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ガラクタピエロと裸足の人魚姫  作者: 刺草イウ
第二章 『ガラクタピエロと猛毒赤ずきん』 
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第17話 同じシャンプーと悪い影響

 僕が住む地域の学生達の買い物といえば、一駅先にある県内最大のショッピングモールが定番だが、文化祭の準備品は近場のホームセンターで買うことになった。

 街の中でも比較的大きめのホームセンターだけあって、取り扱っている商品の種類も豊富、百円ショップも同じ敷地内にある。

 去年の分の備品も含めれば、文化祭の準備をするだけなら十二分に事足りるだろう。


「先輩、中々良い雰囲気だと思いませんか?」

「今のとこはな」


 本来部外者なのに、僕は文化祭実行委員の活動に快く参加させてもらえた。

 なんでも野上君が脚の定期検診に行かなければならないらしく、男手が一人足りていないそうだ。

 ホームセンター側と百円ショップ側、二手に分かれて必要な物を調達しているのだが、結城栞が付き纏ってきているのが現状だ。


「もう少し前向きな言い方があるんじゃないですか?」

「わかったからもう少し離れてくれって。遊んでると思われるだろ」

「先輩と違ってわたしは異性と遊び呆けたりしません」

「実行委員なら真面目に商品探せって言ってんの」


 仕事のことなどすっぱり忘れて、橋田と麻央の監視に夢中なのはどうなんだ。

 遠目から見た感じ、二人の雰囲気は全然悪くない。橋田は麻央がつまらなそうだと心配していたけど、帰られてない時点で普通に良い状態だ。


 任命された時や、活動初日は確かにヤバかったが、橋田の彼女としても、実行委員としてもなんら問題ない。半年後には高校生、麻央もちゃんと大人になってきていると素直に関心だ。

 ようやく自覚が芽生えてきたみたいで安心する。


「僕向こうで小道具探してくる」

「あ! 待ってください! 先輩の監視もわたしの役目なんです!」

「その前にクラスの代表だろ……」


 麻央よりこっちの方がよっぽど問題だ。これは後で美咲に報告して怒ってもらわなければ。

 場所を移動してもお構い無しに栞が付いてくるが、変につっこむとめんどくさそうなので気にしないことにする。


「姉さんと電話したんですね」

「そりゃしたけどさ」


 だからなんだというんだ。


「姉さんから頼まれたんですよ。先輩の友達ってどんな人なのか調べてほしいって」

「それ僕に喋っていいの?」

「……どうでしょう?」


 以前みたいな年齢に相応しくない刺々しさや、とっつきにくさは無くなったのはいいと思う。無理をしている感じも無くなった。

 その代償なのか知らないけど、この子少しポンコツ化してない?


「それで誰なんですか? 今日一日先輩のことを監視していましたが、とても友達がいるとは思えません」

「質問したいのなら余計なことを付け加えないでほしい」


 僕の性格に難があるような言い方はやめてほしい。


「先輩、学校楽しいですか?」

「質問が変わってるじゃないか!」


 憐れむような目を向けるのをやめなさい。


「陸上部の野上君だよ。実行委員なら結城さんも知ってるだろ?」

「ああ、あの背の高い人ですね」

「そうそう。どう? これで満足した?」


 膝を曲げ、低い位置に陳列されている商品を手に取る。


「橋田先輩と仲悪いらしいですけど、先輩どう思います?」


 僕としてはこれで終わりと打ち切ったつもりなんだけど、栞はスカートを畳んで隣に腰を下ろしてきた。ふわっと鼻に入る柑橘系の匂いが美咲を彷彿させ、同じシャンプーを使っているのを物語っている。


「誰にだって相性がいい相手、悪い相手くらいいるだろ」

「うーん……人間関係って難しいですね」

「そこは当人達の問題、僕たちが関わっていい領域じゃないだろ」

「うーん」


 栞が腑に落ちない顔持ちで首を傾げる。

 険悪だった美咲と栞の手助けをしたのは、二人の溝を作ったのが悪意に塗れた人間の害意から生まれたものだからだ。

 だから僕は自分のできる精一杯で悪者を演じ、二人に本音を打ち明けさせた。


 その結果、結城姉妹は仲良しこよしに戻れたけど、今回は事情が全然違う。

 橋田と野上君の仲が悪いの当人達の問題だし、麻央と橋田の仲は二人が進展させていくものだ。少し手助けはしたけど、あとは二人次第で僕が関与することじゃあない。

 

 実際に何日か前に麻央に釘を刺されているし、僕もそれに全面的に同意だ。


「でもうちのクラスの女子は、野上先輩が昔は小鳥遊先輩と付き合ってたとか、小鳥遊先輩が本当に好きなのは野上先輩って噂してましたよ?」

「噂は噂だろ」


 仮に本当に好きなのが野上君なら、どうして橋田と付き合うんだよ。意味わからん。


「そういえば先輩って小鳥遊先輩の幼馴染なんですね。驚きました」

「それも噂な」

「小鳥遊先輩から直接教えてもらったので間違いないです」

「あいつ……」


 後輩にまで言いふらすとは、よっぽど実行委員にされたのが気に食わなかったみたいだな。

 あの空気で回避させる方が難しいだろうに。自分で代わりの人を指名できなかったのが悪い。


「先輩と小鳥遊先輩が昔付き合ってたって話も出たんですけど、クラス全員違うって断言してました。もちろんわたしも」

「その情報いらないと思うんだけど」


 デタラメな噂を流されるよりか全然いいんだけど、僕の何かが傷つくからやめてほしい。


「それより本当に驚きですね」

「僕が麻央と幼馴染ってこと?」

「先輩に友達がいることです。わたし本当にどうしようかと心配でした」

「うざい責任の感じ方やめなさい」


 いちいち遠回しに失礼なこと言わないと気が済まないのかな。


「野上先輩のこと、大事にしてくださいね?」

「やかましい」


 こういうとこは美咲から悪い影響を受けてしまったんだろうなあ……。

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