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クロエを捕まえたのは・・・

「ルイネ外で見張っておいてくれ。」そう命令するのは第三王子のラネスラフタ・フォン・アケロ二アが命令している。


「わかった。」と気軽に応じるルイネ。


いつものように誰も入れないようにドアの前に立つ。

なんだか城が少し騒がしいような気がする。

「気のせい?」と警戒を強める。


トントンと肩を叩かれた。

しかし後ろにはドアしかないと思ったら、また後ろから肩を叩かれる。


振り向いても誰もいない。


「?」と思ったがすぐにこんなことをする相手が思い浮かぶ。

上を見れば答えがわかった。


「クロエ。」

「ばぁー。」と天井で逆さまになって手を広げていた。


スカートを履いているはずなのに逆さになっても全然めくれないのはなぜか聞いたことがあるが・・・

「そういうものでしょ。」と言っていた事が頭によぎる。


「もう最近おどろかないからルイネつまんない!」とぷんぷん文句を言いながら目の前に着地する。


「クロエ流石に王城に忍び込むのは・・・。」と注意する。

「えーでも、何かこうやりたいことがあって来たような?」と首を傾けている。

どうやらそのやりたいことを忘れてしまったようだ。


「クロエ、理由もなく王城に忍び込んではダメなんだぞ!今度ラミーナ様に言っておこうか。」と言えば。

「それだけはやめてー!」とグイっと迫ってくる。


「なら今日はあっち向いて帰りなさい。」と追い返そうとするルイネ。

「え~でもつまんなーい。」と駄々をこねる。まるで手のかかる妹だ。


「おい、いたか?」

「いやこっちにはいない。」

「まさか第三王子の方に行ったんじゃないのか?」

「あり得る向かってみよう。」バタバタという足音がこっちに向かってきている。


「うーん。」と悩んだ後。ピーンと閃くクロエ。

「ルイネ、ちょっと匿ってー。」とルイネの向こうのドアを開けようとする。


「待て待て、ダメだ。」焦って止めるルイネ。

おかしい、いつものルイネなら頼んだら大抵のことはOKしてくれるのにこの焦りよう何かとんでもないものを隠しているんじゃないだろうか?

「さては・・・なにかのお宝を独り占めしようとしているの?いけないんだー。」

「なっ違う。クロエ、そんなんじゃない。だけど今はダメなんだ。」

「えーいいじゃん入れてよ。」と押し問答をする。

「絶対にダメだ。しまった。」クロエはそんなこと言えば何が何でも入ろうとしてしまう。


フェイントを入れながらルイネを翻弄する。

気付けば沢山のクロエに囲まれていた。


汗がダラダラ出るルイネ。ここだけは死守しなければ・・・


「もしここを覗いたらクロエとは絶交するから・・・。」

「なんでそんなこと言うの!」と悲しそうな顔をする。

「それだけ大事な人がここにいるんだ。」

「そっか、じゃあ隣の部屋に入るね。」とあっさり受け入れたクロエだった。


「ああ。」と頷いたがそっちもそっちで第一王妃の部屋だったことを思い出す。

「ちょっと待って!」と止めたが遅かった。


「ごめんくださーい。」と言ってクロエは中に入ってしまった。

「後で怒られよう。」と頭を抱えるルイネだった。


そこに走ってくる姉のマユカが見える。

「やぁルイネ。」と止まって挨拶をしてくる。

「これは姉上。」と二人が視線でバチバチし出す。

例え姉妹でも第二王子派と第三王子派の派閥の敵なのだ。


それが一分ほどだっただろうかマユカが口を開く。

「こちらに少女が来なかったかい?」

「少女一体誰の事ですか?」と知らん振りする。きっとクロエの事だろう。

ルイネはポーカーフェイスは得意だけれども時と場合による。

今は政治の駆け引きの場、例え姉妹でもいや、姉妹だからこそ表情を崩すわけにもいかなかった。


「そうか来てないかー。邪魔したね。」

「ええ。」

「それとこれは忠告なんだけどー、速めに第三王子の側付きはやめた方がいいよー。」

「・・・。」

「ふふ、一応姉として可愛い妹の心配をしているんだ。姉上は残念だったけどね。」と安否がわからないコネタンのことを言う。

「まるで姉上が何かしたような。言い方ですね。」

「するでしょう普通。これは権力闘争なんだ。ああ、そうそう第一王妃の具合はどうかな?そろそろ亡くなる頃じゃない。」そんな言葉を聞いて流石に黙っていられないルイネはマユカの胸倉を掴んだ。


「お前が何かしたのか!」ルイネには珍しく怒声を発する。


「まさか!そんなことはしないよ。ただ風の噂でね。毒を何処からか盛られていたんじゃないかとね。ああ、そうそう確か姉の罪状は第一王妃の毒殺未遂だったかな。」


「姉上、謀ったな!」

「そこまでだ。ルイネ。」と止めに入るラネスラフタ。


「はっ。」と気付いて手を放す。


「大切な部下をあまり、からかわないでもらおうか。」

「ふふ、もう少し止めるのが遅かったら、傷害罪でしょっ引く所でしたよー。」と相変わらず人をからかっているというかそれがなぜかイケメンに風に聞こえて来るのが謎だ。


「私の側仕えを勝手にしょっ引くのはやめてくれ。」

「畏まりました。それでは私も忙しいので失礼させてもらいます。」まるで敵を見ている目で言う。

「ああ、ご苦労。」とこちらも睨み返していた。


そこに何をどう着ているのかめちゃくちゃに服を着ているルオンがやってくる。

「あの娘は何処だ?」と緊急をようするのか私たちの存在を気付いていないのか焦ってマユカに聞いている。

「ルオン様ここでは・・・。」とこちらの存在に気付いたのか、急に黙り込む。

「わかった。」と返事をして二人で去って行った。


どうしたんだろうかとルイネは疑問に思う。クロエ、またお前何かやらかしたのか?


「何かあったのか?」

「さぁー。」とすっとボケるルイネ。

「それより注意しろよ。」とさっきの件で咎められる。

「はい。」経験が足りない自覚はあったが実際そうなってしまうとはと、しょぼんと落ち込んだ。

「そんなことよりも母上の見舞いでござる?うんなんでこんな口調になっているでござる?」と首を傾ける。

「さぁー。」と言うしないルイネ。

「まぁよいでござる。」と母上第一王妃の元に向かおうとして、そう言えばそっちにクロエが入っていったことを思い出して焦るルイネ。


「ちょっと待ってください。」

「うん、なんでだ?さては着替え中か?そんなの気にしないはずでござるが・・・。」

たまにそば付きのメイドが着せ替えをしていた。

「あっいや。なんて言えばいいのか・・・。」と悩む。

「?」と思いながらもドアのノブを回した。

「ああ。」と言って頭を抱える。こんなルイネは見たことなくて新鮮だなとこの時は思った。


そこで部屋の中に入ると母上ラノカ・フォン・アケロ二アと目が合った。

「もうダメですよラネスちゃん。部屋に入る時はノックしないとね。」と可愛く首を傾ける。


「母上、病気はでござる?」

「病気?ござる?そう言えば治っているような。」と身体の腕を元気に振ってみる。

「うん、治ってる。」と元気をアピールしてくる。


「母上、母上ー。」と母の胸元で泣きじゃくる。

「よしよし。」と頭を撫でている。

一時はもうだめだと言われていたほどで、それがいつの間にか元気になっている。

そんな親子の光景にルイネももらい泣きしていた。


その一瞬の隙に逃げようとするクロエ。

それを逃がすまいと腕を伸ばして首根っこを捕まえるルイネ。


「ぐぇー。」

「逃がさないよ!」


「捕まえるとは、腕を上げたねールイネー。」

「時々ノエノス姉さまに鍛えてもらってるからね。」とドヤ顔だ。

そうルイネは時々ランドル辺境伯領に遊びに来ている。


「へぇーそうなんだ。あはははは。」

「あはははは。」と二人ひとしきり笑い合う。


「じゃあ。」と今度は本気で逃げようとするクロエを羽交い絞めにする。


「ルイネ?」

「なにかね?」

「私何もしてないよ。」と無害アピール。

「この状況でそれはないんじゃないかな?」

「ひゅーひゅーふぅーふぅー。」と下手な口笛を吹く振りをする。


「そうだ!召喚テト!」しかしテトは現れない。

「なんでぇー。助けてぇーテトぉー。」と叫び声が木霊したが助けは来なかった。

流石に三回は多かったかもしれない。


「隣の部屋で取り調べを始めようか。」恐い顔のルイネ。

「あーれー。」とか言って連れていかれるが、どこかまだ楽しげだった。


この部屋では笑顔の親子の語らいが再び始まっているのだった。

その光景を見てああ、助けて良かったんだなと少し思うクロエだった。

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