表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それでも地球はまわってる  作者: 浅野エミイ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/54

大学の殿

「今年からいよいよ荒れそうだ……」


 大学内の教授や講師たちが頭を抱えている。そりゃそうだ。AIが普及してから、金持ちのボンボンどもが株を操作しつつAIを使って教授たちより「できるふり」をし始めたんだから。だけど、実際はどうだ。AIのデータは集合知の過去のもの。間違ったデータだって含まれている。そこに「完璧」というものはないし、ましてやこれからの「未知の学術研究」をするに当たっては、全く持って使えない代物なのだ。……AIが人間の仕事を奪う。その可能性は創作分野についてはなきにしもあらずなのだが、勉学・学問に介入できるかと言ったらそれは無理だ。何故なら人間は疑いを知る罪深い生き物なのだから。


 講師室でブランチのサンドイッチを食べると、僕は教室へ向かう。講義初日ということもあり、教室は満席。人気講義というわけではない。必修授業の後ろについている講義だから、単位修得には便利なのだろう。


 チャイムが鳴った。教壇に立つと、学生たちはスーツ姿の僕を見る。僕もそこそこ若いほうだが、学生たちはもっと若い。とは言え、年齢が近いから舐められないだろうかという心配はある。教室は広いのでマイクを持つと、僕は話し始めた。


「この講義は……あれ」


 マイクのスイッチが入っていなかったので、ボソボソとした聞き取りにくい声になってしまった。第一印象としては最悪だ。


「なんだ、チー牛じゃん」


「せんせぇ〜、出席してれば単位くれます〜?」


 生徒たちが声を上げる。クスクスという嘲笑も聞こえる。完全に舐められているなぁ……。


「今じゃAI使えばレポート課題とか楽勝なのに、出席する必要あるの?」


 後方の生徒は眠っているが、前方の生徒が優秀かと言ったらそうではなさそうだ。『AIを使えばレポートは楽』。そう言った男子生徒は、完全に人間を甘く見ている。僕はマイクのスイッチをオンにし直すと、男子生徒をメガネの奥から見据えた。


「君はノートパソコンとタブレットを使って授業を受けているね。それは何の意味があるの?」


「先生の言葉のエビデンスを取るんです。AIで予測した通りの授業をするかっていう」


「……へぇ、面白い」


 面白いので、僕はひとつ学生たちに挑戦をすることにした。いや、学生たちというより、AIに対して……になるのだろうか? まぁそんな細かいことは考えていないけども。


「では、今日からAIを使ったとわかった生徒から単位を落としていくことにします。つまり、僕の授業で独創性がないレポートを出した生徒は不可。ちなみにこれは採点する僕も大変になるから、一蓮托生だよ」


 教室がざわめく。これでいい。


 この時間のこの教室は、僕の城なんだから。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ