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MAIN TRAFFIC  作者: 浜北の「ひかり」
Sasago Vocational College Episode:1
211/779

211列車 結果とブログと誤解

 6月5日火曜。今日鉄道業界研究でまたクレペリン検査をやった。今回の目標は先だけでもA評定の内に収めること。それを目標にしてやったが、本当にうまく行ったのかはわからなかった。

永島(ながしま)。俺前やってクレペリンの結果危機に行きたいんだけど付き合ってくれない。」

近畿(きんき)がそう切り出した。

「あっ。分かったよ。」

僕はそう返事をした。実を言うと僕も前回の結果が気になっている。あれの存在は大きい。あれができなければ駅員(ホーム上で働く係員)にもなれないのだ。鉄道業界がどれだけシビアなものか。中身が分からなくても、これぐらいは通じるだろう。

 近畿(きんき)が結果を聞いた後に自分も結果を聞くために教務室に入った。

「えーと。永島(ながしま)君ね。永島(ながしま)君さぁ、そっちから見ると今どのくらいの表定にいるかわかる。」

難波(なんば)さんはそのあと一番下にD。一番上にⒶを書いた。この間はしたからC、Bと評定が上がっていく。僕がいる場所はB評定のところだ。

「Bですね。」

「そう。このBっていうのは鉄道の中では見てももらえないんです。いくら永島(ながしま)君ががんばっていい線の結果を出しても、見てもらえないという風になったらそんなもったいない話ないじゃん。」

「・・・はい。」

「だから、永島(ながしま)君はこの1分間の計算をとにかく早くやる。作業量を増やすってことをしてほしいのよ。水上(みなかみ)君みたいに100マス計算とかやってくれてもいいし、今は携帯のアプリで計算練習ができるものがあるから、今はそれで、作業量を増やしてほしいのよ。」

まぁ、ダークゾーンで見てもらえるなんてそんな甘ったれた話はないかぁ・・・。ストレートに今の僕では鉄道業界に入れたとしても目標に向かっては絶対に無理ということだった。

 6月7日木曜。

「今日は永島(ながしま)君。平百合(ひらゆり)君。羽犬塚(はいぬづか)君。ブログ書いてくださいね。」

鉄道旅行プランニングの授業が終わると難波(なんば)さんが教室に入ってきて、そう行った。鉄道学科では1・2年生一人一人がブログを書いている。もう(もえ)たちは回ってきていて、浜松(はままつ)組の中でいえば僕は一番最後に担当が回ってくるのだ。

(・・・何書こう。)

ブログの投稿は初めてだ。分からないことはブログの投稿を補助してくれる犀潟(さいがた)が担当してくれる。まぁ、中身はこのごろ女の子疑惑で定着してきたしなぁ・・・。しかし、そのことは書かず、鉄道の日記みたいなことを書いて終わらせた。

 6月9日土曜。今日は専門学校で受ける検定1回目。サービス接遇。まぁ、落ちた気でいることのほうが大事だろう・・・。結局自分の中では100パーセント落ちたと思った。そのほうが反動が小さくて済む。受かってると思うよりは・・・。

 6月10日日曜。

「なぁ、ちょっと「トワイライトエクスプレス」でも撮りにいかない。」

そう(もえ)を誘って大阪(おおさか)まで赴くことにした。

 大阪(おおさか)にいきたい理由は「トワイライトエクスプレス」以外にもう一つある。福知山線(ふくちやません)JR宝塚線(たからづかせん))を走っている「丹波路快速(たんばじかいそく)」のことを少し調べたいのだ。簡単に言ったら225系6000番台の進出率。頭数は223系6000番台(宮原(みやはら))より少ないが、どれほどの頻度で225系運用があるのかを見ておきたかった。

「まぁ、こういう感じで誘ったってことはさぁ、大阪(おおさか)で遊びたいって思ってるからじゃないの。一人じゃ暇なんでしょ。」

「・・・。」

「まぁ、いいよ。「トワイライト」が見れるならね。」

(・・・ふぅ。)

やっぱり(もえ)には僕の心が読めているのだろう。

 大阪(おおさか)まで御堂筋線(みどうすじせん)を使っていったわけではない。目的は「丹波路快速(たんばじかいそく)」意外にもある。紀勢本線(きせいほんせん)(きのくに線)を走る「特急くろしお」のことも撮りたいのだ。「オーシャンアロー」の283系はまだ前照灯を照らした状態のものを撮ったことがない。そして前撮った時に微妙だと感じている287系の今回で納得いくものにしたいという気もあった。

 新大阪(しんおおさか)で11時00分発の「特急くろしお9号」(「オーシャンアロー」車両で運転)を撮影。そのあと一度大阪(おおさか)まで行った。大阪(おおさか)まで来るとすぐに宝塚(たからづか)方面に発車する「丹波路快速(たんばじかいそく)篠山口(ささやまぐち)行きがホームにいた。これは223系6000番台8両。225系が進出したからと言って、そんなに数がないということを物語りたいのだろうか。それとも向こうが僕たちを選んでいるのだろうか・・・。いや、それはない。

「さて、6000番(223系)は撮ったし・・・。」

伸びをして、後ろを見てみた。別に(もえ)がいるわけでもないし、警戒することはないだろう。

「えっ。」

これが出た。

(「トワイライトエクスプレス」。)

僕たちが今いるのは5・6番乗り場。そして、10番乗り場には今日出るはずがない「トワイライトエクスプレス」が止まっている。自分の心の中で撮りに行こうと思っていると(もえ)が僕の手を握り、僕はそれにつられる状態になっていた。

 「トワイライト」が止まっている10番乗り場に来てみた。もちろん、そこにはこの「トワイライト」に乗り込もうとしている客と「トワイライト」を撮っている鉄道に興味がある人たちがいた。当然僕たちは先頭まで行って、牽引を担当するEF81-44号機を携帯に収めに行った。

「なんでこう会うのかね・・・。」

後ろからそういう声がした。聞き覚えのある声は高槻(たかつき)だった。

高槻(たかつき)。なんでここに。」

「いたら悪いか。・・・今日は「トワイライト」が団体で出るって聞いたから撮りに来ただけだよ。・・・ちょっとおまけもいるけど。」

「おまけ・・・。」

「そこツッコまなくていい。」

高槻(たかつき)はそう言った後ため息をついて、

「こういう時になったらある意味永島(ながしま)達のほうがいいよなぁ。彼女連れてきても問題ないし・・・。」

(問題ないって・・・。)

(・・・まぁ、確かに。逆に(もえ)は連れて行かないと問題になりそうだからなぁ。)

そんなこと頭で思っていると、高槻(たかつき)の後頭部に何かが飛んできた。高槻(たかつき)にあたってすぐに分かったが、バッグだ。誰のバッグだろうか・・・。高槻(たかつき)が前に倒れこみそうになってこらえる。そして、その方向を向いて、

「何すんだ。優奈(ゆうな)。」

と言った。そこにはいかにも不機嫌そうな顔をしている女子が立っていた。

「何すんだじゃないでしょ。海斗(かいと)こそ何よ。あたしがいない間に両手にはなって。どういうことか説明してよ。」

「・・・。」

この雰囲気はどうすればいいのだろうか。僕と(もえ)も一応恋愛はしている・・・。でも、こうなったことはない。

「こいつらは専門学校の同級生だって。」

「同級生って・・・。こんなにカワイイ同級生が二人もいるんじゃ。」

この言葉に高槻(たかつき)は反論した。

「ちょっと待て。永島(ながしま)。」

ちょっと待てと言ってから高槻(たかつき)がこっちを向く。

「お前いま・・・何もしてないな。」

僕を見てからそう言う。そして、また優奈(ゆうな)と呼んだ人のほうを向いて、

「お前。そこだけは勘違いしてるぞ。こいつらはこいつらでカップルだ。」

「カップル・・・。こっち方面のか。」

と言って優奈(ゆうな)と言って人は小指同士をくっつけた。これは近畿(きんき)が少しやっているあの意味だとすぐに分かった。

「違う。れっきとしたカップルだ。こいつはこう見えても男だよ。」

その言葉に不機嫌そうな顔は一気にキョトンとした顔になった。

「ホントごめんなさい。」

この後高槻(たかつき)が説明をして、優奈(ゆうな)という人は僕に謝ってきた。

「いやいや、別に気にしなくても。」

「いや、だって・・・。」

優奈(ゆうな)の名字は服部(はっとり)だそうだ。服部(はっとり)は僕を見てから、

「男の子に見えない。すっぴんでしょ。化粧してないよね。・・・てっきり男物の服着た女の子だと思った。」

「よかったね。ここまで定着して。」

(もえ)は僕がこういわれることを面白がっているのかもしれない。そういう目をしている。

「おい。」

「なんで。そういう声出るの。・・・中学の時まさかの声変わりしてないケイ。」

「いや、声変わりはこれでもした。小学校の時よりちょっとだけ低くなってるよ。」

「低くなる前どんだけ女声だったんだよ。」

「・・・分かったか。優奈(ゆうな)。浮気してないって。」

今度は高槻(たかつき)が不機嫌な顔をしている。

「分かったよ。本当にあたしのこと愛してくれてるのね。」

「・・・俺からもごめん。迷惑かけちゃって。」

「だから、いいって。気にしてないし。」

「いや、お前が気にしてなくてもこっちが気になるんだって。」

「大丈夫だよ。ナガシィガチギレすることほとんどないから。私にキレたことだって1回ぐらいしかないもんね。」

(もえ)は最後のフレーズだけ強調したように言った。でも、(もえ)の言っていることは正しい。僕たちがケンカした時以外僕は(もえ)にガチギレしたことがないというのは事実だからだ。じゃあ、時々怒った口調で(もえ)と話すことがあるのかというと、ただただ(もえ)にいじることをやめてもらいたいだけである。

「・・・。」

ふと時計を見るともう11時30分をまわっていた。「くろしお11号」が出るのは12時00分。そして、大阪(おおさか)から出るわけではないので、また新大阪(しんおおさか)に行かなければならない。

「あっ。僕たちそろそろ新大阪(しんおおさか)のほうに行くから。」

「どうした。発車まで見ないのかよ。」

「見てると287系の「くろしお」が見れなくなっちゃうから。」

「あっ。分かった。」

そう言って僕たちは高槻(たかつき)たちをわかれた。

 新大阪(しんおおさか)に付いたら、まずは11時50分に大阪(おおさか)から発車する「トワイライトエクスプレス」を使った団体列車。時間は正規の「トワイライトエクスプレス」と同じスジを使っているから、発車まで取ったらおそらく「くろしお11号」のほうに回せる時間がほとんどないだろう。そのため「トワイライト」を撮ったらすぐに「くろしお」のほうに回り、少しハードだったら目的を達成した。

 そのあとむだにまた大阪(おおさか)に行った。「丹波路快速(たんばじかいそく)」の写真を撮るためだ。戻ってすぐに大阪(おおさか)に来た「丹波路快速(たんばじかいそく)」は225系運用。その次も225系運用。その次でようやっと223系運用の「丹波路快速(たんばじかいそく)」が来た。その「丹波路快速(たんばじかいそく)」の写真を撮ったのだが、撮る直前になぜか違和感を感じた。写真を撮ってから、6000番台(223系)を見てみるとその理由が分かった。

「あれ。片目死んでるじゃん。さっきまでついてたのに・・・。」

(もえ)が言った。だから、撮った時に違和感を感じたのか・・・。

 そのあとこの「丹波路快速(たんばじかいそく)」が回送されるところまで見たが、ハイビームにした時僕たちから見て右側についているフォッグランプは点灯した。なんだよそれとツッコみたくなったのは言うまでもない。


今回からの登場人物

服部(はっとり)優奈(ゆうな) 誕生日 1993年7月5日 血液型 B型 身長 153cm


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