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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になって溺愛されるのなら  作者: ヒガシヤマ・スバル
Crazy Little Thing Called Love-愛は欲望、欲望は人間の源-

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017 ようこそ、メイド・イン・ヘブン学園へ

 メイド・イン・ヘブン学園、通称、MIH学園。総生徒10000人を誇るマンモス校だ。校舎の数は20個以上。学費は1年で30000メニー、日本円にして300万円かかるという。また、人々は口々にこう語る。この学校は〝実力と陰謀の学園〟だと。

 

 そんなMIH学園の高等部校舎に、タクシーで向かう者がいた。長めの銀髪を結び、足を組みながらスマートフォンとにらめっこする、美しき幼女。ルーシ・レイノルズである。

 

(クールやポールがいれば、マフィア業でしくじることはないだろうが……やはり私、いや、おれは心配性だな)

 

 ルーシは、マフィアだ。イーストAsという街の一角を支配する、マフィアの首領である。そんな幼女が学校へ通う時点で、この異世界国家アンゲルスもおしまいかもしれない。

 

「到着しましたよ、お客さん」

「ええ、ありがとうございます」

 

 ルーシは100メニー札を3枚出し、タクシーから降りる。日本と違って自動ドアでないが、別に気になることもない。

 

(それにしても、宮殿みたいな学校だな。イギリスやフランス、イタリア、ドイツにロシア……それらの城を複合させてやがる)

 

 奇妙なデザインだが、実際その通りだ。アンゲルスが独立してから、まだ100年くらいしか経過していない。つまり、歴史がない。歴史がないのであれば、こうやって列強諸国のモノマネをするのもおかしくない。

 まあ、学校にその外装が必要かは疑問だが。

 

「さぁーて」

 

 後期入学組であり転生者でもあるルーシだが、存外知り合いはいる。別に鉢合わせて困ることもないものの、ひとまずタバコの時間だろう。ルーシは喫煙所を見つける。アンゲルスでは喫煙可能年齢が18歳だからだろう。

 とはいえ、この見た目で堂々と喫煙所に入るのも気が引ける。仕方なく、ルーシはひとけの少ない場所へ引き寄せられるように向かっていく。

 広い学校なので、ヒトのいない場所も多い。ルーシは学校の裏側で、タバコに火をつける。

 

(……、あぁ? メリット、だよな)

 

 ただ、先客がいたらしい。黒髪ショートヘアのメガネ娘、メリットだ。物憂げな表情で紫煙を撒き散らす姿は、まず近寄りたくない雰囲気を醸し出している。

 というわけで、ルーシは背中を向けてこちらに気がついていないメリットの肩を叩いてみる。

 

「よう」

「……ッッッ!!」

「なんでそんな驚くんだよ~」

 

 思わず吹き出しそうになった。驚くような真似をしたわけでもないのに。

 

「……、先生に見つかったら停学になるし」

「そんなしょっぱい理由が怖いなら、タバコなんてやめてしまえよ」

「ふん。この苦労、クソガキには分からないでしょ」

「クソガキだぁ?」

「ガキの癖にランクA公示されたアンタには、クソがお似合い」

「ランクA?」

「知らないの?」

 

 メリットはスマートフォンをルーシへ見せてくる。

 

「なんだ、これ」

「MIHのランクAたち。アンタと〝キャメル〟、〝ウィンストン〟と、〝ピアニー〟っていう一学年上。それに高等部1年生の〝ラーク〟ってヤツと、不登校の〝ホープ〟って子」

「だから、ランクAってなんだよ?」

「呆れた。クールさんからなにも聞いてないの?」

「こう見えても、私も父も結構忙しいんだよ」

「意味分かんない」

「で? ランクってなんだ?」

「平たく言うと、学園内での格付け。最低がランクDで、最高がS。私は二番目に低いランクCで、アンタは二番目に高いランクA。分かった?」

「一番じゃないのが気に入らないな」

「そりゃあ、クールさんとジョンさん以外にランクSへなったヒトはいないし」

「父は分かるが、ジョンって何者だよ?」

「クールさんのライバルで、セブン・スターズの切り込み隊長。ってか、アンタなにも知らな過ぎ」

 

 メリットは呆れているようだが、実際ルーシは転生者であり(しかも転生してからまだ数日しか経っていない)、知っているほうがおかしい話でもある。


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