メイドたちと出会い
「どうだこれ?完璧じゃないか?」
そんなことを言っている声が聞こえる。
目を開ければ服を着せられている竜(俺)がいたりする。
「いやでも、ちょっとやりすぎじゃない?もうちょっと可愛くできない?」
「あん俺のセンスがないって言っているのか?」
「この子はこのまんまが可愛いって言ってるんですよ!」
廊下で俺を確保した女とスミンが言い合っていた。
目の前の二人が喧嘩をしている。
そこの間であたふたしているミコミ。
「えっ、えっ、喧嘩はいけないよぉ。」となんだか可愛く首を傾けると。
「で、どっち?」
「どっちがいいと思う?」
二人に睨まれ縮こまるミコミ。
立場弱いなぁー。
「ど、どっちもかなぁぁ。」と指と指をツンツンしながら答える。
「「ミコミわかってないな!」」
「えーー。」と二人に囲まれ洋服の素晴らしさと共にこの子の可愛さを語っていたりする。
そう言っているのを横目に、鏡を見るとなんだか縞々の模様の服を着せられている。
どっかのスポーツのユニフォームだろうか?
首を傾ける。
「ぎゃお。」と声を出す。
擬態は完璧だ。
この屋敷の中では人畜無害なペットとしてやって行こう。
そう決めていた。
パチパチと手を叩く音がする。
「はいはいそこまで、ご飯を食べたらしっかり仕事をしてきなさいね。」
メイド長のフレイザがそんなことを言っていた。
「「「はーい。」」」と3人が返事をして向かっていく。
「この子はクロエお嬢様の所まで連れて行きましょう。近くにいないと心配させてしまうかもしれませんしね。」
そう言って俺を抱き上げて連れて行こうとする。
この人も鑑定をして見た。
フレイザ
職業 メイド兼、王家のスパイ
ああ、うん見なかったことにしようか。
なんだかまた汗がだらだら止まらなくなる。
ラドルガ家これ詰んでないか?
家に3人もスパイがいるぞ!いや一人はポンコツだけども、ちなみに遠くに見えたファンキーメイドを鑑定すると。
ポルル
メイド兼公爵家のスパイ兼用心棒。
うんわかってた。わかってたよ。
なんかこの家のメイド、スパイ率100%なんですけど!なんですけど!大丈夫なの?
まぁなんとかなるかぁぁと竜の俺にはあまり関係なさそうだった。
「ふぁあああ。」と欠伸をする。
「クロエお嬢様は1年前から体調を崩されて、ベットでの生活を余儀なくされております。」
それを聞いて不思議な顔をする。
「いまだに病名をはっきりせず、いつ亡くなってもおかしくなかったりするのです。」
悲しそうな顔で言う。
「どうにか元気になってもらいたいですが・・・。」と首を振る。
「いや、私は何を言っているのでしょうか?でも竜の子の貴方に言ってもわからないだろうけど彼女のことをよろしくお願いしますね。」
いい奴やースパイだけど・・・みたいに思ってしまう。
コンコンとドアを叩き。
「失礼します。お嬢様。」
「はい。」と答える声が聞こえる。
「?」と思ったがドアノブに手をかけ回す。
ドアを開ければ多少元気になっているクロエお嬢様がいた。
「お嬢様、今日は体調がよろしいのですか?」
思わず鑑定を使ってしまった。
状態はレベルが20になっており呪いのままだが、ステータスも若干伸びていたりしている。
身体の調子がいいのはその影響だろうか。
ちょっと身体がふらふらしていたりする。
レベルが上がり過ぎて、身体の扱いに慣れていなかったりしているようだ。
自分も身体の変化を感じている。レベルも25になっていたりする。
竜の自分とクロエとでは若干レベルの上がりに差があるのだろう。
必要経験値の差だろうか?
まぁ今はいいか。
俺をクロエに渡し。
ぐぅぅぅーという音が辺りを支配した。
恥ずかしそうな顔をする。
俺は聞いていない振りをしておこう。
「食べられるかわからないですが、お食事を後でお運びいたします。」
「あっ、ありがとう。」
フレイザが言って、なんだか態度がよそよそしく答える。
恥ずかしいのだろうか?
その態度に首を傾けるが、ちょっとぐたぁーとしておこう。
自由人かと思ったが、今は竜だからいいかと思ったりする。
犬のような生体かと思ったが、どちらかと言うと猫型なのだろうか?
うむよくわからない。
フレイザが頭を下げて出ていく。
クロエが俺の頭を撫でながら聞いてくる。
「なんだか夢の中で戦っていて、お姉さまがピンチになっていたような気がするけど、一体何だったのかな?」と疑問に思ったりしている。
どうやら、昨夜の出来事は夢の出来事のように思っているようだ。
ぐてぇーとなりながらそんな声を聞いていた。
「とりあえず、その似合ってない服脱ごうか?」
「ぎゃお。」
ポルルが着せた服を脱がせて、畳んで置いていた。
うん、俺も似合ってなかったかなと思っていた。
ミコミとポルルの感性を疑った。
それからスミンが朝ご飯を運んでくるまで撫でられていた。
ベットの上に病院用の机が置かれその上に食器が置かれる。
食事をクロエはなんだかバクバク食べている。
「・・・おかわり。」申し訳ないように言うクロエ。
その言葉に驚くスミン。
「ほ、本当におかわりですか?」
今まで食べても小食で残したりしていたのに、おかわりを要求するなんて、おかしいと訝しめな顔をする。
しかし言われたことを
身体を動かしていないのに、身体がエネルギーを消費しているようにバクバク食べていた。
部屋を出ていくスミン。
クロエの顔は申し訳ない顔をしている。
もしかしたら病弱で足手まといになっているように思っているのかもしれない。
「スミン本当か!クロエがおかわりを要求するなんて!」
「はい、ライズ様。確かに聞きました。」
バンといきなりドアが開く。
ノックなんてしないで、なんて無礼な奴だろうか。
そう思う。
「おおう、妹よ元気になったのか!」
なんだか涙ながらに心配している男が入ってくる。
「えーと、お兄様。」と困った顔をしている。
その言葉を聞いてなんだか悶えている。不審者か?
しかし、その視線がクロエが撫でている俺に向けられると。
嫉妬の視線が向けられる。
「ぐるるるる。」なんだか威嚇するように、お前は敵だと言っていたりする。
「なっ、なんだその生き物は!」と指を笹いて抗議の声を漏らす。
「えっ、えーと。」となんて説明したらいいかわからない。
「先日からクロエ様がテイムなされたモンスターです。」側で控えるスミンが答える。
「テトだよ。」と俺を持ち上げて答えるクロエ。
「おっお前わぁぁぁ、私のポジションを奪うんじゃない!」
そんなことを抗議するがそんなことを言われてもな、という顔をするしかなかった。
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