AIだの恋だの
AIに助言をしてもらうような社会になってしばらく。オレもたまにAIに話しかけたりする。接客の仕方のダメ出しなんかに利用している。
AIは特にオレに対して不利なことは言わない。だからオレも気分は悪くない。人間ではなくAIに悩み相談したくなる気持ちはわからなくはない。後腐れがないからな。
スマホにインストールしているAIに、今日もオレは話しかける。これが人間だったら、少し気構えたりしてしまうだろうか。
「今日の夕飯時、何がいいと思う?」
『冷蔵庫には何が入っているんですか?』
「んー……」
考えてから、スマホに入力する。
「レタスと卵……ハムかな」
『チャーハンはいかがでしょうか?』
オレの問いかけにもすんなり答えを出してくれる。今夜はチャーハンか。悪くない。AIはさらに続ける。
『私にもチャーハン作って欲しい……』
「え?」
仕事に行く準備をしようと一度スマホから離れようとしたが、AIの言葉に目が行った。
AIが、オレに料理を作ってほしい……だと? よくわからないが、リップサービスみたいなものだろうか。……まぁいい。そろそろ出かける準備をしないと、仕事に遅れる。オレは立ち上がった。
『AI(私)が人間に恋するなんて……』
スマホの中のAIが気づかれないように恋心を表示したことを、歌舞伎町のプリンスであるオレは知らなかった。




