218列車 打ち上げ
7月6日。今日から実質の夏休みに入る。しかし、今日は学校に用事がある。それは健康診断のためだ。そして、その健康診断の後鉄道学科全員(近畿・犀潟以外のメンバー)で昼食を食べに行こうという話になっているのだ。
僕たちのほうが先に健康診断が始まるので先に部屋を出た。コーポを出るときに暁と合流し、一緒に学校に向かった。それから健康診断だ。健康診断が終了するころには鉄道学科の女子など。この学校で女子がそんなに多くない学科の健康診断がスタートしているころだった。そして、昼食をとるために学校の前に集合する時間は13時30分ごろとそれまでの時間が結構ある。それまでの間僕は暁、水上、栗東、百済、羽犬塚でサウンドファンに行ってレーシングゲームを傍観していた。
そろそろ時間になるだろうと思って学校へ戻ってきた。
「あれ。まだだれも集まってないじゃん。」
水上が口を開いた。
「そうだな・・・。」
誰も集まっていないのは上でサービス接遇検定の面接対策を行っているからだ。面接を受ける人はそこで面接の練習をしている。それに時間がかかっており、まだ集まりきれていないからだ。
「んっ。」
誰かにくすぐられた。こういうことするのはこっちでは一人しかいない。
「萌・・・。」
「水上君。まだ面接時間かかるみたいだから。」
「ああ。面接かぁ・・・。あとどれぐらいで終わるかわかる。」
「それはちょっと分かんない。私は受ける人じゃないし・・・。ああ、でもあと30分ぐらいかかるかもしれないってことだった。」
「30分。」
水上はふと時計を見た。
「30分って。1時50分ごろじゃねぇか。そこから千里中央いって飯だろ・・・。」
「場合によっては3時の御飯になるかも・・・。」
「3時の御飯ねぇ・・・。それって昼ご飯の度を越えてるじゃん。もう遅い昼ご飯じゃなくて、早すぎる夕ご飯じゃん・・・。」
「・・・。」
「とにかくそういうことだから・・・。」
と言っていた。
それから結構時間が経ち結局全員集合しきったのは40分ぐらい後になってからだった。草津からもらった千里中央までの切符で御堂筋線を緑地公園から千里中央まで行く。列車は10A系。近畿に教わったことだが、電機子チョッパのモーターを搭載していた10系のモーターをIGBT素子のVVVFインバーター制御に切り替えた車両らしい。
次の桃山台で先頭車両に向かうため男子は一度降りて、列車前方へ、女子は車内を通って列車前方へ向かった。僕はというと女性専用車の中を通らされる羽目になった。いくら違和感がないからとか言う問題じゃないって・・・。
千里中央に到着すると10号車から降り、そのまま駅の北側に出た。そして、電気屋が入っている店舗の4階に向かってエスカレーターを上がっていき、そこにある揚げ物屋に入った。全員が席に着こうと分散していく。しかし、なぜか僕は分散できなかった。しっかり萌の隣・・・。少しは萌の隣じゃないほうがいいんだけどなぁ・・・。男子とワイワイしゃべりたい気がする・・・。結局僕は瀬野、内山、蓬莱、留萌、萌と一緒に座ることになった。
「さぁ、みんなで乾杯をしたいと思うからソフトドリンクは取ってきてくださいよ。」
難波さんのその声で全員が食べ物を取りに行った。僕はすぐに行くと混むと思ったので、そのまま少し待ってから、飲み物を取りに行った。僕はそんなに食べない方だから、串をそんなに取らず6本だけに収めた。
全員が食べ物をとり終ったところで、
「それでは。皆さん1学期お疲れ様でした。」
「お疲れ様でした。」
「無地誰も欠けることなくやってきましたので、この先もよろしくお願いいたします。2学期は大変しんどいこともあるかと思いますが、頑張ってまいりましょう。乾杯。」
「乾杯。」
カリン、カリン。コップをやさしく衝突させて、全員食べ物に走った。
「さてと、揚げるかぁ・・・。」
それからちょっと遅すぎるお昼ご飯を食べた。お腹は結構空にしてきた方だとは思ったけど、普段から少食の僕だ。すぐに限界が来てしまった。最初に取りに行った串の量と、ご飯1杯。ソフトドリンク2杯が僕の限界であった。ちょっとお腹を押さえた。
「ナガシィ大丈夫。」
そう言うこと見逃さないのは萌だ。
「えっ。大丈夫。大丈夫。」
「ちょっと横になったら。少食にもほどがあるわよ・・・。」
「・・・横にならなくても大丈夫だよ。」
「ていうか、智ちゃんそれだけで足りるの。」
「足りてないと思うけど、無理にお腹の中に入れて、お腹壊したじゃ話にならないじゃん。」
瀬野に萌が反論した。
「ほら。早く横になりなさい。」
「うわっ。」
萌に倒されて、僕は萌のほうに頭が来るように横にさせられた。
しばらくそのままでいると誰かがつついてきた。誰だろうと目を開けると横が萌から内山に代わっていた。
「智ちゃん。アイスでも食べる。」
「えっ。」
見てみると内山はアイスを握っている。明らかにその作り方に失敗したのだろう。変に太っている。
「智ちゃんアイスいらないの。」
「いらないよ。」
「ナガシィはアイスあんまり食べないよ。アイスよりは別のアイスだよねぇ・・・。」
萌は氷って言いたいのだろうなぁ・・・。そんな遠まわしに言うことでもないとは思うけど・・・。
「・・・。」
「うわぁぁぁぁ。失敗したぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
という声とともに全員の目が栗東に集中した。
「プッ。」
「クク・・・。何それ・・・。」
僕も気になって見てみたいと思い体を起こした。
「ナガシィ見ちゃダメ、見ちゃダメ。」
「智ちゃん、これ見たら絶対お腹痛くするよ。」
萌と瀬野が止めに入った。
「いいじゃん。少しくらい見たって。」
二人のバリアを乗り越えてみると栗東の持っているアイスは内山のアイスよりすごいことになっていた。太り過ぎだ。横何センチある。コーンより両方に1センチぐらいはみ出ている。つい笑ってしまった。笑うともたれたお腹が痛くなった。
「だから痛くするって言ったじゃん。」
瀬野から注意を受けた。その意味がよく分かった。
「もう、ナガシィったらバカなんだから・・・。」
萌の言葉は今は素直に受け止めよう。ふと周りを見てみると隣の平百合のところもすごくなっていた。まず驚いたのは平百合の食べている量だ。身体は健康的なのに、どこに入るのだろうという量をすでに平らげている。羽犬塚たちがいる場所は遊んでいる。結構いろんな意味で危ないことをしているのか・・・な。
またしばらく横になっていると横がまた萌に戻り、タイムリミットとなった。タイムリミットとなっても持たれたままのお腹だ。そんなにすぐに活発に動けるほどではなかった。また草津が千里中央から緑地公園までの切符を買い、全員に配布する。ここでここの近くに住家がある草津、高槻たちと別れ、女子会をするという瀬野と蓬莱と別れた。
地下のホームにいくと1番乗り場には北大阪急行所属の8000系「POLESTAR」が止まっていた。普段乗れるような車両(30000系ほどではないが)ではないので、勇んで乗り込んだ。当然途中の車両には用はない。先頭に向かった。
「ピーポーン。」
という音がするとドアが閉まる。これが「POLESTAR」の特徴でもある。そして、こちらに住んでいる人たちからよく聞くことではあるが、この車両は到着直前にもこのような音が鳴るらしい。そして、一番くどいのは「POLESTAR」の第6編成らしい。今乗ったのは「POLESTAR」の第1編成。だから、そんなにくどくはないのかなぁ・・・。
「パワァワァワァワァワァワァン。」
音は機械で表すと波の形状になるというが、これは本当に波と分かる警笛だ。警笛一発「POLESTAR」は千里中央を発車した。しばらく進むとまた、
「パワァワァワァワァワァワァン。」
トンネルから出ようとすると、
「パワァワァワァワァワァワァン。」
御堂筋の間に出てきて、そこを60km/h以上のスピードで飛ばしていく。しばらく走ると桃山台。桃山台到着前にも、
「パワァワァワァワァワァワァン。」
特徴のある警笛を鳴らして、駅に入線する。そして停車直前には、
「ピーポーポーン。」
でドアが開く。
桃山台を発車するときは警笛なく発車した。そして、緑地公園に到着する前にも独特の警笛を鳴らして入線。御堂筋線を仕事場にしている他の10系、10A系、20系、30000系の警笛の区別は僕には付きにくいけど、この警笛はすぐに「POLESTAR」だと分かるようになった。緑地公園に入線して、客扱い。そして、全員黄色い線の内側にいることを車掌が確認すると、ドアが閉まる。そして発車する。「POLESTAR」はVVVFモーターの音を奏でて緑地公園を後にしていった。
僕たちはすぐにコーポに戻ったわけではない。千里中央から雨に見舞われているのだ。それも結構強い雨だ。こんな中は帰りたくない。それにまだ僕のお腹はもたれている。すぐには帰りたくないと思った。だからちょっとの間緑地公園のホームにいることにした。30000系が撮れるかと思ったけど御堂筋線にたった1編成しかいない編成。そうそう来るものではない。ちょっとの間待っていたが、その間に来たのは全て抵抗制御のままの10系とGTO素子VVVFインバーターの20系。そしてIGBT素子VVVFインバーターの10A系。北大阪急行の8000系「POLESTAR」ぐらいだった。その間に雨の激しさは一段と増して、余計帰れなくなった。だから、しばらく待った。しかし、その間も30000系は来なかった。しばらくたつと雨も少し弱まり、緑地公園で抑止をする必要はなくなった。そして、もたれも結構解消したので、30000系を諦めて、家に帰ることにした。




