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それでも地球はまわってる  作者: 浅野エミイ


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月の法律

 無理を言われた。


 朝起きて、インターフォンが鳴った。こんな無職の一人暮らしの家に何か用だろうか。離れている親からの仕送りかな。仕事も辞めてしまった。なんというか、もう自分には何もできることがない気がして。そんなときだった。


 来客は一人の外国人。スーツを着ていて一見ビジネスマン風だが、そこが怪しい。なぜなら僕は無職ニート。ビジネスマンに縁がないからである。宅配便などではなかった。


 居留守を使おうとしたが、時すでに遅し。インターフォンにびっくりした僕は、足の踏み場もない部屋で盛大にこけてしまったからだ。仕方なく扉を開ける。早急にお引き取り願おう。


「あの……どんなご用件ですか?」


「あなたに月の法律を作っていただきたくてお邪魔しました」


「はぁ?」


 外国人の男性は流暢な日本語を使った。だが、僕には理解がまったくできない。月の……何だって?


「何をおっしゃっているのか……」


「『月の法律』です。あなたに作っていただきたい」


 やっぱり何を言っているのかわからない。危ない人なのだろうか。


「多分どなたかと勘違いしているのでは……僕はしがない無職です」


「川口賢一さんですね」


「いや、まぁそうですけど」


「日本のオタクは賢いと聞きまして。ぜひ月の法律を作っていただきたい」


 オタクもピンキリである。一応法学部は出ているのだが、就活のために大学に入ったため勉強はさほどしてきていない。その就活ですら失敗しているのだが。


「日本はロボットアニメに詳しいでしょう。だからあなたに……」


「いや、ロボットアニメと僕は関係ないですよ。なんで僕なんですか」


「AIによる調査で、現在最も日本で暇な人間はあなただ! と出たものですから」


「AI当てになりませんね」


「でも暇そうだ。今は平日の昼。一般的には会社や学校にいる時間ですが?」


 それを言われたら答えに窮してしまう。いや、確かにニートで暇だけど。


「っていうか、月の法律を作るにも頭が良くないといけないでしょう。それにひとりで決められるものじゃないし、他国の法律にも精通していなければできないことですよ」


「……日本人は超能力を持っているから各国の法律に詳しいのでは?」


 何のデータだ、それは。AIの次は超能力と来たか。大体なんで超能力者だったら法律に詳しくなるんだ。意味がわからない。


「期限は一年。各国の法律が網羅されているタブレットをお渡しします。早急に願いたい」


「無理です」


「……なぜ? 名誉なことですよ」


「名誉だろうが、難しすぎます」


「とりあえず、あなたにお願いしたいのです。報酬は言い値で払いますよ」


 報酬とかそういう問題ではない。まず、そのタブレットに入っている『各国の法律』というのは何語で書かれているんだ。到底一年じゃ無理。しかもにわか法学士だ。せめて博士に頼んでいただきたい。


「それではこれから一年後、お会いしましょう。よろしくお願いします」


「えっ……?」


 男性は一礼するとタブレットを押し付けて立ち去ってしまった。僕はというと、靴すら履いていない。サンダルの上に足をおいただけなので、すぐに追いかけられない。


 いやはやなんとも変なことに巻き込まれたな。困った。


 男性の連絡先もわからない僕は、タブレットを手にして途方にくれた。


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