表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MAIN TRAFFIC  作者: 浜北の「ひかり」
Sasago Vocational College Episode:1
197/779

197列車 ツッコミ神ゲー

 4月19日。昨日で授業は一通り終わり、今日から本格的に内容がスタートしていく。社会科とかの授業は何となくわかる。他の授業もどんなことを言っているのがぐらいは分かる。それはこれまで知ってきた鉄道の知識が少しは役に立っているのだろう。しかし、それが裏目に出る教科だって少なくない。今この時期はそういうのが多い時間。僕にとっては我慢の時間である。それを感じているのは僕だけではないけど・・・。

 空き時間になると僕たちは7階にある学生ホールのほうへ上がった。ここでお昼と食べている。外にも机があるけど、外の机は熱を持って温かくなっているし、このごろの日差しが強い。ずっと外にいるにはお勧めしないのだ。

「昨日久しぶりに電車でGO(ゴー)!にはまってさぁ・・・。」

お昼を食べ終わった高槻(たかつき)が切りだした。

(電車でGO(ゴー)!かぁ・・・。)

僕だってそれはやったことがある。ふつうに高い得点をたたき出すことはできる。恐らく高槻(たかつき)もそれぐらいのレベルに入るだろう。

「あれって久しぶりにやるとノウハウ忘れない。」

「そうか。俺はそういうのは残ってるけど・・・。ていうかあれって基本的に目安があるから簡単じゃん。」

平百合(ひらゆり)が言った。

「まぁ、あれはふつうにやってればミスることないしな。」

長万部(おしゃまんべ)が続けた。

「電車でGO(ゴー)!やるとさぁ、いろんな乗客出てくるよなぁ。特にウザい奴が大半。」

「そりゃぁなぁ・・・。俺がウザいと思うのはやっぱり特急やってる最初に出てくるおばちゃん。「やっぱりグリーンはいいわねぇ。」とか。何回グリーン乗ってて、どれだけの金があるんだって言いたくなる。」

「それもそうだけどさぁ・・・。連結の時に変なところに止まったりすると「止まっちゃったよこの電車」とかってうるさいガキがいるからさぁ。止まっていたいならそのまんま止まったままでいてやるけどとかって思う。」

長万部(おしゃまんべ)が言った。

「・・・アハハ。確かにそいつウザい。」

「そんなことよりさぁ、あのガキすごいだろ。「ハウステンボス」・「みどり」やってると一つの列車の中で3回「いただきまーす。」だから。幕の内3回だぞ。そして異様に食べるペース早いし。」

平百合(ひらゆり)が言った。

「だからそれって好きなやつだけ食べて、他のは親が食べてるんだろ。」

「いや、それ考えられるけどさぁ、でも3回同じの食うってどうよ。もし幕の内の中にエビフライが2本入ってたとして、6本だぜ。・・・6本だったらまだ飽きないかぁ・・・。」

「・・・俺は思うにあれ全体がおかしいと思うね。」

高槻(たかつき)が口をはさんだ。

「だってさぁ、俺こういうの見たことあるんだけどさぁ、そのガキが「おばちゃんお(ちゃ)」っていって、その次が「おばちゃんジュース」で最後が「お弁当(べんとう)はいかがですか」だぜ。会話成り立ってねぇよ。」

「・・・なんだよそれ。」

「だから言ってるじゃねぇか。「おばちゃんお(ちゃ)」、「おばちゃんジュース」の後に「お弁当(べんとう)はいかがですか」。」

「おかしい。おかしい。それ絶対おかしい。」

平百合(ひらゆり)が笑いをこらえながら言う。

「それって別の車両っていう設定だろ。ガキがお茶とジュースを頼んだ後にアテンダントが別の車両にいって「お弁当(べんとう)はいかがですか」だって。」

「・・・すごい裏設定見た気がする。」

しばらく黙った。

「あと新幹線の電車でGO(ゴー)!をやってるとさぁ、フリーランっていうのが中にあるんだけど。」

「あっ。あるあるそれ。」

平百合(ひらゆり)が答えてくれた。

「あれさぁ、ふつうの運転でやるとフルノッチってなかなか使わないのに、フリーランの時はフルノッチでないと最高速でないからさぁ。・・・それにフリーランだからATCの制約ないじゃん。だから、徳山(とくやま)を300km/h(キロ)で通過するんだよ。」

徳山(とくやま)300km/h(キロ)。脱線する脱線する。」

「でも脱線しないんだよね。後広島(ひろしま)とか岡山(おかやま)に300でツッコんで、ホームを通り越そうとしても必ず83メートルで止まるんだよ。」

「なに秒速できっちり止まってるんだよ。」

「後、制動の時50メートルまでは何もないからそのあとの非常ブレーキ最強すぎ。新幹線最高速から減速したら必ず4000メートルぐらい走っちゃうから。そのところ23メートル・・・じゃない。33メートルでとめてるんだから。」

「それプラスVVVFの音してるからな。あれ絶対本物だったらモーター壊れるぞ。」

「壊れるの前に持たない。持たない。」

「本物だったら壊れるのにフリーランでそれを小倉(こくら)でやるとちゃんとその先広島(ひろしま)まで行けるし、広島(ひろしま)でやっても岡山(おかやま)まで行けるし。おかしいだろ。で新大阪(しんおおさか)でそれをやると必ず83メートルで止まる。東海道新幹線(とうかいどうしんかんせん)入ってくれない。」

「なんの話してるんだ。」

後ろから草津(くさつ)が話しかけてきた。

「いや、電車でGO(ゴー)!がいろんな意味でおかしいだろって話。」

「おかしい以前の問題だろ。」

そう言うと草津(くさつ)も話に入って来た。

「あれさぁ、踏切事故があるやつあるじゃん。それ結構な速度でツッコんでくと車吹っ飛ぶからな。」

「ふ・・吹っ飛ぶ。」

「吹っ飛ぶ。ふつうだったら車の破片がそこらへん散乱するだけで終わるのに、ぶつかった瞬間に画面の外に車消えてくから。他にもぶつかったのにかかわらず、何もなかったようにふつうに走ってく車もいるから。」

「壊れてねぇの。」

「運転手と車がタフなんじゃね。本物は4WDでも無理だけどな。」

と言ってからまた何か思い出したようだ。

「あと物理無視してるっていえば、京浜東北(けいひんとうほく)の209運転してる時にわざとマスコンとブレーキを入りきりしてると時折おっさんが出てくるじゃん。」

「う・・・まさか。」

高槻(たかつき)にはこれが読めたらしい。

「そのまさかだよ。209ロングシートだぜ。ふつう横だぞ。なのにそのおっさん前のめりになってんだぜ。おかしいだろ。いつクロスかセミクロになったんだよ。」

「プロフェでやると急ブレーキかけて止まるとおっさんが新聞突き破って「でやぁ、新聞(しんぶん)が」とかって言うけどさぁ、新しいの買えよって。」

「その前に俺の列車に乗るなっていいたいな。」

草津(くさつ)はそう言うとさらに続けた。

「そういうネタだったらクソガキのほうもいいね。「いただきまーす」って言ったすぐ後に非常入れて、「あっ、お弁当(べんとう)が」って言わせる。」

草津(くさつ)ひでぇ。」

「クソガキ黙らせるにはうってつけだぜ。」

 他にもいろんな話を聞いた。電車での中には駆け込み乗車や黄色い線の外側にいる乗客もあるらしい。その乗客の中に声の低い女が出るらしいが、はさまれたりするとさっきとは打って変わって、とても高い声で「キャー」と叫ぶそうだ。今度は新幹線。新幹線の乗客の中にサラリーマンが出てくるが「契約(けいやく)無事(ぶじ)()れました。これから帰ります」の後に「えっ。(なに)。もう一回(いっかい)()って」と何とも失礼な言葉を発する。プロフェッショナル2では停車駅になるとそれまで寝ていた人が目を覚まして、「あっ、降ります」・・・。途中からこの話に(もえ)木ノ本(きのもと)留萌(るもい)も加わり、とても賑やかになった。

「あと鶴見線(つるみせん)をやって芝浦(しばうら)とかから発車するときは「酔っ払(よっぱら)っちゃったよッ」とかって言ってるおっさんが次の新芝浦(しんしばうら)になると「(かあ)ちゃん、勘弁(かんべん)」って。たった一駅区間で何があったの。母ちゃん乗ってたのか。それとも母ちゃんに謝るための予行演習でもしてるのかって。土下座してまでやってんだぞ。」

草津(くさつ)もこの話をするには笑わずにはいられないようだ。笑いをこらえながら言っている。

「あるあるそれ。」

「あっ。さっきのサラリーマンネタで思い出したけど、これもあった。「もしもし。・・・あれ」って。」

「あっ。それもある。」

「さっきので「契約(けいやく)無事(ぶじ)()れましただろ」。次が「えっ、(なに)。もう一回(いっかい)()って」で上司に電話切られたんじゃね。」

平百合(ひらゆり)が笑いながらも分析する。

「電話切られた。あり得る。」

「そりゃ「えっ、(なに)。もう一回(いっかい)()って」だからなぁ。上司に向かってタメ口はダメだから・・・。もし後輩だったとしても「話聞いてなかったんですか」って話になって場合によっては切られるかもよ。」

長万部(おしゃまんべ)が別のパターンで分析する。

「いや、もしかしたら、子供監禁されて、犯人からの電話で。」

僕がそう言うと、

「落ち着いてるなぁ。スーツ着て、「もしもし・・・あれ」。落ち着きすぎだろ。」

「落ち着いてるっていうより、その人にとって子供ってかわいくないんじゃない。」

留萌(るもい)が続けた。

「うわっ。それ終わってる。」

「・・・はぁ。ヤバい。いろんな意味でヤバい。」

「電車でGO(ゴー)!ってある意味神ゲーだよなぁ。ふつうのゲームであそこまでツッコミ飛ばせるゲーム他にないぞ。」

「神は神でもツッコミ飛ばせるって意味の神ゲーかぁ。言えてる・・・。」

この話で2時間も笑いとおした。

 教室に行くとさっきのことが内山(うちやま)には気になっていたらしい。

「ねぇ、孝史(たかし)。さっき結構盛り上がってたけど何の話で盛り上がってたの。」

「あっ・・・なぁ。(れい)それ思い出させないで。ヤバい。笑えてくる。」

「・・・。」

「電車でGO(ゴー)!の話。あれ結構笑えるから。」

「たかがゲームでこんなに笑えるわけ。孝史(たかし)たちの神経おかしくない。」

「いや、おかしくないって。あれ笑えない人いない。ねぇ、ねぇ。永島(ながしま)。新幹線でブレーキかけ過ぎで止まった時の外人のあれ・・・。」

平百合(ひらゆり)は笑えながら言う。

「ああ。・・・「ノー」。」

「ク。ハハハ。ウケるー。ヤバい腹いてぇ・・・。」

内山(うちやま)は唖然とした表情で僕たちを見ていた。確かに、知らない人が見たら何にそんなに受けているんだと思うだろう。しかし、あれほど物理を無視したゲームも他に類を見ないと思う。そういう意味では鉄道ファンならではのツッコミが飛ばせる神ゲーだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ