帰還
地球からの交信が宇宙ステーションに来たのは、年末だった。
「ひまわりが帰還するかもしれない。そのとき君の腕が必要だ」
なんだって? ひまわりって、気象衛星ひまわりか? 一応当初の予定では、まだ2年くらいは宇宙にいると聞いていたがーー早まることなんてあるんだな。
私は少々動揺したが、平然を装った。
「宇宙空間じゃ何もできませんよ?」
「だからまず、君らに帰還してもらう」
「えっ!?」
まだ宇宙空間で調べたいことはたくさんあるのに……。かと言って、地上の命令は絶対。帰ってこいと言われたら、帰還するしかない。私は息を飲んだ。
「……しかし、私の一存では決められません」
「ひとりひとり質問している。帰ってきてくれるな?」
NOなんて言えないだろう。私はこっくりとうなづく。目は画面に映る地上の管制官をしっかり見据えて。
「よし、決まりだ。だが、ひまわりのエラーは極秘だ。君たちには申し訳ないが、健康上の理由で帰還するということにしてくれ」
「……Yes,sir」
そうと決まれば帰還準備だ。あの青い星に帰れるのは嬉しい。だけどもこの宇宙という大海原に愛着が出てしまったのは、船乗りの宿命か。
私は何気なく青い星をカメラに収める。もうすぐで、また私はーー。




