スミンの部屋は・・・
辺境伯邸は二階建てのそこまで広くはない、夜中ということもあって火の明かりが所々に灯っていた。
廊下の窓から侵入して、スミン勝手にすまないが部屋に入らせてもらうぞと気づかれずに中に入ることに成功する。
屋敷への侵入は簡単だった。
目がいいのでこの暗い部屋でもしっかりと対応ができる。
「はっ?」と俺がその部屋で見たものは数々の俺のグッズ。
抱き枕にぬいぐるみ、コップにベットシーツに掛け布団にもプリントされている。
他諸々。
思わず身震いしてしまった。
恐らくダンジョンマスターのユカリに作らせているのだろう
背負ってきたおばさんをベットに寝かせて、そっとこの部屋を出たのだった。
後の対応はスミンに任せよう。
そして俺は何も見なかったと自分に暗示をかけるのだった。
俺が去ったあとベットでは苦しみもがく女がいた。
「くっはぁーはぁー。」と次第に落ち着き、そこには可愛い少女が寝息をたてているのだった。
「うん?」とこの屋敷には勘のいい女達がいる。
違う気配を感じたのか誰か侵入してきた?と首を傾けるクロエ。
またテト様が浮気をしたのかもしれない、スミンもまた何かを感じ取っている。
「刀はどこだー。」と王都中を駆けまわっていたが流石の雨で戻って来たうたは。
「見つからなーい。」と号泣する。
うたはの油断もあったかもしれない。
付けられていることさえ気付いていないが何かしらの勘が働いた。
「むっ、何か屋敷に聖なる気配を感じる。これは妖刀ござるの導き?そこにあるのか!」と何を思ったのか屋敷を爆走するうたは。
それをかなりの遠くから目で見て様子を伺うアヤノ。
慌てていたようだが何をしているのだろうか?と疑問に思っていた。
誰かが走っている音がする階下だろうか。
「うたはが帰ってきたのかな?」とクロエが言う。
「ちょっと気になることがある。」と真顔の顔のクロエ。
「私もちょっと気になることがあります。」
「じゃあ。」
「だけど逃げることは許しませんからね!」
「おにぃー。」と抗議をする。
まぁいつものやりとりだった。
そんなことがあり二人はうたはの向かった方に向かう。
「こっちはもしかして私の部屋の方?」
そちらに向かうとうたはが呆然としていた。
「あっ!」とスミンも気付いた。今私の部屋はテト様グッズで溢れている。
ダラダラと汗が流れてくる。
「ちょっと待とうかクロエお嬢様。」
「なんでー。」
「うんちょっと待とうね。」
「ヤダー。」とこの時のクロエはスミンの制止を振り切りスミンの部屋に向かって行く。
スミンの内心はまずいまずいだった。
待ちがて武器を持ち出しそうになった。
「これは!」と驚愕しているうたは。
「なにー?」とクロエが問いかけながら部屋を覗いていた。
まずいバレたか。と覚悟を決めるように武器を持とうとしている自分を止める。
「女の子が寝ているようだ。」とうたはが室内に入って言う。
そこに寝そべっている女の子どうやらシスターの服を着ているが?
「これは・・・聖教国のシスターのようですね。」と躊躇ったが話すことにした。
「へぇー。」とかあまりピンと来ていない二人。
「まぁそうですよね。」
「さてどうしてこんな所にいるのでしょうか、ま、まさか!」と思い当たる節がある。
「テト様の隠し子!」と絶望した顔で言う。
「あんなに浮気はダメだと言ったのにーどうして。」
〝違うからな!〟と念話を送る。
「ですよね。ではこれは誰ですか?」思わず声が出てしまうスミンをじ~っと見ている二人。
「誰と話してるの?」とクロエが聞いてくる。
「そ、それは・・・そうこの子に話しかけようとしていたの。」
「ねぇ大丈夫。しっかりして!」と揺するが起きる気配がない。
〝シスターの服を着ていたからな。思わず連れてきてしまった。〟
〝テト様、犯罪はいけませんよ!〟と注意してくる。どうしてそっち方面に話しを持って行きたがるだろうか。
クロエは何か閃いたのか!
「これなんだかごつごつしている。」ちらっとスミンの方を見るが何かに精一杯のようだ。
「もらっておこう。」と指輪の中にばれないように収納して口笛を吹いた。
うたはの方も何か暗闇に気になるクッションぽいものを見つける。
「これは何かに使えるのではないか。」と思ってちらっとスミンを見て確保するように風呂敷に覆った。
スミンが対応に追われる中。
「まぁまかせる!私は妖刀ござるを追わなければならない。私が私(侍)であるために!」と言ってこの部屋から出て行った。
「クロエも行くー。」と出て行こうとして襟元を引っ張り捕まえられる。
「あーれー。」となんでかそんな言葉をいってしまう。
「ちょっと待っててね。」
「はーいー。」としょぼんとなるどうやらスミンからは逃げられないようだった。
揺すって起こそうと試みる。
しかし起きない、心臓は動いているようだ。
今はまだ安静にしないといけないのか眠り続ける少女を見続けるしかなかった。
「真に残念ですが、この子の介抱があります。クロエ様の勉強は今日はなしにしましょう。」
「やったー!」と満面の笑顔。
「でも、明日以降地獄ですからね。」とニコッと笑うスミンが恐くてとぼとぼ部屋を出るのだった。
うたはが部屋を出て住まわせてもらっている辺境伯邸の部屋。
「ライト!」手元が光始める。うたはは多少の魔法が使えた。
「おおうこれは!」
王城で見た全身鎧の抱き枕だった。
強さと共になんだか、惚れてしまいそうになりそうな強さだった。
「あれがもしかしたら、目指すべき侍の道なのかもしれない。」そんなことを言って抱き枕に抱きついて今日は寝るのだった。
「あれは!」とその抱き枕にビビッてうたはに近づくことが出来ないアヤノがいた。
「戦略的撤退です。」とこの場から離れるのだった。
クロエの部屋のベットの上にテトのぬいぐるみが置いてある。
「テト、どうして貴方はテトなの?」と向かい合ってぬいぐるみに聞いている。
「ぎゃお。」本人がいるんだが?
しかも俺より一回り大きくないか?敵かお前俺の敵か?とぬいぐるみにメンチを切る。
「テトどうして私を一人でスミンの生贄にしようとしたの?」ぬいぐるみを持って俺とコミュニケーションを取ろうとしている。
「ぎゃお。」そんなことを言っても知らない。
「むむ、ぬいぐるみがあればテトの気持ちがわかると思ったのに全然だった。ブーブー。」と苦情を言っているが、知らん。
なんかクロエが人形ごっこをしていたのが新鮮で、クロエも意外に女の子らしい所があったのかと思い至るのだった。
「ないない。」とお気に入りのテトのぬいぐるみと抱き枕がない、ないと探すスミン。
「むむっどうしよう。」
「お届け物です。」とリングから念話が届く。
それを開けば新作のテト様ぬいぐるみと抱き枕が出てきた。
ユカリからの贈り物だ。
「よっし!」と言って飾りはじめ、使い始めるのだった。
ブックマーク、評価お願いします。




