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MAIN TRAFFIC  作者: 浜北の「ひかり」
Sasago Vocational College Episode:1
200/779

200列車 放課後の談笑

 4月24日。今日は学校生活3回目のスーツの日。全員スーツで揃ったのは2回目。4月17日だけは一人だけ私服で来てしまっていた。

 さて、その話はさておき。この時期になってくると学校に慣れてきたり、慣れなかったりとしているけど、僕は学校には慣れてきた。(もえ)もいることだし、楽しいというのは本当である。しかし、将来的に(もえ)まで敵になるというのを考えるとちょっと複雑な気持ちだ。火曜日の授業は必修は7限目。16時10分まで。そのあとは選択授業になり、内容は手話。これを受けない木ノ本(きのもと)留萌(るもい)(あかつき)たちはすぐにコーポのほうへ帰っていった。これを取っているのは僕、(もえ)近畿(きんき)瀬野(せの)草津(くさつ)内山(うちやま)。他の人たちは手話は受けないと言っていた。難しいからって言ってたけど、手話はそんなに難しいものだろうか。一度はまったことがある僕はそうは思っていない。

 今日はその中で自分の出身地を手話で表すということをした。僕と(もえ)は同じ浜松(はままつ)。僕のほうが先に回ってきたから(もえ)のほうは何も困っていなかった。僕たちが浜松(はままつ)という手話を講師の生駒(いこま)さんから教わると生駒(いこま)さんは、

浜松(はままつ)って言ったらウナギが有名ですね。あっ、うなぎパイもかぁ・・・。」

手話をしながら、そう言った。僕は生駒(いこま)さんがやる手話全てが分かるわけではない。しかし、少しぐらいは何を言いたいのかわかる。まぁ、本当のろう者ではないからそういう風になっているだけだろうが・・・。

「えっ。あっ。はい。」

僕が反応すると後ろに座っていた近畿(きんき)が、

「あれでどうしてうなぎパイになるんだろう。」

近畿(きんき)はそれが疑問に思ったらしい。すると生駒(いこま)さんは丁寧に教えてくれた。

「まず、両手を首に持っていきます。これでウナギのえらを表します。後は指文字を使って「パ」、「イ」とあらわす。これで「うなぎ」、「パ」、「イ」となるわけです。」

「・・・うなぎパイ・・・。」

近畿(きんき)も含め見よう見まねで真似をした。しばらくすると授業が終了した。それで僕たちは荷物をまとめて解散する。

「いやぁ。あれで「うなぎパイ」とは思わなかったなぁ・・・。」

近畿(きんき)がそうつぶやいた。僕だってあの手話は知らなかった。いや、忘れていただけかも・・・。僕が手話に興味を持ったのは小学校4・5年生ぐらいの話だからだ。

「・・・「うなぎパイ」ねぇ。手話って表情とかも大事になるから・・・。」

「えっ。てことは表情次第で生きてるウナギと死んでるウナギも区別できるってこと。」

「・・・まぁ、そういうことになるけど。」

僕がそう言ったら近畿(きんき)は今にも死にそうな表情をして同じ「うなぎ」の手話をする。それに「パイ」とあとでくっつけた。

「かぁ。すごいうなぎ。そんなのパイになっても食べたくないわ。」

瀬野(せの)がつぶやいた。確かに。こんなウナギは食べたくないは僕だって同じだ。

「・・・そんなうなぎパイ販売されてないから安心して。」

「・・・あれあたし好きなんだよねぇ。でも、広島(ひろしま)からだと遠いし、移動するだけでも結構お金かかるんだよねぇ・・・。」

「まぁ、そうだけど・・・。うなぎパイって一本一本包装されてるのが多いけど、わけありで袋詰めになってるのが販売されてるよ。少しは安く手に入るけど・・・。」

「へぇ。そういうのあるんだ・・・。」

永島(ながしま)。「うなぎ」、「パ」、「イ」。」

「はまりすぎだって近畿(きんき)。」

「これ明日学校行ったら蓬莱(ほうらい)さんとかに見せてみよう。どんな反応するか楽しみじゃね。」

「・・・。」

そう言いながら学校の外まで出てきた。学校から出て、緑地公園(りょくちこうえん)駅に通じる方へ降りていく。内山(うちやま)とは緑地公園(りょくちこうえん)の前まで来たところで別れ、この場には僕、(もえ)草津(くさつ)近畿(きんき)瀬野(せの)が残った。

「うなぎねぇ・・・近畿(きんき)お前はまりすぎだって。よくそんなにウナギにはまれるな。」

草津(くさつ)が呆れたように言う。

「お前だって写真撮りにはまってるじゃないか。」

「まぁ、そうだけどさぁ。お前はある意味異常だって。」

「アハハハハ・・・。」

僕が緑地公園(りょくちこうえん)のほうを見るとあることに気付いた。袋を提げて、留萌(るもい)がこちらに歩いてきたのだ。

「手話終ったのか。」

留萌(るもい)がそう聞いた。すると瀬野(せの)が、

「お前さっき言ってたあれ見せてみろよ。」

「えっ。なんで今。」

留萌(るもい)だって手話の授業受けてないんだぞ。見せる価値あるだろ。なぁ、これなんて言ってるか答えてみろよ。」

勝手に話を進めていったので、近畿(きんき)はあの手話をまず留萌(るもい)に見せることになった。それを見せると留萌(るもい)のは顔は当然のことながらポカンとした。

「なんだかわかる・・・。ヒントはねぇ。浜松(はままつ)に関係することだよ。」

「えっ・・・。もしかして、う・・・うなぎ。」

「おっ。うなぎは正解。」

「うなぎ死んでるじゃん。・・・蒲焼にするときに確かに生きたウナギ殺すけどさぁ・・・。」

「いや・・・今にも死にそうなうなぎ表現してるんだって。」

「死にそうだったら今すぐ殺してよくない。」

「おまえ怖っ。」

ここで最後にやっていた手話まで種明かし。うなぎパイを表現していたということだったが、留萌(るもい)もあきれていた。留萌(るもい)に対してこれで笑いを取るということは難しすぎたようだ。

「ふぅん。もういい。」

「あっ。いいよ。ごめんね。買い物の帰りなのに。」

留萌(るもい)が去ってから、

「もうウナギの話やめにしようぜ。」

「そうだな。」

「でも、何話す。」

「ナガシィが鉄研部でどこが言った時の話でもいいんじゃない。それだったらネタ尽きないでしょ。」

「でも、あれは・・・。(もえ)ほとんど聞いてるし、面白くもなんともないだろ。」

「私は確かにそうだけど、瀬野(せの)たちは聞いたことないんだから、別にいいんじゃない。」

「そう言えば、お前結構いろんなところ行ってるよなぁ。」

瀬野(せの)がつぶやく。

「・・・。でもあれほとんどが過酷だったからなぁ・・・。そんなにいい話じゃないね。」

「行ったところある場所って、博多(はかた)青森(あおもり)富山(とやま)だろ。」

草津(くさつ)が思い出すように言う。

「その過酷な思いでいってくれよ。」

瀬野(せの)がその話をしろと促す。僕の頭の中にはそれよりももっと面白いネタが浮かんだので、そっちを話すことにした。まず、全員に断わってから、

「臨地研修の話とはまた違う話になるんだけど、僕と木ノ本(きのもと)留萌(るもい)は鉄研部入ってたから、共通の話題になるんだけど、こっちの方が面白いからこっち話す。俺たちっていろんなところに展示しに行ったことがあるんだけど、・・・。」

それで話し始めた。

「ふぅん。結構いろんなことやってるんだな。あたしは模型持ってないからわかんないけど、走り悪いとそれは確かに腹立つよなぁ・・・。暴言吐きたくなるのも分かる気がする。」

「暴言吐きまくりじゃないか。」

「いや、それは僕が吐いてたわけじゃなくて、後輩が吐いてるだけで・・・。」

「・・・。他にもこういうことあったよねぇ。」

今度は(もえ)が話に入って来た。

「ナガシィったらさぁ・・・。」

「あっ。その話。」

数分後・・・、

「うーん。そういうことでいちいちもめるわけねぇ・・・。」

「223系の1000番台か2000番台。をどっちが走らせるかかぁ・・・。まぁ、それでもめるんだったらまだわかるなぁ・・・。」

「じゃあ、お前の家にはメチャクチャ大きい模型があるのかぁ。うらやましいなぁ。俺はそういうことできないからなぁ・・・。」

「結構車両持ってるんだろ。阪神電鉄(はんしん)とか持ってないの。」

瀬野(せの)が言った。

「えっ。」

「あっ。あたし車両的には阪神電鉄(はんしん)が好きでさぁ。やっぱ赤胴車(あかどうしゃ)いいよね。」

赤胴車(あかどうしゃ)なぁ。あれこのごろ赤じゃなくなってきたけどなぁ。」

「あたし的にはあの方が好きなの。5500系(ジェットカー)も223系もいいけど、一押しはやっぱ1000系と9300系でしょ。」

「・・・へぇ。瀬野(せの)阪神電鉄(はんしん)派なんだ。俺は阪急電鉄(はんきゅう)派だなぁ。中でも「額縁(がくぶち)」はいいじゃん。」

「「額縁(がくぶち)」・・・。」

近畿(きんき)の言葉に疑問を持った(もえ)が聞き返す。

「あっ。知らないの阪急(はんきゅう)の「額縁(がくぶち)」。8000系のことなんだけど。」

「ああ。8000系の初期かぁ。確かに。言われてみるとあれ「額縁(がくぶち)」に見える。」

「やっぱ永島(ながしま)分かってる。お前阪急(はんきゅう)だったら何系好き。」

「えっ。俺はやっぱ8000系の「額縁(がくぶち)」。あれ好き。他の8000系系列も好きだけど、一番好きなのはやっぱ「額縁(がくぶち)」。」

「「額縁(がくぶち)」かぁ。さらにいうと俺はあの8000系(がくぶち)の中でも8008が好きなんだよな。8000系(がくぶち)の中じゃあ唯一のシングルパンタ車じゃん。だからあれ好き。他の9000系とかはちょっと微妙。・・・他にも321系とかも好きだなぁ。」

「あっ。王寺(おうじ)に住んでるんだったら221系(アメニティライナー)のほうだと思った。」

草津(くさつ)が口をはさむ。

「いや、あれも好きだよ。でも、お前「アメニティライナー」知ってるとはなぁ・・・どんだけ詳しいんだよ。」

「「アメニティライナー」知ってるやつは知ってるよ。」

「ああん。話し戻すけど、家には阪神(はんしん)とか私鉄系の模型はほとんどおいてないんだ。」

「ほとんどってことは少しはあるんだ。どこの会社のやつ。」

GREEN(グリーン) MAX(マックス)名古屋鉄道(めいてつ)だったかなぁ。「パノラマスーパー」おいてるのは知ってる。」

「「パノラマスーパー」って全車特別車だった1000系のほう。」

「うん。それの今の形態のやつがあったと思う。」

「ふぅん。」

そのあとも模型の話。みんなが体験したりした電車の話。特に僕に意外だったのが中学生ぐらいでやったと思う職業体験のこと。広島(ひろしま)のほうは最初から体験先が決まっているわけではないと聞かされて、うらやましいと思った。僕だって自由だったら自分のところに行きたかったぐらいだった。

 翌日。近畿(きんき)が昨日言っていたことを教室でやっていた。これにメチャクチャ受けていたのは木ノ本(きのもと)だった。


今回からの登場人物

笹子観光外国語専門学校

生駒(いこま)重樹(しげき) 誕生日 1960年10月13日 血液型 A型 身長 170cm


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