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それでも地球はまわってる  作者: 浅野エミイ


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11/54

Fall

 ーー衛星が、落ちるらしい。


 衛星が……って、ぼーっと考えている場合じゃない。僕は研究室でまったりとコーヒーを飲んでいた。まぁ衛星が落ちてくるーーというか、正確には「地球に帰還する」という話は前から聞いていた。どうやらヨーロッパ方面の機関のものらしいが。その話は日本にいる末端の研究者である僕にも届くくらいにはニュースになっていた。


 無論、体裁としては「帰還」だが、実際は大気圏で燃え尽きる。なぁに問題はないだろう。衛星や隕石なんてしょっちゅう地球に突撃している。今回だって海外の機関がしっかり見張ってくれているだろうし、問題ないだろう。


 というのは、単なる人間の傲慢だった。


「博士! まずいですよ」


「何が? 論文の査読にミスでもあった?」


「そ、そうじゃなくて……フランスの宇宙開発機構から連絡があって……このままだと衛星が直撃するらしいです」


「ふうん、その話だったら聞いてるけど」


「博士が聞いているものと今の話題にはやや齟齬があります。なんでも落下地点と時間の計算にズレがあったらしくって」


「つまり……想定外の出来事が起きてる?」


「そういうことです」


「それで、僕にできることは?」


 マグカップのコーヒーを口にしながら、とりあえずスマホで公になっている衛星の情報を目にする。


「……博士にできることは、衛星の落下時間の計算です」


「なるほど。そんなことはする必要がない」


「え!? ちょっと待ってくださいよ! フランスの衛星だけど、地球を回っていてどこに落ちるかわからないんですよ? 日本に落ちてくる可能性だって……」


「計算方法は教えられるけども、僕にはそれができないからだ」


 計算しようと思えばすぐできるだろう。だけど、「僕たち」にはそれができない。何故なら衛星のデータをすべて把握していないからだ。


 計算方法は至って簡単。一、衛星がどのくらいの速さで地球を回っているかを割り出す。まぁこれは大まかにできているだろう。次に、衛星が地球に落下する角度と衛星の素材の摩擦係数の計算。この「衛星の素材」というのが問題だ。僕らには衛星が何でできているか、「すべて」を把握できないから、計算はできない。こんなことを知っているとしたらスパイくらいだろう。そして最後に衛星の速度と素材が大気の摩擦でどのくらい消耗するかを照らし合わせればわかるということだ。


「はぁ……まぁ確かに衛星の部品のひとつひとつまで何でできているかなんて僕らは知りようがないですからね」


「スパコンを使えばすぐに計算できるだろう。フランスにはそう伝えておいてくれ」


「は、はい!」


 ーー僕はまだ熱いコーヒーを再度口にする。ブラックが好きだが、胃のためにはミルクも入れたほうがよかったか。

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