A級冒険者への試練
「デート、デート。」と隣で言っているスミン。
いやこの身長差でそれはないかな?と考えながら一路冒険者ギルドに向かって行く。
しかし、裏通りで現れるカツアゲ達、現れた瞬間にノックダウンさせているスミンにテトは何も言えない。
はたから見たら子連れの母にでも見えているのかもしれない。
そんなことは言えないな。
ルンルン気分のスミンに水をさすわけにはいかなかった。
しかし、通りに出ると人通りが多いのだが、物価などが高騰しているのだろう、誰も彼も買おうとしない。これでは経済を回すことなんてできないだろうに・・・
道を外れれば物乞いたちが溢れていた。
荒んでいく、いや滅んでいく国の行く末が不安だ。
いや、まだそう決まったわけではないな。
そう思いながらゆっくりと王都の冒険者ギルドに進んでいった。
ああ、話しは変わるが現在ラドルガではミオンがギルドマスターになっていたりする。大出世だな。
本人は仕事が増えるぅーとか嘆いたりしていた。
なんだかんだとあって俺の冒険者ランクはBまで来ている。
後はこの推薦状と王族の認証が必要と言うことで、冒険者ギルドで王族と会う段取りを付けてもらおうと向かっている。
王都の冒険者ギルドはそこそこ立派だった。
まぁうちみたいに城に併設されているわけではないが・・・
その冒険者ギルドの門を開けるまず視線が美人のスミンの方に向き、そして俺の方に向いた。
「おおう、そこの美人さん、こっち来て酌の一つでもしてくれー。」と恥ずかしげもなく言ってくる。
「ふはは、チビ助ここに何の用だぁー。」と昼間っからギルドで酒を飲んでいる男達。
「そうだ、ここは託児所じゃねぇー。そっちの別嬪な母ちゃんにお酒ついでもらえないかなぁー。ひっく。」みたいなことを言っている。
俺はそんなことを無視して冒険者ギルドの受付に向かう。
しかも上級ランクの窓口の方だ。
「ああん、坊主お前依頼主か?無理無理お金たんないからね。ははは。」
「王都の冒険者ギルドの質は落ちているのかな?」と思わず聞いてしまう。
Bランクの銀で出来たプレートを見せる。
「偽もんか?いかんぞ坊主、カードを偽造したらな、ふはは。」と冒険者ギルド全体が笑っている。
「テト様やりますか?」と若干切れ気味なスミン。
「抑えろよ。」と制止するがいつまで持つだろうか。
「でっ、A級に上げてくれるんだろうな?」と受付の男に聞く。
「子供に出せる冒険者証はない。」と俺の冒険者証を取り上げる。
「お前たちコイツに懸賞金を掛ける。やってしまえ!」
どうやら喧嘩っ早い冒険者ギルドのようだ。
奴等は手慣れているように動き出す。
どうやらこんなことが日常茶飯事に起こっているらしい。
「スミン手を出すな!」
「えっでも無性に攻撃したいんですけど!」と若干うずうずしている。
「どうやらこれもA級に上がるための試験らしい。」と酔っぱらいの冒険者の顎に一発を入れる。
「では、勇姿を見させていただきます。」と何かカメラみたいなものを持っている。
「何を持っているんだお前は!」と襲ってきた冒険者を一本背負いしてやる。
「これは、ユカリからもらった高性能カメラです。後でユカリと一緒にテト様の勇姿を見るために!」と回し続けている。
「そんなものファンタジーではない!」と否定する。
「ええーでもぉー。」とあきらめきれないようだ。
雑魚を何人やろうとも同じで、数だけは多い。
なんだかどこかの害虫のように群がって来ている。
こう言う時は頭を潰さないとなと踵落としでもう一人ダウンさせる。
そして向こうから首をこきこき鳴らしながらやって来る巨漢が見えた。
「へぇー。」
「この俺様がこのギルド一のB級冒険者ジンダイ!大人しく潰れてろ。」と大きな拳を俺に向かって振り降ろが拳が当たった瞬間奴の全身に痺れが走ったようになる。
拳の骨が砕けたかもしれない。
そのまま痛さのあまり立ったまま気絶していた。
「まだやるか?」と周りで様子見をする男達。
俺に叶わずとみてスミンの方に行くが全員のされている。大事な部分が・・・ご冥福を祈っておこう。
「さて。」
「ひぃぃぃ。」と震える受付の男。
「ギルドマスターの所に案内してくれるかな?」と威圧を込めて首根っこを持って聞いていた。
受付の男は気絶してしまった。泡を吹いている。こんなんで大丈夫か不安なレベルだ。
「私がご案内いたします。」と出てきたのは女の受付嬢だ。眼鏡を掛けてくいっとしている。
「ああ、頼む。」
「浮気は許しませんよ。」といつの間にか後ろの肩に顔を当て恐い顔で言ってくるスミン。
かなり恐いわーと寒気がした。
「ああ。」としか言いようがない。
俺はギルドマスターに会いに上の階に行く。
そこにいたのは普通のおっさんだった。
「やぁー。」とお茶を一杯すすっている。
まるで管理職だな。
「私は法衣貴族のタスク・フォン・ナーガレット。」
「貴族がなぜここに?」
「王都のギルドマスターとは法衣貴族の閑職だからだよ。まぁギルド全体もそんなものかな。」と疑問に答えてくれる。
「なるほど。なんだ、ただ飯ぐらいの法衣貴族じゃないんだな。」
「痛いこと言うね君は、あはは。」と苦笑い。
「さて、本題に入ろうか。」と急に真面目な顔になる。
「ああ。」と目の前のソファーに座り、書類を渡す。
「なるほど、ゴブリン退治に難関ダンジョンの攻略、盗賊狩り、それに二つ名が呪いの鎧さんか、皮肉かな?」
「いいえ事実なので。」というかそうとしか答えようがない。
「君が望めば、呪いの解呪なんて簡単にできるよ。」と男の目が探るように聞いてくる。
「遠慮しておきます。この生活に慣れていますので・・・。」
「そうか、気が変わったら言ってくれ。」
「わかった。」と俺もこのおっさんについて考えを改める。
かなりのやり手のようだ。
流石貴族、それに伊達にギルドマスターをやっていないか。
「君がA級になるには三人の王子の許可を取ること。どんな形でもいいからね。」
「?」と首を傾ける。
「これは元国王からの依頼だよ。彼の死後、A級冒険者になろうとするものよ。三人の王子の承認を得よ。そうしたら晴れて君はA級冒険者だ。」とわざわざ王様の書簡まである。
俺は唖然とした。こんな試験があるものなのか?
「これは王命、いや今は亡き王からの遺言になるのかもしれない。ヘイロン君、頑張って!どんな手を使ってもいいからね。なんせ王様の遺言なんだから!」
「・・・なるほど、拝命いたしました。」と答える。
「むっ!」と俺はクロエがピンチなのではないかと直感で感じる。
接続ON。と俺の前にのみクロエの様子が映し出されているモニターがある。
王城だろうか、槍に囲まれて割とピンチなようだ。
「では、またなギルドマスター。」と急いで向かわないとと思う。
「ああ、また会えると嬉しいね。」と最後まであまり表情を変えなかった。
そう言って出て行くヘイロン君を見送る。
「さて、どう転んでいくかな?」と呟いた言葉は誰も聞いていなかった。
俺は階段を降りるとスミンに命令する。
「俺は急用ができた。スミンは辺境伯邸に戻り警備を固めろ。」
「なぜ?デートはデートは、まさかさっきの受付嬢にほだされてー。」と迫りながら、恐い顔をする。話しが飛躍しすぎている。いつからスミンはヤンデレになったのだろうか?
「すまん、話している暇はない。」と真面目な顔をする。
「わかりました。」と渋々頷いているこれからデートの続きをする予定だったのに・・・と思っているのかもしれない。
「頼んだぞ!」と肩を叩いて任せて冒険者ギルドをあとにした。
「さてとテト様もいなくなったことですし、ちょっとお仕置きをしましょう。いや、八つ当たりです。」と恐い顔でまるで冒険者ギルドの風紀を正すように男達の大事な所を潰して回った。
俺は冒険者ヘイロンの姿で屋根の上を走り抜け王城を目指す。
途中から竜の子モードに移行しながら、空を飛んで上からガラスを破って冒険者モードにそのままアイテムボックスから取り出した大剣に纏わせた黒い炎で豪華なドアを壊して中に入っていく。
「私の名前はヘイロン、第一王子の推薦でA級冒険者になりに来た。」
どうだ決まったぞ!と賛辞を送りたくなるほどだ。
一人、うたはは目を輝かせている。
「あれが本物の侍!」と俺の太刀筋に感激しているようだ。
知らんがな。それに大剣だろう。
これは渡りに船だ。
「私が第一王子ラビッダ・フォン・アケロ二ア。おい冒険者私を助け、あいつ等を倒せ!」と威厳を取り戻したように言う。
「承知した。」と俺が敵として向かってくるのかと警戒するランドル辺境伯達。
だがそんなことはしない。俺は第一王子を担ぐ。
「えっ、何をやっている。」と言っているが無視して歩き出す。
「じゃあ。」と皆に挨拶して、俺がガラスを破って入って来た三階くらいの高さから、落下した。
「ぐうわー、死ぬー。」とか言って第一王子は空中で気絶していた。
俺はこのまま第一王子を担いだまま拉致した。
「はぁはぁーーーー。」と玉座の間にいた騎士たちが皆声を揃えて大きな声を出したのだった。
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