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天才故に
僕は孤独だ。孤独だと思っていた。人よりも神経過敏で、情報を多く受け取ってしまう……これは病気なのか特性なのかはわからないけど。
受験前に買ったカセットテープ。BPMだけを聞いての受験。なんだかんだで僕と常に一緒にいてくれたのは音楽だった。
人は僕のことを『天才』と呼ぶ。だけど天才という言葉に括られると、「お前は俺たちと違う」と壁を作られてしまった気がするんだ。
「よう、今日は何しに来た。研究か?」
大学のゼミの教授。今日は女子に囲まれていないので余裕があるのか、へらへらと手を振ってくる。一応教授には言っておくか。
「教授、僕……ギフテッドというやつなんです。念のため言っておこうかと思って」
「いわゆる天才か。だからなんだ?」
「へ?」
「天才だろうがなんだろうが、ゼミで一緒に研究するのは変わらん」
「はぁ……」
僕は少し頬が緩んだ。「天才だろうがなんだろうが」。そうか、僕も仲間なんだ。そう受け取ってもいいよね?
これからの研究が楽しみだ、なんて、僕はちょっとだけ前向きになれた。




