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それでも地球はまわってる  作者: 浅野エミイ


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電車散歩

「おばあちゃん、あれなぁに?」


 孫の手を引き、今日も電車に乗る。というのも、娘も婿も仕事なのだ。時間があるのは私だけ……そんな理由で春休みの孫の世話をしているのだが、子どもというのは好奇心旺盛だ。何にでも興味を持つ。


 今日は孫も暇を持て余していたので、数駅先のショッピングモールへと遊びに行こうということになった。私自体、正直なところ子どもの扱いは慣れていない。世間一般の老人の孫の扱いというのは、かわいいかわいいとお金をいくらでも出しているだけ……という印象かもしれないが、今は共働きの時代だ。誰かが子どもを見ていなくてはいけない。そんなわけで、のんびりした時間を過ごしていた私に白羽の矢が立ったのだ。


 孫が何かに興味を持った。孫の指さした方向には、ライト。よく見たらその上に小さい箱のようなものが乗っている。私は答えに窮した。普段何気なく使っているけども、鉄道のことには全然詳しくないのだ。


「なんだろうねぇ」


 そう答えるしかなく、とぼけたふりをする。実際に何か私にもわからないのだ。


「何だと思う?」


 私は逆に子どもへ質問してみた。子どもはなんと答えるのだろうか? 私にもわからないのだから、子どもの想像力に期待してみよう。そんな考えが咄嗟に浮かんだのかもしれないけども、それは無意識のことだ。


「えっとぉ……わからない!」


「おばあちゃんもだよ。もし気になることがあったら、自分で調べてみてごらん」


「じゃあスマホ貸して!」


「スマホに頼らないでやってみたらどうかな」


「……スマホを使わないで調べるってどうするの?」


「図書館で本を読んだり、辞書を引いたり、自分で考えてみたり、人に聞いて回ったりするんだよ」


「へぇ〜、面倒! AIに聞けばいいじゃん!」


「世の中は人の苦労と面倒なことの積み重ねでできているんだよ」


 呑気に答えると、子どもは黙ってしまった。


 便利すぎる世の中だ。だけども少し面倒なことにチャレンジするというのも、子どもにとってはいいことなのかもしれない。


『まもなく電車が参ります』


 ーー電車が到着する。


 今日はよく遊んだな。家に帰ったらおやつでも食べようか。


 娘や婿の育児方針はわからないけども、私は私なりに、のんびりと余裕を持って生きていきたいものだ。それが難しい世の中になるのは、少しだけ寂しい。

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