ホークライン
本日は雨也。しかも暴風を伴い、外に出るには少々危険だ。そんな中でも私は通勤。なに、私だけではない。勤め人は誰もが定刻通りに外出するし、子どもらだって学校に行っている。私は防水性のリュックサックに書類と、早朝に作ったサンドイッチを詰めると、今日も外出する。
バスはどうやらないらしい。……いや、あるのだが、雨の日だと混雑して、人数制限から乗れないこともあるのだ。
ふむ。仕方ないがこの土砂降りと風雨の中歩くとするか。最寄りの駅まで1kmくらい。風で傘がひっくり返りそうだ。ジーパンの裾が濡れる。あいにく紐靴。レインブーツだと靴擦れしてしまうから。
歩いている途中、風の向きが変わった。どうやらこの状況じゃ、貨物列車に遅れが出るかもしれないな。貨物列車の架線は、確か海沿いを走る。風があるということは、海がしける。波と風が戦そよぐならば、架線に影響が出てしまうだろう。
バス停を過ぎ、駅の方向へ人々が吸い込まれていく。通勤ラッシュも今や過去のもの。フレックスタイムが主流になりつつあるし、いの一番に出勤する私が今や化石状態。……というか、こんな台風接近中に出かけるのも野暮だが、こういうときだからこそ司令塔がいなくてはいけない。
私は駅に着くなり、懐中時計と電光掲示板に表示されている電車の時間を確認し、改札員に告げた。
「今日は風が出ていますね」
「……確認します」
これだけで通じる。それが私たちの実力である。




