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フルフたん参上

俺は今、物凄い敵(宿敵、永遠のライバル)と睨み合っている。

大きくなったシマエナガという鳥だ。


バチバチと視線でやり合っていた。


なんせこの鳥、俺の目の前で屋敷の女性を虜にしているのだ。


「もふもふー。」と言っているのはうたは。

「ふさふさー。」と言っているのはアヤノ。

「なんて触り心地なの!」と驚愕しているのがスミン。

見た目と共に完璧な触り心地。


俺の敵でないなら一体何なんだお前は!という状況だった。


キリっとどうや顔をしているのが、拳を握って許せなくなるのはなぜだろうか?


辺境伯家のマスコットとしてのこの敗北感、いやフルフにも負けている感があったけど、あれは美少女だから問題はない。だがコイツはダメだ!


俺達は睨み合っていて、いずれ必ずこの決着は付けると決めたのだ。


ひょこ、と背中から顔を出したのは銀白狼姿のフルフだった。


「こんばんはーお届け物です。」いや今は昼頃だと思わず突っ込みたくなる。

しかも配達員の格好が似合っている。

ボンという音と共に可憐な配達員の美少女が登場した。


「泣いて驚け、見て笑え、フルフたん、参上。」と言っている。

「がお。」お前いつの間に。


「ふっふっふっ。この白い毛並みで同化していたのです。」と自慢げだ。

「ちょうちょうミニサイズにだってなれるんですよ。」と自慢げだ。

「ぎゃお。」どうしてきたんだ。

「それはこの王都に美味しいものがあると聞いて!ノエノス様に休暇をもらいました!初、長期休暇です!寂しかったですかテト?お姉ちゃんが来たからにはもう安心ですよ。と頬ずりしてくる。」


「ちょっと待て!」とそこで待ったを掛けるスミンがいた。

「なんでしょうか?」とスリスリを見せつける。

「テト様は私とこれからデートに行くのです。邪魔は許しません。」


「へーそんな動物に浮気する女なんてテトにふさわしくありません。」

「がーん。」と項垂れるスミン。

「がーお。」あーあ言っちゃったよ。

「これからフルフお姉ちゃんと危険でデンジャラスな王都を楽しみましょう!」と気合を入れている。

「がおがお。」いや危険はまずいだろう。


「ということであのメイドはお払い箱です。」と断定してテトを連れ去るのだった。

「テト様!浮気、浮気じゃないです。モフモフの誘惑に勝てなかったんです!だからー戻って来てー。」と泣きながら訴えているスミン。


「うはははは。計画通り。」と顎にL字の手を当てて目を光らせて笑っているフルフ。

「がおお。」この子もいつの間にか腹黒く育ってしまった。恐らくシマエナガに乗ってきた所からこうなる展開を頭で描いていたのではと思ってしまう。

一体何処で教育を間違ってしまったのか。

途中からラミーナの所に足しげく通うようになったあたりだろうか。

くっそーあのからかうと面白い女のくせに。


「へっくち。」と辺境のどこかでくしゃみをしている多少ドジっ子なところがある美女。


なんでも謀略とか、策略とかそっちの面を重点的に学んでいたらしい。

今では4人目の子供みたいにラミーナに可愛がられている。


まぁ取り入るのが非常にうまい女狼なのだ。いや本当に狼か疑っていたが・・・


「ご飯の匂い、ご飯の匂い。おおー。」といつの間にか繁華街に出てきている。

狭い道に屋台の匂いがいっぱいしている。

これはもしかしたら大通りからはじき出されたスラム街の屋台・・・活気がある場所だった。


「おう、嬢ちゃん食べるかい。」とおっさんが声を掛ければ飛びつきムシャムシャ。

お金を払い忘れそうになるから、俺が投げて渡していたりする。


「まいどー。」と驚いていたりする。

「もぐもぐ。」と食べるのに夢中で口を頬張りながら会話らしい会話がない。

俺のポケットマネーこれ足りるか?いやお金はがっぽりダンジョンとかで稼いでるから大丈夫だと思うがな。


フルフを一人にするのも迷子になりそうで、いや匂いで帰って来れるのか?


「おおう。」と新しい屋台に目を輝かせ激辛に挑戦して口から火を吐いている狼。


「た、食べれないこともない。」と親指を立てて強気だ!

もう慣れた様に親指でコインを弾いて店主のおでこに当てるテト。

「ぐはぁー。」と言っているがゲテモノを食わせやがってという気持ちだ。

本当に辛さに目覚めたらどうする。

この前なんかこれ美味しいと進めてきたのがワサビ付けの肉だったんだぞ。

「食えるかー。」と思わず言ってしまったほどだ。

「食べてくれないの?」とうるうるした目で見られた俺は・・・燃やして灰にしたね。


「ガーン。」なにかショックな時に流れるBGMを口笛で吹いて演出するあたりがフルフだったりする。こう見えて全然へこたれてないのだ。

きっとお腹の中では次なら謀略を巡らせているだろう。食いしん坊なだけに。

もう一周しよう。と涎を垂らしながら言う。


「がおお。」今度は俺の分も頼む。

「えー私を置いて、王都に行っちゃったんだから、お預けです。」と二パーッとする。

「おい。」思わず声を出してしまう。

「あれれ、喋れたんですかー。」とほっぺを突いて意地悪な顔をするフルフ。

「がおお。」コイツー。


「そんなことよりも、なんか嫌な感じがしますね。」


路地裏にどっどとなだれ込んでくる兵隊たち。

なんだなんだと見ている繁華街の皆。


「お前たちは誰の許可でここで商いをしている。」

「そんな我々はちゃんと大通りで商いをしていたではないですか。それをこんな所に押し込んだのはお前等だろう。」

「ふん、第二王子様のありがたい言葉を伝える。しっかり営業許可証がない者は財産没収の上王都追放だ!」

「そんな横暴だ。」

「そうだ!そうだ!」と皆が言っている。


「これは上意である逆らうものは殺せ。」と兵士が剣を抜き乱闘が始まる。

「うわぁー。」と逃げ惑う人々、武器はないが調理道具で応戦する料理人。


しかし、兵士の武器にやりこめられている。


「ははは、どうだ。これでここいらのお金は俺達のもの。」そう言って腐った笑い方をする兵士たち、まるで盗賊だなこの国はやはり末期のようだ。いずれ終わるだろう。


「がお。」これはヤバイ逃げるか?と思っていたテト。別に暴れてもいいが、解決にもならないからな。

「ちょっとごめんね。」と屋台の台の上に俺を置く。


フルフがなんだかそこらへんに転がっている仮面を手にすると屋上まで飛び上がった。


仮面を装着するフルフ。

「そんなことはこのフルフタンマンがゆるしません。」賊たちに指を突き付けている。

ふふふと口元が笑っている。

「なに、そこから降りてこい相手になってやる。」


いや本名バレてるからな大丈夫か?と思っていたら、影で一人ずつ音もなくやっているらしい。


次の瞬間そこにはいないフルフ。

「なぁ。」


「美味しいご飯を取り上げる奴は敵だ!」と冷たい目で見て相手の足を攻撃する。

折って動けないようにしているというのが正しいのかもしれない。


「ぐぎゃ、あぎゃー。」という声が辺りを包み込む。

その叫び声に逃げようとしたものがいたが。


「何処に行く?」と冒険者ヘイロンが立ち塞がった。


「てめぇー10億の賞金首!ここであったら、その首置いていけ!」と攻撃を加えようとしたが・・・

「シャドウハンド。」影から出てきた手によって闇に引き摺りこまれた。


「ぐぅわー。」同僚が知らない魔法によって消えていくのを目の当たりにして逃げようとするが、ここは狭い路地の道。逃げ場なんて前か後ろにしかない。

前門の狼、後門の竜だった。


「さて料理の時間だ!」

「さて料理の時間だよ!」と二人の声が重なるあっという間に敵は殲滅された。


「正規兵の割りに弱かったな。」

「うーん雑魚?あとおねがーい。」と言ってまだ意識があるものにトドメを依頼するフルフ。


出てきた料理人や恨みを持っている通行人にボコボコにされる。

「うぎゃー。」

「あぎゃー。」

「おっかさん。」という声が聞こえる。


「なんで自分でトドメを刺さないんだ?」と俺はフルフに聞いた。

「だってその方が・・・ダメ押しになるでしょう。」と悪い顔をしている。


「絶対教育を間違ったな。」とラミーナに帰ったら抗議しようと思ったが、また無茶な依頼を格安でと言ってくるに違いなかった。俺は便利屋ではないのだ。

「はぁーそれでも抗議はするさ。」と一見無邪気そうな、これは計算している顔なんだけど、一応弟として姉の心配をするのだった。


「へっくしー。」とどこかの執務室でくしゃみをしている美女がいた。

「風邪かしら、王都の皆も元気でやってればいいけど・・・」そんな心配をする優しいお母さん。

「あっでもあの竜の子だけはやり過ぎていて恐いわー。」と執務室に届けられた紙が一枚落ちてそれを拾う。


そこには賞金首冒険者ヘイロン10億と書かれている。

「遅かったかー。」と頭を抱える。

「まぁなんとかやるでしょう。」


コンコン。

「はい何。」

「お母様、私も王都に!」

「ダメよ。」

「そこをなんとか!」

「ダメなものはダメ!ちゃんとクロエや皆の帰ってくる場所を守ってないとダメでしょう。」そう言うけれど顔を膨らませているノエノス。


「良いから仕事してきなさい。」と追い返す。

「お母様のケチー。」と最後に言って出て行った。

このやり取り一体何回目だっただろうか。


「これも必要なことよ。耐えなさいノエノス。結果的に私たちのためになることなんだから・・・。」とこれから起こるで悲劇を止めるのではなく見守る決断を下したラミーナも浮かない顔をしていた。


「時が止まれば良いのにね。」そんな言葉をぽつりと呟いていた。

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