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思うがままのネタ文です。どうなるかは作者にも分からない。とりあえず自重はしない予定。
―!―……れ!
ん?あれ?ここどこだ?
気が付けば夢からさめたばかりのような酩酊感が、身体中をおおっていた。
※※※※
異世界でメインキャスト入りしたそうです。
※※※※
あれ、俺ねてたっけ。というか、いつの間に家に帰ったんだっけ。ん―、と。そ、いやあれは……。
……あれ?れ?れ?クエスチョンマークをいくつもとばしながらも、少しの疑問も違和感も毒沼に浮かぶ泡のように闇に溶けていく。
……あ―と。そうだ。―で、それでだな……??
確かに何かおかしいと感じているのに、その疑問は数秒もたてば自ずと消えてしまうのだ。それに対しては特に疑問すら浮かばない。残るのはあいまいな意識がただようだけ。
ここで何をいっているか分からないと思うが……とやってもいいのだが、彼の今の状況はまぎれもなくその通りでしかない。彼の感じていることが全てでしかなかった。
よく分からない、それが今の彼の遭遇している状況だった。
その遭遇していることといえば。
思考することが出来ない。身体を動かすことが出来ない。
湧いては弾ける泡のように考えは巡れども、ただただ霧の中にいる彼に出来るのは、この状態を破る誰かを待つことくらい。
そしていつしか、彼をそのままに残したまま、時は流れていた…
※
※
た い く つだ……て、あれ?また思考がループしてるぞ。さっきまでこうなる前のことを考えてたのに。最近だめだな、覚えがわるくって。
あぁ……それで、だ。こうなる前は確か、風呂入って…学校行って、いって……どうしたんだっけ??
それで、今は、どうしたんだっけ……??
それで……?
その曖昧模糊な生殺し状態は、想像以上に身体の体力を奪っていた。時間が永遠のように感じられる空間のなか、いつしか彼は意味のない疑問も何もかも捨ててしまっていた。だって考えることができないのならするだけ疲れるし。
いつしか、それがさっきなのか何年も経っているからなのかは分からないが、だんだんとこの感覚に慣れ始めてしまっていた。
この事態はきっと、彼をこの状況においやった者も誤算だった。普段どおりなら防げた事故。決して起こる要素などないいつも通りの作業。
原因はきっと、生物の核たる魂を扱う崇高な彼らの慣れからくるぞんざいさだった。そうでなければこんなことにはなりえない。
あまりに凡百な魂だったから。これがきっと彼らの油断の理由。
しかし、ことの起こりはどうであれ、事態は確実にだがゆっくりと、進んでいた。
かなりのぞんざいさで扱われた魂は、いまや彼らがその稀少さから保護対象にしなければならないほどの変化を起こしていた。
ゆっくりと。ゆっくりと。
時間にしてみれば一瞬にすぎないなかで。
その変移が移り次第、彼の魂は目を開く。そしてその時まで時間はもうない。
魂の目覚めの時は、もう間もなく。
※
※
あ―、なんだなんだ……なんだこの状況は。この、なんだ……え―と……?
あぁ、そうそう。この盛大に飲んだ翌朝みたいな感じは。今がどこかいつかも分かりゃしない。
……んん?でもこの気持ちわるいグラグラ感がずっと続いていることからすると、感覚がないわけでもないのか…
まぁとりあえず気持ちが良いとは決していえない状態だな。
上も下も分からない、ついでに自分がいま立っているのか横になっているかも分からない、宇宙で浮いているかのような浮遊感。
その異常さはなんとなく分かってはいたが、文字通りどうすることもできないのだからこうして何を考えるでもなく時間をつぶすしかないのだ。
あ――ひま。ひまだわこれもう。もうこの異常さよりは、退屈さが目がいく。
いや、目?……視界?なんて(感じとれ)ないけどね。それでも最近はなんだか騒がしい声がたまに聞こえるんだ。
たまにだけど。
《**ま、****お*え********!》
うん、そうそう今みたいな感じ。今みたいな……って、えぇっ!?
《*うし*さ*!****ら*!》
ギュュルルルルル!!!
※
※
彼をおおっていたもやは、あっという間に彼をとりまく風となった。
なんだこれ、暴風警報が。いやそれ以上。
そんな風に暴風に引っ張られ、飛ばされ、もみくちゃにされながらも、いつしか風は一本にまとまり、ダストからはじきだされるように彼はポンと生まれた。
あっけなさについていけなかったが、行き着いた場所は確かに彼のいた所だった。ただ、今までいたところに比べると、という注釈がつく。その西欧チックな街並みや人間たち、ついでに人間じゃない種族もいたが、それらは明らかに彼のいたところとは違っていた。
彼は今まで通りな感じで、ごく普通に目を開けた。
突然の展開に驚きながらも、だからこそか目の前の景色にはほんの少し息を呑んだだけだった。
目線の下に誰かが座りこんでいた。
金髪の、同年代か少し上ぐらいの。彼の後ろにはくたびれた服装の男女が同じようにかしずいている。
誰だろう。
「デイル様。こちらが彼のテュルンハウトの火山の火竜を倒したという勇者ですぞ。勇者殿、面を上げなされ」
いつの間にか後ろにいたひげがすご、銀色の髭が魅力的ないかにも貴族なおじさんが言った。
勇者?勇者って言ったよな今。そんでもって火竜とはなんぞ。
座りこんでいた青年が顔をあげた。
「お会いできて光栄でございます。私は今代の勇者。よろしくお見知りおきを」
突如出会った金髪美青年君は、世界を救う勇者でしたとさ。
まじでか。
ピロリーン!
《救世の勇者〈lv.48〉と出会いました》《救世の勇者とメインパーティに出会いました。『勇者の旅 -救国編-』に入ります》
何故かテロップが頭の中に流れた。何故だ。そして俺はどうしたんだ。
話は俺が返事をしなかったせいかいつの間にか流れていて、ちょうど王族の持つ代々の秘宝の剣について話が移っていた。
「その剣から生づる光は天をも貫くとか。不浄の我らが敵を影をちらすように滅し、何度振るおうと欠けることはない。それでいてその神秘の光は費えることないと。まさしく我らが母たる神の恵み。至高なる天宝、どうか私にお見せいただきたい」
勇者が頭を下げた。
えぇ――と。
どうやら今度こそ返答を期待されている。後ろのおっさんが過剰にわくわくしててうざい。
うん、何がどうなってるのかまったく分からない。でも、ま、今言うことは一つしかない。
とりあえずと俺は勇者を見下げ、こう言い捨てた。
「お前に だけ は絶対やだ!」
目の前の勇者は眉をピクリと動かし、後ろのおっさんが青ざめて叫んだ。
「お、王子―――!!?」




