表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

3. 食事の事情

約1,500字でお届けします。

 今日の食事はたんぱく質が多いな。


 私は今日のメニューの栄養値を見てそう思う。この感じだと植物性よりも、魚か、肉か、乳製品か。いずれにしても味付けは同じなのだから、代わり映えしないことは当然だが、自分好みの味付けということもあり、私はおおむね食事に満足している。


 出てきた料理は固形物だった。朝は消化しやすいようにスープやペースト状であることが多く、昼や夜はよく噛んで食べられるように主に固形物、ただし、夜だとゼリー状で出てくることもある。食感はどれも好きだ。この程度のバリエーションだと楽しみも増える。


「うん……やっぱ、この味、いいよな」


 AIが言うには少し前のことだが、別の人が「味付けのバリエーションが足りていないのではないか。もっといろいろな味を楽しめた方がいいのでは」と提言したらしい。その後、それがどうなったのか分からないし、それほどの興味もない。アンケートがきたわけでもないからその話は採用されなかったんじゃないかと思っている。


 そもそも、味付けを変えて、自分好みの味じゃなかったら、1食分、損した気分にならないのだろうか。以前、体調を崩した時、味覚が変わってしまったのか、いつもの味付けで楽しめなかったことがある。体調が悪かったこともあって、まさに最悪な日だった。


「ん……今日は動物だったか」


 たまに骨が粉々にしきれなくて、歯で噛むと分かる程度に残っていることがある。ただし、かなり柔らかくなっているので食べきれないことはない。


 むしろ、肉だと分かると少しだけ嬉しくなる。味付けは同じだが、肉はどうやら貴重らしくほとんど出てこない。おそらく、コストパフォーマンスが悪いのだろう。昔、食肉が多く流通していた時代というものがあったらしいが、今では何らかの理由で少なくなっているのではないか、と勝手に考えている。


「よく噛んで食べないとな」


 1日に食事で噛む回数が決まっており、それ以上の回数であれば、生活スコアが高いのだが、ちょっと数え間違えて噛む回数が減るとスコアががくっと落ちる。それを回避するために、規定回数よりもずっと多くの回数を噛むようにしている。


 ただし、回数が2倍であろうとスコアが倍になるわけではないので注意は必要だ。


「ふぅ……まあ、回数は問題ないだろうな」


 食事の時間が終われば、飲み物が出てくる。摂取する水分量も1日の中である程度の範囲が決まっており、飲み過ぎも飲まなさ過ぎもスコアの減点対象だ。だからこそ、食事後の水分補給には、注意がかなり必要である。


 なお、水分には味付けがほのかにある気がする。色味はない。無味無臭の無色透明。私が思うに、水のはずだが、AIに確認したことはない。水と言われても、逆に水じゃないと言われても、そもそもの判断基準がないからよく分からない。だから、聞いたところで意味がない。それに水じゃないから飲まない、ということにはならない。


 出てくる水分はこれだけだ。飲まなきゃ生きていけないからな。


「ごちそうさまでした」


 最後に歯磨きだ。これも大事だ。歯磨きの生活スコアもそうだが、丁寧に磨いておかないと、老いてしまった際に歯が抜けたりするらしい。そうなると、固形物を食べる際に難しくなるのは容易に想像がつく。


 健康的で生産性のある人生でないと長生きできないからな。


 何事も生活スコアを高めるようにしていれば問題ない。

お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ