表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それでも地球はまわってる  作者: 浅野エミイ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/64

SHOW

「今夜は珍しく星が見えるーー」


 グリニッジ天文台がある近くの街に住んでいるしがないミュージシャン。それが僕の肩書だ。ミュージシャンと言っても、ほとんどそれだけでは収入が入らないので副業もしている。昨今の音楽業界は本当に不況だ。どうしてそうなったのかはわからないが、曲を作っても売れやしない。売れたとしても、子どもの小遣いにすらならないレベル。


 まぁ、もともと音楽と言うのは貴族がいてこそ成り立っていたものだし、庶民からミュージシャンになったのがおかしかったのかもしれないが……このご時世、貴族ですらアーティストに金が払えなくなったのかもしれないな。そう思っていないとやっていけない。


 副業ーーって、ミュージシャンのほうが副業かもしれないがーーを終えると、僕はアパートの一室に戻る。部屋の鍵を開けたそのとき、タブレットにメールが届いた。


『久々に曲を作ったんだけど、歌詞を書いてほしい。ついでに歌ってくれ』


 ついでにって何だよ。歌詞を書いたら、そりゃあ歌わないとダメだろう。誰が歌うって、結局僕だ。こっちが本職なのに、相方が曲を書いたのは5年ぶりくらい。……まったく、今まで何をしていたっていうんだ。曲も数撃ちゃ当たるマインドで、たくさん書かないと金にもなりゃしないっていうのに。


 ひとつため息をつくと、とりあえず部屋に入って紅茶をいれるための湯を沸かす。メールを見返して、相手の相変わらずさに笑みを浮かべると、僕は添付されていた曲のデータを開き、イヤホンをする。


 聞きながら返信する文章について考えていると、最後の一行に目が行った。


『これは宇宙一すごい曲だ! 星を動かすぞ!』


 星を動かすーーそのひと言が僕にはあまりにも魅力的で。小さくうなずくと、文字を打ち込む。


『宇宙一すごくて星を動かせるレベルの曲なら、時代も変えられるかもしれないね』


 湯の沸く音が聞こえる。いっそのこと、この曲で世界も沸かせられたらーーそんな思いを胸に秘め、僕は部屋にあるラジカセをオンにした。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ