RSA
僕と妹には秘密がある。陰陽師の家系ということだけではない。今、僕は大学教授、妹は妹でのんびり暮らしているが、それ以前の待遇はひどいものだった。僕らの力を怖がった一部の人々が、僕らを見世物や実験動物のように扱っていたのだ。今でこそ衣食住はしっかりしているのだが、それまでは生存権すら認めてもらっていなかったようだ。
未だに僕は思い出す。白い部屋に閉じ込められていたときのことをーー。
「えっ? ひまわりが帰還……いや、落下するって?」
大学の研究室の電話に出ると、そんな話が舞い込んで来た。まぁなんだかんだでもう約10年は宇宙空間にいるもんな。なんて、のんきに考えている場合じゃない。ーーとうとう『あの暗号』を解く日が来たのだ。
僕と妹の持っている秘密ーーそれはふたりの持っている『数字』だった。僕らにはある数字が付けられているのだ。
ノートを取り出すと、その数字を書き出す。僕と妹、そしてもうひとつの数……。これがいわゆるRSA暗号になっているのだ。
数字とにらめっこして約1時間。僕らの秘密の暗号は、あっさり解けた。しかしこの解をどこに使うのだ? 悩んだ僕は妹に電話した。
「ふうん、その暗号なら、ずいぶん前に私も解いた。部屋の壁に書いて怒られたっけな」
「僕の解は、ひまわりの部品についてだ」
「私の答えは多分、座標のことかもしれん」
やっぱり僕らはずっと双子なのか。妹によると、監禁されたときに書いたものらしい。つまり病室の壁を見れば何かわかるかも? ということだ。
「兄者は絵を描いてたんだっけ?」
「まぁね」
「それなら私たち双子の解は決まっているようなものだろう?」
「お前は相変わらずだな」
Q.E.D
『今の日本じゃ協力できない』




