サンタコスの小竜
「うんん。」とベットで身体を捩って起きる。
目を擦りながら、柔らかいベットから起き出す。
「ここは・・・どこ?」と周りを見れば知らない部屋のベットで寝ている。
私は昨日、路地裏で刺されてそれで死んだはずと身体の怪我を見ると塞がっている。
かつての聖女だったころに比べ力が衰えてしまって治癒の魔法がうまく使えなくなっている。それでも塞がっている傷を二度見していた。
「?」と不思議に思う。
もしかしてここは天国と呼ばれる場所なのだろうか?
高価な姿見に映し出される自分の姿。
「誰?」と首を傾ける。幼い頃の私の姿が映し出されていた。
ガチャリという音がして誰かが入って来た。
そこにはメイド服を着ているスミンがいた。
「おおう、スミン。スミンが助けてくれたの?」
「?」と首を傾けて不審顔で見てくる。
まるで私を知っていないかのように・・・
「私、私。」
「私、私詐欺ですか?」と聞いてくる。
「違うよ。ビカーナ!」
「?ビカーナ様でしたらもう少し、いやかなり御年を召されていると思うのですが?」
失礼なスミンだなと思ったけど、そうだったそう言えば今の私は少女になっている。
まるで身体がタイムスリップしたみたいだ。
「だからぁー気付いたら若返っていたの。信じてぇー。」と懇願する。
うさん臭い目で見ているスミン。
しかし何か考え込む。
それが長い。
「信じてくれたの?」
「ちょっと待ってください。確認します。」
「確認?」と首を傾ける。
顔が問い詰める顔になっている。マジで真剣な目だ。
授業を受けていた時よりも真剣かもしれない。
いやちょと怒っているかもしれない。
「話しは大体わかりました。」と頷いている。
「つまり、先生は私の敵になったのですね!」
「なんでそうなるの!」とツッコミを入れている。もうわけがわからなかった。
スミンは問い詰めるようにテトに念話を送ってきたのだ。
〝テト様、私は怒っております。〟
〝な、何のことだ?〟とちょっと慌てている返事が帰ってきた。
〝ビカーナ様の事です。〟
〝ビカーナ?〟心当たりがないのか思い出そうとしている沈黙。
〝昨日、連れ込んだ女のことです。〟
〝連れ込んだ女なんていないぞ!確かお婆さんだったはずだが・・・〟
〝その人が今、少女になっているのですが・・・〟
〝はっ?知らん。〟と首を振っているのかもしれない。
〝守備範囲が広いのは、許しません!罰としてデート!デート!デートです!〟
〝なんだその念押しは、そもそも指名手配中の俺にデートなんてできるわけないだろう?〟
〝竜の姿なら可能でしょう。〟ほくそ笑むスミン。
〝げっ、気付かれてたのか。〟
〝もちろんです。私がちゃんとデート中抱っこして抱き締めて離しませんからね。絶対!〟
〝わかった。わかった。だがその少女のことは頼んだ。ではな、今日はちょっと用事があるからな。〟
〝また女ですか?何人いるんですか浮気相手は!〟
〝だから浮気はしてない!今、俺もうたはの妖刀ござるを探しているんだ。〟
〝今度はうたは様も毒牙に・・・〟
〝いい加減そのピンク脳から離れてくれ!〟と無理やり念話を切るテト。
「そう先生は私のダンナの浮気相手!例え先生でも許さない!」
「えっスミン結婚してたの?誰、どんな人?」と詰め寄ってくる。
「それは・・・。」とテト様のいい所を熱く語りだすスミンだった。
コネタンは必死に逃げ惑っていた。
どうしてこんな目に会っているのだろうかわからない。
第一王子が拉致された事で形勢が第二王子派に傾いてしまう。
それはいい、だが一瞬で第一王子派の派閥がなくなるほど手際がいい。
罪状をでっち上げたのか、元からあったのかわからない。
私もそんなに頭がいい方ではないから、考えることは全部部下に任せていた。
それがいけなかったのか?
何かの罪で捕まりそうになって一人逃げ出している。
昔から逃げ足だけは自信があったから、もう少し、もう少し逃げれたらと最後の希望にすがろうとある場所に向かっていた。
許してくれるかな。家族を裏切った私を父は、今は頼るしかないと走り続ける。
そんな私を追って来ているのか、サイのようなモンスターに乗って騎士たちが後ろから迫ってきている。
「ぐっ。」とモンスターの突進をもろに受けて転がるコネタン。
サイに乗っている騎士に槍を喉元に突き付けられる。
それでも精一杯睨み返す。
「王都を混乱に陥れた罪、コネタン・アケロ二ア。貴様が一番罪が重い。ここで処刑しろと言われているが、お前は女だ。俺達のペットとして暮らすなら生きることも許してやるぞ。」と周りの騎士たちが下品な笑顔を向けてくる。
「そんなのお断りだ!」断言した言葉。
「なら死ね!」と喉に突き刺そうと槍を動かす騎士。思わず目を閉じてしまう。
「ファイヤーボール。」
「あちち、あっち。」と槍を持っていた騎士がサイから落ち転げ回る。
燃えるはずのない鎧が蒼い炎で燃えている。
中々消えてくれないのか苦しそうにする騎士。
「貴様ぁー。」と騎士がそっちを見れば全身鎧、いや違うその上から何か変な服を着ている少年がいる。
「いや、まさか十億の賞金首ヘイロン。」
その言葉を聞いて思わず目を開いてしまう。
「お前のせいで!」と抗議をしてしまう。
「そんなことより、逃げなくていいのか?」
「はっ!」と言いたいことはあるけれど今は逃げる時。
騎士が乗っていたサイに騎乗してそれを駆る。
「礼は言わない。」
「ああ、美人を救うのに理由なんていらない。さぁ行け。」と騎士と冒険者ヘイロンの戦い、いや、蹂躙が始まった。
圧倒的な強さに騎士たちが全員ボコボコにされて行くのだった。
「このコスチューム、伸びたり縮んだりするんだな。」と感心してている。まぁこんな姿で戦闘をするのは少し気恥ずかしいが、現代人からしたらサンタが戦っているんだぞと頭を抱えそうになって、八つ当たり気味に騎士たちに当たり散らすのだった。
コネタンはそのまま逃げ切れると思ったが迂回してくる敵も引きつれて実家の元宰相、クオン・フォン・アケロ二ア邸に突っ込むのだった。
どん!という音がしてそちらに向かうマリーナ。
屋敷の壁に激突してサイの角が抜けなくなっている。その横では目を回して転がっている女がいる。
「誰だ?」と首を傾け近づく。気絶しているだけのようだ。怪我は多少あるが命に別状はないだろう。
サイに乗った騎士たちがこの屋敷に許可なく入って来てマリーナを取り囲んだ。
「そちらのお嬢さんをこちらに渡してもらおうか?」
なんだか悪人が言いそうなセリフにマリーナはピンときた。
悪い奴に追われてこの女はここに逃げて来たんじゃないだろうか?
そう思い至ったら行動は決まっている。
腕を組んで仁王立ちする。
「おい、ここはクオン・フォン・アケロ二アの邸宅だ。王族の屋敷に無断で入るなんてありえないよな。」
「なんだこいつ。」と何かを感じ取ったのか後ろに下がり始める騎士達。
「何やるの?」と脅してくる。
「年増の癖に偉そうに!」
「ああん、揉んであげよっか?」とぶち切れた彼女の後ろに大きな蛇の化け物が現れた。
「ぐぁーーーー。」と威圧の声を出すリヴァイアサン。
「ひぃー。」と言って逃げ出し始める騎士たち。
「なんだつまんない。」と言って目を回して転がっている女を連れてクオンの元へと向かった。
「追われていたから、蹴散らしたけど、良かったかな?」と聞く。
「まぁ良くはないが向こうに非があるだろう。それにその子はうちの娘のコネタンだ。」
「えー娘だったの?どうりでいや似てないな。」
「コネタンは母親似だからな。」
「ふーん。可愛い顔をしている。」とジロジロとコネタンを見て指でほっぺを突いている。
「じゃあ、その子の教育お願いできるかな?」
「ああ、前言っていた。矯正して欲しいってやつか。まぁやれるだけやるよ。お母さんだしな!」と言ってこの部屋を出て行こうとする。
「それよりこれ、戻しておいてね。目立ちすぎるから・・・。」と窓の外には未だリヴァイアサンがいた。
「召喚したまんまだった。あはは、ごめんね。」と慌てて部屋から出て、召喚元の海へと戻してやるのだった。
テトはサイに乗った騎士たちをある程度倒したのち、再び竜モードになって空をパタパタ飛び始める。
リヴァイアサンと目が合ったけど、まぁ前に戦った奴とはわからないだろう。
スミンが着せてくれたが、これはまた伸縮して身体にピッタリ。
王都ではサンタコスをした子竜が空を飛んでいたのだった。
子供たちは意外にそれを見つけてその話題でしばらく持ちきりだったという。
いや異世界にサンタなんているのか?辺境の地では聞かなかったが・・・今度聞いてみようと心に決めるテトだった。
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