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それでも地球はまわってる  作者: 浅野エミイ


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きくらげ

 親がサラリーマンだったため、兄貴も大概自分の血筋に興味がない。これは私が言霊使いとしての自覚を持つ前の話である。


 私は引きこもりだ。特段引きこもりになった理由はない。だが引きこもりだ。とは言え、家事くらいは手伝っている。いい感じに言えば、『家事手伝い』と名乗ってもいいのだが……それでは世間体への面子が立たないことくらいはわかっていた。そんなある日。


 母親が乾燥きくらげを買ってきた。小旅行で買ってきたお土産だ。きくらげは大好物だ。給食で出た料理の中できくらげが使われていて、それからずっと好きだ。好物がきくらげというのも変わっているだろうか。それでも好物は好物だ。


 母親に戻し方を聞くと、私はそれで卵炒めを作った。きくらげの歯ごたえがたまらない。卵との相性も抜群だ。博多豚骨ラーメンに入っているきくらげも好きだが、この卵炒めもうまい。あまりのおいしさから、私はネットの投稿にこう書いた。『きくらげうめぇ』と。


 そしたらどうだ。都心の繁華街にきくらげが大量発生したというニュースが流れ始めたではないか。まぁ偶然だろう。そう高を括っていたのだが、数日後道端である人物と遭遇した。


「君、陰陽師の血筋なんだって?」


 Rabbitと名乗る人物は、私の家を知っている。通りがかりにそんなことを言われて、どきりとした。この中二病っぽい血脈のことがわかる人物はこの日本には数人しかいない。私の家族、陰陽師を頼ってきていた昔の人間たちくらいだ。しかし、陰陽師を頼るなんてことは今の日本では少なくなってきている。実際兄貴だって科学の道へと進んだわけだし。


「君の力を貸してほしい。これは地球を守るためだ。ご親戚と政府の許可は取ってある」


 ちょっと待て。政府の許可ってなんだ。怪しい人物に睨みを効かせていると、後ろから屈強な男が出てきた。


「彼が今日から君のお付きだ」


「よろしくお願いします、お嬢」


「お嬢!?」


 変な声が出た。Rabbitが言うには、これから彼が専属の執事になるらしい。執事って……陰陽師ってそんな家柄なのか!? 正直血筋のことはなんとなく知ってはいたが、陰陽師という仕事についてはよくわかっていないし、多分親もわかっていないと思う。そんな私の状況を理解した様子のRabbitは笑った。


「まぁお父さんには会社のほうから君に執事がつくことは伝わると思う。ともかく、これからその『言霊』を地球防衛のために使ってほしい。そうでなければ『きくらげ女』としてネットで炎上させる」


 この怪しげな糸目め……! ネットで炎上だと? いい加減に……。


「Rabbit、そこまでだ。お嬢は混乱している」


「それもそうだねぇ、おいおい彼の方から仕事の話は聞いてくれる? じゃーそういうことで!」


「……」


 そう言ってRabbitが去っていくと、執事と紹介された彼と残されてしまった。これから私はどうなるのだろうか。得体のしれない『地球防衛』とやらという仕事。よくわからないが……わかったことがひとつ。


『地球、ヤバいのか』


 口には出さなかった。なぜなら自分の言葉には言霊が宿っているからだ。



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