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それでも地球はまわってる  作者: 浅野エミイ


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通行人A

 宝くじに当たる確率は、交通事故に合う確率より低いらしい。職場のおっちゃんがそんなことを言ってたっけなぁ……。私はふと思い出した。


 私は多分、いわゆるモブキャラというやつだと思う。よく芸能人とかは「自分は主役だ!」と言っているし、街の広告でも「誰もが人生の主役だーー」みたいなキャッチコピーが踊っているが、多様性の時代だからだろうか。誰もが主役だったら、正直その数だけ物語があるはずなのだ。なのに実際はそうではなさそうということに、私も含め周りは薄々気づいている。


 主役になれる人は、何かしらの運を持っている人。よくも悪くも。よい運ならいいが、正直言って悪運が強いだけなら周りの顰蹙を買うだろう。それなら目立たずに生きたほうが人生案外気楽に生きられる。それは女子校だった私の経験談だ。


 学生時代の私は、女子のカースト制度の下の部類にいた。地味で目立たないタイプ。成績も親に怒られない程度。でも案外この位置というのは面倒くさい争いがない。上を目指そうとすれば足を引っ張られ、下に行かないようにと蹴落とされる。だったら元から下にいて「はぁ〜天下取ってる人はすげぇなぁ〜」と見上げながら好きなことをやっているほうが楽しい……と斜に構えた生意気な人間だということは自負している。


 社会人になった今、そんな地味な人生が急に終わろうとしていた。なぜなら、『なんかヤバいのが落ちている』からだ。落ちている……というか、落下した形跡がある、と言ったほうが正しいのだろうか。少年漫画の一コマで、ヘタレライバルキャラがやられたような穴が地面に開いている。その中心にあるのは、小さい石だろうか? 


 もしかしてだけど、これって隕石なんじゃないか? ハッと思った。そうだ、多分隕石だ。隕石が落ちている確率なんて、宝くじに当たるより低いんじゃないか? 


 これ、どうしよう。警察に連絡する? いや、でもこれ拾得物じゃないし。事故はなかったが、一応地面に穴は開いているわけだし。長く地味な人生を歩んできたが、いよいよこれでその人生は終わりか……。これからは「隕石を見つけたラッキーな一般人」として生きていかなきゃ行けなくなるのか? っていうか、隕石見つけたら報酬でも出るの? お金の問題でもないけども、変に隕石が有名になったついでに、私の名前まで広まったら面倒くさいな。面倒くさいけど、地面が破損してるんだから行政に連絡するのは市民の義務だな……。


 結局義務を果たすところも、小市民故のことなんだろうなぁ。そんなことを思いながら、スマホを取り出す。


「あ、すみません。隕石みたいなのが落ちているんですけど……これって#9110じゃなくて、110ですか?」

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