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暗号
就活に困ったある日のこと。
汐留より先にある科学館に足を運んだ。こんな場所に仕事などないだろう。就活は全くうまく行ってない。全社お祈りメールだ。今日のオフで少しは気分も切り替わればいいのだが。
でっかい星座が映る部屋を抜けて、ノーベル賞を獲ったという偉人たちのひと言コーナーへと移動する。
ーー偉人、か。自分とは全然違うな。ノーベル賞をもらえるような天才と、自分。でもその立場の差が今は癒しだ。到底かないっこない、手の届かない存在というのもある意味必要だ。だって、夢は叶わないから夢なのであって。
そんな風にひと言コーナーを眺めて数分。ある方の言葉の前で足が止まる。
「なんじゃこりゃ」
思わず声が出る。
全部、暗号だと……? ひと言コーナーなのに、読めやしない。これもある意味天才のくれたサービス?
今は就職活動中。だけど、その暗号に自分の心が躍っているのは間違いじゃない。




