った。僕はいつものように離れにいた。そこには当然萌もいる。
「おす。帰ってきたって。」
そういいながらドアを開けたのは駿兄ちゃんだ。久しぶりに見たなぁ・・・。
「あっ。駿兄ちゃん。久しぶり。」
「ああ。久しぶりだな。二人とも・・・。」
駿兄ちゃんはそう言ってから、僕たちを眺めた。そして、
「変わったなぁ。会わない間に二人ともちょっとたくましくなったんじゃないか。」
と言った。
「そんなわけないよ。ナガシィが変わるわけないじゃん。ましてたくましいなんて。」
言いたいこと言ってるなぁと思った。しかし、僕の中でもそんなに変わっているとは思っていない。
「そこまでいうか・・・。まぁ、いいや。久しぶりに遊ぶかぁ。今日は午後からの仕業だし。」
「えっ。そうなの。」
「ああ・そんなフルタイムで仕事なんかあるかよ。そこはお前もわかってるだろ。」
「・・・。」
「さて、何走らせようかなぁ・・・。」
そういって車両庫の方へ消えていった。すぐに戻ってくると「ワム380000形」の34両セットを抱えて戻ってきた。僕はそれを入れ替わりに車両庫に行ってE2系とE3系のセットを持ってきた。これを持ってきたというのは今は少数派になっている「はやて」・「こまち」の併結運転をするためだ。そのあと萌が車両庫でE5系を見つけ出して持ってきた。
「E5系・・・。なんでそれ持ってくるんだよ。」
「別にいいじゃん。もってきたって。ナガシィがこれ嫌いなこと知ってるって。」
「・・・。」
「まぁ、いいじゃねぇか。それで東北新幹線でもやるんだろ。それだったらこっちは牽引機考えたほうがいいなぁ・・・。」
そういうとまた車両庫に消えていった。
「・・・。」
「E5系かぁ・・・。なんでこいつが「はやぶさ」なんだろうな。いまだにあの命名した理由に納得がいかない。」
理由というのは鳥の中で一番早いという理由である。
「まぁ、決まったものは仕方ないじゃん。」
「そうだけど・・・。」
ドアが開いた。車両この方を見ても車両庫のドアが開いていない。とすると開いたのは普段この離れに入ってくるドアだ。
「智君。萌ちゃん。」
「雪姉ちゃん。」
「久しぶり。」
「えっ。雪姉・・・。」
「何。駿。あたしはここに来ちゃ悪いのか。」
「いや。悪いなんてことないけど・・・。なんでここにいるんだよ。仕事は。」
「休んできた。」
と平然と答えた。まぁ、それはそうだろう。ここにいるためには仕事を休む必要がある。と言っても僕は雪姉ちゃんがきょう仕事なのかどうかは知らないけど・・・。でも、会話からして今日は仕事の日だったのだろう。雪姉ちゃんは僕の顔を見ると、
「この頃あってなかったけど、やっぱり変わってない・・・。智君の顔って小学校で固定か。」
といった。確かに。僕は小学校の時から顔つきがそんなに変化していない。要するに僕の顔はデフォルトでここまで語った通りということだ。
「雪姉。今智運転してるから、邪魔しないでくれよな。」
「はいはい。そういう駿は中学でかわいくなくなったけどねぇ・・・。」
「可愛くってなぁ・・・。俺は智みたいなキャラじゃないっつうの。」
「ナガシィ。雪姉ちゃんにまでそういう風にみられてたんだ。」
「うるさい・・・。」
「淳も同じかぁ・・・。」
「ついでみたいに言うなよ。淳兄のこと・・・。」
「あっ。ごめんごめん。」
そして、またドアが開くそれで入ってきたのは・・・。噂をすれば何とやらである。淳平兄ちゃんだ。
「おっ。智・・・。雪姉ちゃんも久しぶり。」
「よす。淳。」
これで全員そろった。全員いとこ。この中で一番の年上は雪姉ちゃん。その次が淳兄ちゃん。そして、駿兄ちゃんで、僕だ。今まで出ていなかった淳平兄ちゃんの説明をすると、宗一じいちゃんの長男の息子。もう子供がいる。3人兄弟で、そのうち2人が女の子だ。あっ。子供がいるのは雪姉ちゃんも同じだ。保育園に預けているとかで・・・。あれ。保育園って今やってるのかなぁ・・・。
「淳が来たってことは一真や梓も来たのかなぁ・・・。」
「ああ。来てるよ。今は隆則おじさんのところにいるけど・・・。呼んでくる。」
「ならいいよ。あとであいさつするから。」
「それにしても見ないうちにともたくましくなったよなぁ・・・。」
淳兄ちゃんも同じことを言った。僕はそんなに変わったのだろうか。
「そうだよなぁ・・・。本当にたくましくなった。前よりは。」
「たくましくなった、たくましくなったってねぇ。逆でしょ。この中で一番たくましくない人のままなのは変わらないじゃん。」
「雪姉。ひどいなぁ。」
「言い返してやれって。少しは変わったって。」
「えっ。でも・・・。」
「ナガシィ。専門学校で女の子でとおってるもんね。」
萌がそう言うと全員吹いた。
「やっぱり通用してるんだ。それで。」
雪姉ちゃんはやっぱりねという感じ。
「おいおい。それいい加減脱却しろよ。」
というのは駿兄ちゃんと淳兄ちゃん。
「こらこら。そこで男の子の方面へ押していくな。智君はこのままのほうがいいんだって。キャラがキャラだもん。このキャラ崩壊させたら、今度はあんたたちのキャラ崩壊させるからね。」
「雪姉。いい加減にするのは雪姉のほうだろ。」
「だって二人とも中学校卒業したら変わっちゃったんだもん。二人とも今は全然かわいくない。」
「俺たちは雪姉のおもちゃじゃないって。」
と反論した。こんなやり取りをするのも久しぶりだなぁ・・・。このやり取りをしたのは中学校に上がった時だったかなぁ・・・。そこでやったと思う。その時は磯部が女の子説を教室中に・・・。最終的には学年中に広めることになるのだが、そういったのが始まりだった。まぁ、僕は声が声だったからなぁ・・・。声変わりはしたのかどうかいまだにはっきりしていないし・・・。のど仏が男の子は出てくるっていうけど、出てこないままで終わってるし・・・。男の子は体格が結構がっちりするっていうけど、がっちりしないし・・・。ていうか少し丸いし・・・。手細いし・・・。身長高くないし・・・。顔女の子だし・・・。髪長いし・・・。アクセサリーふつうに似合うし・・・。
「まぁ、本当にいろんな要因重なっちまったんだろうなぁ。専門学校でも。」
それは本当に言える。いろんな要因重ならなければ、こんなことで専門学校にとおっていないって。
「まぁ、それもそうかぁ・・・。」
離れに全員集まったので、久しぶりに全員で遊ぶことになった。これだけの人数であれば一人1線になる。つまり、地域・時代いろいろ無視した状態に陥るのは当然のことだった。その結果としては、僕が東海道の貨物。駿兄ちゃんは久しぶりということで東北本線の719系。雪姉ちゃんは何を走らせていいかわからないといっていたけど、結局取り出したのはE3系の「つばさ」。淳兄ちゃんはEH10牽引の古い貨物。萌は新幹線のE5系を走らせていた。
「だから、いつの時代・・・。」
「さぁねぇ・・・。」
「こんなことあり得るか・・・。」
「まぁ、時にはいいんじゃないの・・・。」
本当にすごいことになっている。時代がそれぞれで違うからよくわかんない。いや、地域も違うかぁ・・・。大体E3系が走っている隣をEF210が走るということ自体まずない。新幹線車両はすべて交流25000Vで動いている。対する在来線は直流1500Vか交流20000V。電気が違えば電車は走ることができない。つまり、1500Vでしか動くことができない電車は交流区間に乗り入れることができないのだ。ここまで説明すれば少しは状況が呑み込めたと思われる。
それで遊んでいたら時間を忘れるというのが常である。そのまま遊びふけり、駿兄ちゃんは午後の仕業に遅れそうになった。淳兄ちゃんは一人の給料が減るから別に問題ないって言ってたけど・・・。
それから、僕は淳兄ちゃんの子供を見た。まだまだ小さい子である。今1歳ぐらいだったっけ。
「ほら。智暉お兄ちゃんだよ。わかるかなぁ・・・。」
そういって淳兄ちゃんは男の子の一真を抱き上げた。
「わかんないと思うよ。」
「じゃあ、梓なら理解できるかなぁ・・・。」
そういって今度は梓を抱き上げた。
「わかんないと思うよ・・・。」
「まぁ、梓に至ればさらにわかんないかもなぁ・・・。」
「えっ。どういう意味。」
それから、そのことを淳兄ちゃんから聞いた。梓はもとから耳が悪いらしい。それで聞こえる音が少ないのだという。音が全く聞こえなくなる状態になるのも時間の問題で、今淳兄ちゃんは手話の学習をしているとのことだった。
「智の名前をあらわすんだったら「と、も、き」かぁ・・・。」
そういって淳兄ちゃんは手話をした。手話の「と」は甲を相手に向けて人差し指と中指を立て、「も」は親指と人差し指を合わせる動作をし、「き」は陰で作る狐の要領。この時僕は手話を淳兄ちゃんから教わればいいと思ったけど、淳兄ちゃんもその暇がなさそうだし、それはやめることにした。
駿兄ちゃんがいないけど、全員で夕食だ。久しぶりに集まった永島家の人々で久しぶりの夕ご飯だ。
今回からの登場人物
永島淳平 誕生日 1983年3月12日 血液型 AB型 身長
永島一真 誕生日 2011年1月14日 血液型 A型
永島梓 誕生日 2011年1月14日 血液型 B型




